総合型選抜・学校推薦型選抜の面接必須化とは?令和9年度実施要項の要点と、探究で「語れる生徒」を育てる準備

文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」で、総合型選抜と学校推薦型選抜では面接による評価を原則として必ず行うことになりました。この要項は令和8年度(2026年度)に実施する入試、つまり今年度の秋から始まっている入試に適用されています。ただし、例外と経過措置もあります。この記事では、要項の原文を確認しながら変更点を整理し、高校の探究指導で今からできる準備を学年別にまとめます。
この記事の要点
– 何が変わったか:総合型・学校推薦型選抜で、面接による評価が原則必須になりました(今年度実施の令和9年度入試から)。
– 面接に含まれる形式:個人面接だけでなく、プレゼン・口頭試問・集団討論・ディベート・オンライン実施も含まれます。
– 高校がまずやること:探究の記録と振り返りを残し、発表して質問に答える機会を増やしましょう。
(公開日:2026年10月27日/本文中の大学情報は2027年度入試時点のものです)
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1. 何が変わった?令和9年度大学入学者選抜実施要項の要点
面接による評価が「必ず」に
令和8年5月27日付の文部科学省高等教育局長通知(8文科高第318号)は、令和9年度大学入学者選抜実施要項の「主な変更点」として、次のように記しています。
入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する総合型選抜及び学校推薦型選抜の趣旨に鑑み、面接による評価を必ず行うこととしたこと。
要項の本体でも、総合型選抜(第3の1(2)②)と学校推薦型選抜(第3の1(3)①)のそれぞれに、「志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接(中略)による評価を必ず行う」と書かれています。面接で見られるのは、一般的な受け答えのマナーではありません。「志望する学問分野に対する意欲や適性等」です。この点は指導の方向を決めるうえで大切です。
「面接」に含まれるもの
要項は面接の範囲について、括弧書きで次のように示しています。
面接(ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問等を含む。オンラインによる実施を含む。)
つまり、「面接必須」は個人面接だけを意味しません。探究の成果をプレゼンテーションし、その内容について口頭試問を受ける形式も、要項上の「面接」に入ります。探究に取り組んだ生徒にとっては、活動を自分の言葉で説明し、質問に答える力がそのまま問われる場面になります。
例外と経過措置
すべての選抜で今年から一律に面接がある、というわけではありません。要項には次の2つの扱いが定められています。
① 非公募型・専願の学校推薦型選抜の例外
ただし、高等学校との緊密な連携により、意欲や適性等を含め丁寧なマッチングが図られていると考えられる非公募型の学校推薦型選抜であって合格した際には入学することを入学志願者が確約して受験するものについては、大学の実情に応じて面接の要否を判断することができる。
出典:同要項 第3の1(3)①
非公募型(いわゆる指定校推薦など)で、かつ合格したら入学を確約して受験する選抜であれば、面接を行うかどうかを大学が判断できます。非公募型であっても、この条件に当てはまらなければ例外にはなりません。
② 既存の選抜区分の経過措置
令和9年度大学入学者選抜における総合型選抜又は学校推薦型選抜のうち、令和8年度に既に実施されていた選抜区分であって、第3の1(2)又は(3)に則って令和9年度大学入学者選抜から面接を導入することが難しいものについては、遅くとも令和 11 年度大学入学者選抜までに面接を導入する。
出典:同要項 第14 備考
前年度から続いている選抜区分で、すぐに面接を入れるのが難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに導入すればよいとされています。このため、志望校の選抜に今年度から面接があるかどうかは、各大学の募集要項で確かめる必要があります。
いつから?
要項の第14 備考には「この要項は、令和8年度に実施する令和9年度大学入学者選抜に適用する」とあります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 適用される入試 | 令和9年度大学入学者選抜(2027年4月入学者向け) |
| 実施時期 | 令和8年度(2026年度)=今年度の入試 |
| 例外 | 非公募型・専願の学校推薦型は、大学が面接の要否を判断できる |
| 経過措置 | 既存の区分で導入が難しいものは、遅くとも令和11年度入試まで |
「これから始まる制度」と思われがちですが、正しくは「今年度の入試から適用されている制度」です。ただし経過措置があるため、現在の高校3年生が受ける選抜すべてで面接があるとは限りません。
あわせて押さえたい変更:言語能力と数理的思考力
同じ通知では、「言語能力及び数理的思考力の育成に配慮することとしたこと」も主な変更点に挙がっています。要項本体でも、総合型・学校推薦型選抜で「言語能力及び数理的思考力を含め大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力等も適切に評価する」ことが求められています。探究で根拠を言葉と数字で示す練習は、この点にもつながります。
これは主に大学側の評価方法に関する規定で、高校の探究に特定の内容を求めるものではありません。
2. なぜ総合型選抜・学校推薦型選抜で面接が必須に?要項に書かれた趣旨
通知と要項は、面接を必須にした理由を「入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する総合型選抜及び学校推薦型選抜の趣旨に鑑み」と説明しています。
要項では、総合型選抜を「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法」と定義しています。学校推薦型選抜も「一般選抜とは異なる観点や方法により評価を行うという前提」に立つ入試方法です。
また同じ通知では、令和8年度入試において「一部の大学の総合型選抜及び学校推薦型選抜において」「実質的に学力検査の成績に大きく偏って合否判定が行われている等、総合型選抜及び学校推薦型選抜の趣旨に合わない事例が見受けられました」とし、これを受けて各大学長に「大学入学者選抜実施要項の遵守についてのお願い」が取りまとめられたことも示されています。面接必須化とあわせて、両選抜を本来の趣旨どおりに運用することが改めて求められている、と言えます。
高校側にとっての意味はシンプルです。書類の見栄えだけではなく、生徒が自分の学びを自分の言葉で説明できるかが、これまで以上に問われます。
3. 大学は面接で探究の何を見ているか
大学が公開する評価観点の例(2027年度入試時点)
探究活動をもとにした選抜について、評価の観点を公開している大学があります。ここでは2つの例を紹介します。内容は各大学が公開している2027年度入試の資料に基づきます。出願の際は必ず最新の募集要項を確認してください。
関東学院大学 総合型選抜(9月募集)【探究評価型】理工学部数理・物理コース(2027年度入試時点)
※以下は理工学部数理・物理コースの資料に記載された観点です。同大学の他学部・他コースや他の入試区分では、観点や形式が異なる場合があります。
プレゼンテーション(10分以内)の後に、口頭試問と面接を計15分行う形式です。探究学習の評価では、次の視点を重視するとしています。
- なぜその課題に問題意識を持ったのか(課題発見力)
- 誰とどのような活動を行い、どのような成果が得られたか(協働力)
- 参考にした書籍・論文・データ等が量的・質的に妥当といえるか(情報収集力、分析力)
- その活動の中でどのような学び、気づきを得られたか(自己分析力)
- 探究学習を通して得た学びを、本学での学びにどう活かすか。また、大学卒業後にどのように地域・社会へ貢献することを考えているか(継続力)
- (1)〜(5)の点について、具体的・客観的な根拠に基づいた考察が行われているか
出典:関東学院大学「2027年度 総合型選抜(9月募集)【探究評価型】理工学部数理・物理コース」
帝塚山大学 総合型選抜 探究型(2027年度入試時点)
プレゼンテーション(5分〜10分)と口頭試問(約15分)、書類審査を総合的に評価する選抜です。プレゼンテーションと自己推薦書の評価のポイントとして、次の4点を挙げています。
- 探究活動の内容:研究の目的やテーマの設定から結論までが明確か、研究結果から新しい学びを得たか
- 探究活動においての役割:協働学習・グループ研究の場合、自身の役割が明確であり、集団内で主体的に活動したか
- 表現力と説得力:自分の考えや結果を明確に伝える、評価者の質問に適切に回答する等の「他者へ伝える力」
- 志望学科との関連性:志望学科の学びや将来の進路との関連性
共通して問われる4つのポイント
2校の観点を並べると、次の4点が共通しています(あくまで2校の比較から見える傾向で、すべての大学に当てはまるわけではありません)。
| ポイント | 面接で聞かれそうな問い |
|---|---|
| 課題発見の理由 | なぜそのテーマを選んだのか |
| 自分の役割 | グループの中であなたは何をしたのか |
| 根拠と情報の質 | 何を調べ、どんなデータを根拠にしたのか |
| 大学での学びへの接続 | その学びを大学でどう深めたいのか |
どれも、活動の「結果」だけでなく「過程」を覚えていないと答えにくい問いです。だからこそ、探究の途中で記録を残しておくことが面接準備の土台になります。
4. 探究指導で今からできる準備(学年別)
1年生:問いを立てる練習と記録の習慣
- 身近な疑問から問いを立て、「なぜそれが気になったのか」を一言で書き残す練習をします。
- 授業の最後に3分の振り返りを毎回入れ、「やったこと/わかったこと/次にやること」を記録します。
- 参考にした本やWebページは、その都度出典を書き留める習慣をつけます。
この段階で記録の習慣がつくと、3年生で「なぜこのテーマを?」と聞かれたときに、当時の自分の言葉をもとに答えられます。
2年生:グループ探究で「個人の役割」を記録する
- グループ探究では、班の記録とは別に、個人の担当と判断を残す欄を用意します。
- うまくいかなかったことと、どう修正したかを書くよう促します。面接では、失敗とその後の工夫が具体的なエピソードになります。
- 中間発表では質疑応答の時間を必ず取り、他の生徒や教員からの質問に答える経験を積ませます。
3年生:記録から志望理由・面接の回答へ
- 1・2年の記録を見返し、問い→行動→結果→学び→大学での展望、の流れで整理します。
- 志望校が公開している評価観点に照らして、自分の探究のどこを話すかを選びます。
- 口頭試問を想定し、「その根拠は?」「別の見方はないか?」と深掘りする模擬質疑を行います。教員だけでなく、生徒同士で質問し合う形も有効です。
校内体制:探究担当と進路指導の連携
面接が原則必須になると、探究の授業と進路指導を別々に進めるのは非効率です。
- 探究担当と進路指導担当で、生徒の記録をどこに残し、誰が見られるかを決めておきます。
- 評価ルーブリックを両者で共有し、授業での評価と面接準備の観点をそろえます。
- 3年生の面接練習に探究担当も加わり、活動の中身に踏み込んだ質問をします。
ルーブリックの作り方は「探究評価ルーブリック設計」で詳しく紹介しています。
5. 面接で探究を語れる生徒を育てるチェックリスト
校内会議や学年団での確認にそのまま使える10項目です。
| No. | チェック項目 |
|---|---|
| 1 | 生徒が、テーマを選んだ理由を一文で説明できる |
| 2 | 探究の振り返りが、毎回または定期的に記録として残っている |
| 3 | 参考にした資料・データの出典が記録されている |
| 4 | グループ探究で、生徒個人の役割と判断が記録されている |
| 5 | うまくいかなかったことと、その修正の過程が書かれている |
| 6 | 生徒が人前で発表し、質疑応答に答えた経験がある |
| 7 | 生徒が、探究の学びと志望学科の学びのつながりを説明できる |
| 8 | 探究担当と進路指導担当が、生徒の記録を共有できる |
| 9 | 評価ルーブリックの観点が、教員間でそろっている |
| 10 | 志望校の募集要項で、面接の形式(プレゼン・口頭試問・オンライン等)を確認している |
6. 記録と振り返りを仕組みにする方法
記録と振り返りの仕組みづくりは、特別なツールがなくても始められます。
- 紙のポートフォリオ:毎回の振り返りシートをファイルに綴じるだけでも、3年生で見返せる資料になります。
- スプレッドシート:生徒ごとに1行、日付・やったこと・わかったこと・次の行動・出典を記入する列を作ると、教員が一覧で確認できます。
生徒数が多く、記録の回収やフィードバックに手が回らない場合は、ICTの活用も選択肢です。Study Valleyの高校向けTimeTactは、探究の進捗管理やルーブリックによる評価、振り返りの蓄積などを支援するサービスです。また、河合塾と連携した総合型選抜向けの探究型講座も行いました(河合塾×Study Valley、総合型選抜で活かせる探究型講座を2025年1月~3月に開講!)。
7. よくある質問
Q1. 面接必須化はいつの入試からですか?
A. 令和8年度(2026年度)に実施する令和9年度入試(2027年4月入学者向け)からです。今年度の入試がすでに対象です。ただし、令和8年度に既に実施されていた選抜区分で導入が難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに導入すればよいとされています。
Q2. すべての学校推薦型選抜で面接がありますか?
A. 原則としてあります。ただし、非公募型の学校推薦型選抜で、合格したら入学することを確約して受験するもの(専願)は、大学の実情に応じて面接の要否を判断できます。
Q3. 面接は個人面接だけですか?
A. いいえ。要項は、面接にディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問等を含み、オンラインによる実施も含むと明記しています。
Q4. 一般選抜も面接が必須になりますか?
A. 今回「必ず行う」とされたのは総合型選抜と学校推薦型選抜です。一般選抜について要項は、学力検査や小論文等を主な資料とし、調査書、面接、志願者本人の記載する資料等を「組み合わせて」評価する入試方法と定めています。
Q5. 探究をしていないと不利になりますか?
A. 要項は探究活動を出願の条件として定めているわけではありません。探究を評価に取り入れるかどうかや、その観点は大学・選抜ごとに異なります。志望校の募集要項とアドミッション・ポリシーを確認してください。
Q6. 高校は何から始めればよいですか?
A. まずは探究の記録と振り返りを残す仕組みづくりと、発表して質問に答える機会を増やすことです。紙やスプレッドシートでも始められます。
まとめ
- 令和9年度入試(今年度実施)から、総合型・学校推薦型選抜では面接による評価が原則必須になりました。
- 「面接」にはプレゼンテーション、口頭試問、集団討論、オンライン実施も含まれます。
- 非公募型・専願の学校推薦型は例外で、既存の区分には遅くとも令和11年度入試までの経過措置があります。志望校ごとの確認が欠かせません。
- 大学が探究で見るのは、課題を選んだ理由、自分の役割、根拠の質、大学での学びへのつながりです。どれも、日々の記録と振り返りがあってこそ語れます。
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出典
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項及び大学院入学者選抜実施要項等について(通知)」(8文科高第318号、令和8年5月27日)https://www.mext.go.jp/content/20260526-mxt_daigakuc02-000005144_1.pdf
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」https://www.mext.go.jp/content/20260529-mxt_daigakuc02-000005144_1.pdf
- 関東学院大学「2027年度 総合型選抜(9月募集)【探究評価型】理工学部数理・物理コース」https://ao.kanto-gakuin.ac.jp/cms/wp-content/uploads/T202709_subutsu.pdf
- 帝塚山大学「総合型選抜 探究型」https://www.tezukayama-u.ac.jp/admission/admissions/admissions_office_exploration/
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。











