現在、高校の「総合的な探究の時間」という名称に対し、小学校・中学校では「総合的な学習の時間」という名称が使われています。この名称の違いについて、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ(総合WG)の取りまとめ(案)で、統一の方向性が議論されています。本記事は、2026年9月24日に確認した、文部科学省が2026年8月4日付で掲載した中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正)に基づいています。これは現時点で正式に決定した学習指導要領の内容ではなく、議論中の案です。実際に学習指導要領が改訂・告示されるまでは、現行どおり小中学校は「総合的な学習の時間」のままです。この現状と案の違いを混同しないよう、順を追って整理します。

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現状:名称が異なる小中学校と高校(PDF p.68)

現行の教育課程では、高校のみが「総合的な探究の時間」という名称を用いており、小学校・中学校は「総合的な学習の時間」のままです。取りまとめ(案)は、この経緯について「論点整理では、高校での名称変更が、探究の推進に一定程度寄与してきたとした上で、『小中学校での名称についても検討すべき』としている」と振り返っています。

案が示す方向性:小中高一貫した「総合的な探究の時間」へ

これを受けて取りまとめ(案)は、「教育課程の基準上の小中学校の総合の名称について、『総合的な学習の時間』から『総合的な探究の時間』に変更し、小学校から高校まで一貫して、『総合的な探究の時間』とすることが適当である」という方向性を示しています。実際に名称が変わるのは、学習指導要領の改訂・告示という正式な手続きを経た後になります。現時点で学校が呼称を変更する必要はありません。

発達段階に応じた「節目としての探究」(PDF p.9、補足イメージはPDF p.22)

名称の議論とあわせて、取りまとめ(案)では「節目としての探究」という考え方も示されています。現行の解説や指導資料、評価の参考資料では、学習活動の例として「個別探究による卒業研究」「個人研究」「卒業論文」など、各学校段階の卒業に向けた集大成としての探究が既に紹介されています。取りまとめ(案)が引用する現行解説の例示では、小学校第6学年で個別探究による卒業研究、中学校第3学年で同様の卒業研究、高校では1年生がホームルームでの研究、2年生がグループ研究、3年生が個人研究という進め方が挙げられています。これは、ある一つの学校の年間計画の一例として現行解説に示されているものであり、全国すべての学校に義務付けられた進行順ではありません。取りまとめ(案)の補足資料では、「高校のみならず小中学校段階においても、発達の段階や子供の実態も踏まえつつ…各学校段階の最終学年等で、学習の成果や自らの変容を実感する各学校段階の節目としての探究を実施することが望ましい旨を示すことが適当」と整理されており、名称統一の議論と合わせて、小中高を通じた探究の一貫性を意識した提案になっています。

振り返りテンプレート:最初の問い→根拠→修正→次の問い

以下はStudy Valley編集部が作成した、節目の探究で使える振り返りの記入例です。

  • 最初の問い:探究を始めたときに立てた問い
  • 根拠:調査・実験・取材などで集めた事実やデータ
  • 修正:根拠を踏まえて、問いや仮説をどう変えたか
  • 次の問い:今回の探究を踏まえて新たに生まれた問い

探究成果を公開する際の注意点

卒業研究のような節目の探究成果を学校のWebサイト等で公開する場合は、生徒本人・保護者の同意や、学校の個人情報保護方針に基づく適切な公開範囲の設定が前提です。探究の成果は自動的・無条件に公開されるものではなく、公開の可否・範囲は学校が生徒・保護者の意向を確認した上で判断する事項です。

この方向性をTimeTactで授業に落とし込む

TimeTactでは、生徒の探究成果を学校の探究HPとして公開する機能や、探究ポスター機能を通じてアウトプットをイメージした探究のまとめを支援する仕組みが案内されています。上記の振り返りテンプレートで整理した内容を卒業研究などの節目の成果としてまとめ、同意を得た範囲で発信する場面に活用できます。また、姉妹サービスの「みんなの探究スクエア」(pbl.studyvalley.jp)では、全国の高校生の探究成果や企業プロジェクト事例を見ることができ、節目の探究の完成イメージをつかむ参考資料としても利用できます。節目の探究をどう教育課程上に位置付け、どう評価するかは学校の教育課程編成にかかわる判断であり、公開の同意確認を含め、TimeTactはその記録・発信を支援する役割です。詳しくは学校向けTimeTactをご確認ください。

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関連する解説を体系的に確認する場合は、探究レポート・評価ガイドをご覧ください。

探究とAI活用の全体像は、生成AI×教育×探究学習 完全ガイドもあわせてご覧ください。

このシリーズの他の記事

本記事は、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正)を読み解く全8回シリーズの一部です。他の回は以下のとおりです。

まとめ

本記事で扱った論点は、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正、文科省2026年8月4日付掲載)に基づく、現在議論中の内容です。今後の議論の進捗もあわせて注視していきます。

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この記事を書いた人:Study Valley 編集部
Study Valley編集部は、探究学習、教育、企業連携、進路に関する記事を企画・編集しています。公的機関の一次資料と公開事例を確認し、教育現場で実践に移しやすい情報を届けます。
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。