総合的な学習の時間・総合的な探究の時間では、各学校が「全体計画」と「指導計画」を作成し、学校教育目標を踏まえた独自の目標・内容を定めることになっています。この「各学校が定める目標・内容」の在り方について、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ(以下、総合WG)の取りまとめ(案)で、見直しの論点が示されています。本記事は、2026年9月24日に確認した、文部科学省が2026年8月4日付で掲載した中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正)に基づいています。これは現時点で正式に決定した学習指導要領の内容ではなく、議論中の案です。

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中教審が指摘する「作りすぎ」の課題(PDF p.59-60)

取りまとめ(案)では、全体計画をめぐる現状の課題として、次のような指摘がなされています。資質・能力の三つの柱(知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等)を、それぞれ3〜4の要素にまで細分化し、学年ごと・単元ごとに全体計画へ書き込むという運用が広がった結果、「全体像を概括的に示す」という全体計画本来の趣旨に比べて、記載が微細になりすぎ、かえって全体像を捉えにくくしている、という趣旨の指摘です。あわせて、評価計画についても、細分化された記載に対応する評価材料を過度に集めることを誘発しかねない、という懸念も示されています。「計画を作ること」自体が目的化し、教師の負担感につながっている実態が背景にあるとみられます。

見直しの視点:「重点化」と「付加」

こうした課題を踏まえ、取りまとめ(案)では、各学校が目標・内容を定める際の視点として、大きく2つを明確化することが提案されています。1つは「重点化」で、学校全体として重視する目標の要素を明示したり、記載を絞り込んだりすることを指します。もう1つは「付加」で、学習指導要領が示す目標にはない独自の要素を、各学校の実情に応じて加えることを指します。あわせて、学校教育目標だけでなく、校長が定める「基本的な方針」とも関連づけて全体計画を整理することが適当だとされています。

記入例:目標→学習活動→エビデンス(根拠)の整理

以下はStudy Valley編集部が作成した記入例です。実際に決められた様式ではなく、「重点化」の考え方を具体的にイメージするための一つの案としてご覧ください。

  • 重点化した目標の要素:地域社会との関わりの中で、自分の考えを根拠とともに説明できるようにする
  • 学習活動:地域の企業・NPOへの取材、取材内容をもとにした課題設定、成果発表会
  • エビデンス(根拠):取材メモ、振り返りシート、発表資料、教師からのコメント

このように「目標→学習活動→エビデンス」を1行程度で対応づけるだけでも、全体計画の記載を細分化しすぎずに、重点化の考え方を可視化しやすくなります。

学校現場にとっての意味

この論点は、教育課程そのものというより「計画づくりの負担」に着目したものだという点が特徴です。この取りまとめ(案)自体は、全国一律の新しい計画様式を今すぐ課すものではありません。学校は、現行の学習指導要領・解説が求める要件と自校の教育目標に基づいて、これまでどおり全体計画・指導計画の改善を続けていくことになります。実際に指導要領の解説や様式が見直されるのは、答申・改訂告示を経た後になるため、今回の議論は「今後どの方向で簡潔にしていくか」という見通しとして押さえておくとよいでしょう。

この方向性をTimeTactで授業に落とし込む

TimeTactの学校向け機能では、日付ごとに授業計画をセットして生徒・教員へ配信できるほか、計画作成時に生成AI「ねこロボAI」を使ってたたき台を作成できます。「重点化」した目標を学年・単元の日々の授業に落とし込み、上記のような取材やフィールドワークの予定を配信・共有する場面で活用できます。全体計画の「重点化」や「付加」の中身そのものをどう設計するかは学校・教師の教育的判断であり、TimeTactはその計画を日々の授業運営に反映させる部分を支援します。詳しくは学校向けTimeTactをご確認ください。

テーマ別に読み進める

関連する解説を体系的に確認する場合は、生成AI×教育×探究学習 完全ガイド|授業設計・校内ルール・評価をご覧ください。

探究活動の評価まで含めた全体像は、探究レポート・評価ガイドもあわせてご参照ください。

このシリーズの他の記事

本記事は、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正)を読み解く全8回シリーズの一部です。他の回は以下のとおりです。

まとめ

本記事で扱った論点は、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの取りまとめ(案)(会議後修正、文科省2026年8月4日付掲載)に基づく、現在議論中の内容です。今後の議論の進捗もあわせて注視していきます。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。