総合的な学習・探究の時間の解説等で紹介されている「考えるための技法」は、児童生徒が探究の中で使う思考の道具として位置付けられてきました。この技法の一覧や整理の仕方について、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ(総合WG)の取りまとめ(案)で、見直しの方向性が示されています。本記事は、2026年9月24日に確認した、文部科学省が2026年8月4日付で掲載した中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正)に基づいています。これは現時点で正式に決定した学習指導要領の内容ではなく、議論中の案です。

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現行の「考えるための技法」10の例

現行の解説等で例示されている「考えるための技法」は、順序付ける、比較する、分類する、関連付ける、多面的に見る・多角的に見る、理由付ける(原因や根拠を見付ける)、見通す(結果を予想する)、具体化する(個別化する、分解する)、抽象化する(一般化する、統合する)、構造化するの10種類です。探究の過程で情報を整理したり、考えを深めたりする際の具体的な手立てとして紹介されてきました。

指摘されている課題と、見直しの方向性(PDF p.62-63)

取りまとめ(案)では、この10技法について「単純に羅列されており、考えを発散させる思考が含まれていないなど、教師や学習者にとって必ずしも使いやすいものになっていない」という指摘が紹介されています。これを踏まえ、今次改訂では「当面、発散の観点を追加するとともに、発散と収束の観点から分類して示すこととした上で、今後、学校現場等の多様なアイデアや学術的知見を収集し、その在り方も含め改善していくことが適当」という方向性が示されています。既存の10技法に「発散」の視点を加え、発散・収束という2つの軸で分類し直す、という見直し案です。

発散・収束への再分類イメージ(PDF p.82-83、あくまで例)

取りまとめ(案)の補足資料では、再分類の具体的なイメージも示されています。「主に発散(広げる等)」に分類される例として、自由に発想する、組み合わせる、多面的・多角的に見る、具体化・抽象化するが挙げられ、「主に収束(整理する・深める等)」に分類される例として、比較する、分類する、関連付ける、理由付ける、順序付ける、構造化する、吟味する、焦点化する、見通すが挙げられています。資料自体に「あくまでも大まかな整理の例」と明記されており、最終形として確定しているわけではありません。これらの技法は「マイ探究」「テーマ探究」や「行動系」「研究系」「創作系」といった探究の形態にかかわらず、共通して活用しうるものとも整理されています。

記入例:発散から収束までの4ステップ

以下はStudy Valley編集部が作成した、授業で使える手順の一例です(実際の測定結果ではなく、あくまで想定される指導の一案です)。

  1. アイデアを出す(発散):テーマに関する着想を、思いつく限り自由に書き出す
  2. 分類する:出てきたアイデアを共通点でグループ分けする
  3. 基準と照合する(収束):実現可能性や根拠の強さなど、あらかじめ決めた基準で絞り込む
  4. 選んだ理由・修正理由を残す:なぜそのアイデアを選んだか、どこを修正したかを一言メモする

この方向性をTimeTactで授業に落とし込む

TimeTactの「課題の設定」に関する機能には、生成AIがアイデア出しの段階から「発散」「収束」の2種類の観点でフィードバックを行う仕組みや、ブレインストーミングツール「あいである」があります。上記のような発散→分類→収束の手順を生徒が進める際、着想を広げたり、出てきた案を整理したりする場面でこれらの機能を使うことができます。どの技法をどの場面で使わせ、発散と収束のバランスをどう指導するかという教育的な判断は教師が担うものであり、AIのフィードバックはその判断を助ける補助として位置付けられます。詳しくは学校向けTimeTactをご確認ください。

テーマ別に読み進める

関連する解説を体系的に確認する場合は、生成AI×教育×探究学習 完全ガイド|授業設計・校内ルール・評価をご覧ください。

探究の成果をどうまとめるかについては、探究レポート・評価ガイドも参考になります。

このシリーズの他の記事

本記事は、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正)を読み解く全8回シリーズの一部です。他の回は以下のとおりです。

まとめ

本記事で扱った論点は、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正、文科省2026年8月4日付掲載)に基づく、現在議論中の内容です。今後の議論の進捗もあわせて注視していきます。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。