探究学習とは、生徒が自ら課題を設定し、情報を集め、整理・分析し、まとめ・表現する過程を往復しながら、よりよく課題を解決していく学びです。高校の「総合的な探究の時間」だけでなく、教科横断の授業、進路指導、企業・地域と連携するPBLにも応用できます。

この総合ガイドでは、授業設計に必要な全体像から、テーマ設定、問いづくり、調査、レポート、評価、生成AIの扱いまでを一つの流れで整理します。

探究学習とは

文部科学省は、総合的な探究の時間について、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を通して課題を解決し、自己の在り方や生き方を考えるための資質・能力を育てる時間と位置づけています。知識を覚えることだけではなく、既に学んだ知識を使って未知の課題に向き合う点が特徴です。

学び方主な目的生徒の活動
調べ学習既存の情報を理解する資料を探し、要点を整理する
研究方法に基づいて知見を検証する仮説、調査・実験、分析を行う
探究学習自分と社会を結ぶ問いを更新する課題設定から振り返りまでを往復する

用語の違いは探究と研究・調べ学習の違い、表記の違いは「探究」と「探求」の使い分けで詳しく解説しています。

探究学習の進め方6ステップ

段階生徒が行うこと教師の支援
1. 興味を広げる身近な違和感、経験、ニュースを書き出す答えを示さず、視点を増やす問い返しをする
2. 課題・問いを設定する対象、場所、期間、比較軸を絞る授業時間内に調査可能かを確認する
3. 情報を収集する文献、統計、観察、実験、聞き取りを組み合わせる一次情報と二次情報、事実と意見を区別させる
4. 整理・分析する比較、分類、因果、変化を検討する反対の根拠や説明できない点を問い返す
5. まとめ・表現する問い、方法、結果、考察、限界をつなぐ成果物だけでなく判断の根拠を確認する
6. 振り返り、問いを更新する分かったことと残った課題を言語化する次の調査や行動につなげる

この順序は一方向ではありません。情報が足りなければ収集へ戻り、問いが広すぎれば課題設定へ戻ることが、探究の深まりです。

探究テーマを問いに変える方法

「地域活性化」「食品ロス」「生成AI」はテーマであり、そのままでは調査の範囲が定まりません。「誰の」「どの場面で」「何が問題か」「何と比較するか」を加え、確かめられる文章へ変えます。

  1. 自分の経験や関心から、気になる言葉を20個程度出す
  2. 対象、地域、期間、立場、変化の条件を加える
  3. 既に答えが一つに決まっていないか、資料や行動で確かめられるかを確認する
  4. 予備調査を行い、問いを狭めるか、別の角度へ更新する

具体例とワークは探究テーマが決まらないときの問いの作り方、テーマ例は高校の探究テーマ58例を参照してください。

情報収集と先行研究の調べ方

検索結果の上位ページだけで結論を作らず、行政・大学・研究機関・企業の公式資料、統計、論文、現場の聞き取りを組み合わせます。主張ごとに出典、公開主体、公開日、調査対象を記録すると、後の検証と引用が容易になります。

探究レポートと発表のまとめ方

探究レポートは活動日記ではありません。「なぜその問いを選んだか」「どの方法で確かめたか」「結果から何が言え、何は言えないか」を一貫させます。

  1. 問いと背景
  2. 仮説または調査前の見通し
  3. 調査・実験・実践の方法
  4. 得られた事実と結果
  5. 結果の解釈と考察
  6. 限界、残った課題、次の行動

書き方の例は探究レポートの書き方ガイド、活動履歴の残し方は探究活動の記録方法で確認できます。

探究学習の評価方法

完成した成果物だけでなく、問いの変化、情報源の選択、分析の根拠、協働、振り返りを評価します。文部科学省の学習指導要領解説でも、各学校が目標と内容に基づいて観点を設定し、生徒の成長を捉える考え方が示されています。

観点確認する証拠
課題設定問いを選んだ理由、予備調査、問いの更新履歴
情報収集出典一覧、調査計画、インタビュー記録
整理・分析比較表、分類、反証、仮説修正の理由
まとめ・表現主張と根拠の対応、限界、次の課題
協働・振り返り役割、意思決定、相互評価、改善点

探究学習で生成AIを使うときの原則

生成AIは、問いの候補を広げる、検索語を考える、反対意見を出す、文章構成を点検するといった壁打ちに利用できます。一方、出力には誤りや偏りがあり、個人情報、著作権、年齢に応じた利用条件にも注意が必要です。

  1. 個人情報や未公開情報を入力しない
  2. AI出力を一次情報として引用せず、元資料を確認する
  3. どこでAIを使い、何を採用・修正・棄却したかを記録する
  4. 完成物だけでなく、判断過程と検証を評価する

学校での具体的な運用は生成AIと探究学習の実践ガイド、問いを深める使い方はAI時代の問いを立てる力を参照してください。

学校・企業連携PBLへ発展させる

探究を実社会へ接続する場合、企業や地域が答えを教えるのではなく、生徒が問いを持てる余白を残します。開始前に教育目標、提供情報、面談回数、成果物、評価方法を合意し、途中で問いを更新できる設計にします。

探究学習の実践事例を探究ボードで見ると、成果物や活動の具体像を比較できます。学校全体の記録・伴走・評価を一元化する場合は、学校向けTimeTactの機能と活用方法も確認できます。

授業開始前のチェックリスト

  • 育てたい資質・能力と評価の証拠を先に決めたか
  • テーマを生徒自身の経験や社会と結び付ける時間があるか
  • 一次情報へ到達できる調査先を用意したか
  • 問いを変更してよいことを生徒へ伝えたか
  • 成果物だけでなく過程を記録できるか
  • 生成AI、個人情報、引用、著作権のルールを共有したか

よくある質問

探究学習とは何ですか?

生徒が自ら課題を設定し、情報を収集し、整理・分析し、まとめ・表現する過程を往復しながら、よりよく課題を解決して自己の在り方や生き方を考える学習です。

探究テーマと問いは何が違いますか?

テーマは調べる領域で、問いは誰の何をどのように明らかにするかを具体化した調査可能な文章です。対象、比較、地域、期間などを加えると問いになります。

探究学習で生成AIを使ってもよいですか?

学校のルールに従い、個人情報を入力せず、AI出力を一次情報として扱わずに出典を確認し、利用箇所と判断過程を記録することが重要です。

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当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。