学校教育で生成AIを活用する際、便利さの裏にある技術的リスクや権利侵害への対策は避けて通れません。本記事では、著作権や個人情報の取り扱い、情報の信頼性を確かめるファクトチェックの手順など、学校現場で生徒に指導すべき具体的な注意点と安全な運用方法を分かりやすく解説します。

高校/学校の探究担当の先生向け探究学習支援サービス『TimeTact』 CSRの枠を超えた教育投資『TimeTact』

【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。

現在、探究に関する無料相談会を開催中です。探究へのICT活用や外部連携にご興味ある方、お気軽にご連絡下さい。ご予約は探究学習・TimeTactの無料相談フォーム

【企業のCSR広報ご担当者様へ】
CSR広報活動の強い味方!
探究教育を通して、学校と繋がるさまざまなメリットを提供しています。


まずはお気軽に「教育CSRサービスページ」より資料をダウンロードください。
また無料相談も可能です。些細なご相談やご質問、お見積りなど、お気軽にご相談ください。

教育現場における生成AIの3大リスク

生成AIは非常に強力な学習支援ツールですが、知識やモラルが未熟な生徒が不用意に使用すると、思わぬトラブルに繋がる可能性があります。学校でAIを安全に導入するために、先生方が把握し、生徒に指導すべき3大リスクを整理します。

1. 著作権侵害のリスク(出力の利用と入力)

生成AIの利用において、著作権に関する理解は極めて重要です。注意すべきは「AIの出力をそのまま公表する行為」と「他人の著作物をAIに読み込ませる行為」の2点です。例えば、AIが生成した文章や画像を、自分で作ったものとしてコンテストや外部の発表会に提出した場合、既存の著作物と類似性があれば著作権侵害と判断される可能性があります。また、他人が書いた本や論文、WEB記事の文章をそのままコピーしてプロンプトに入力し、要約させる行為もプライバシーや著作権の観点から避けるべきです。法的助言ではなく現場の注意点として、生徒には「AIの出力はあくまで下書きやヒントであり、最終的な表現は自分自身のオリジナルの言葉で書くこと」を徹底させましょう。引用のルールを学び、AIが用いたデータソースを明記するよう習慣づけることも重要です。

2. 個人情報・秘密情報の流出

多くの生成AIは、ユーザーが入力したプロンプトを後続の学習データとして使用する仕様になっています。そのため、生徒が自分の本名、住所、部活動の具体的な状況、あるいは友人の悩み事などをAIに入力して相談すると、その情報が将来的に他人の画面に出力されてしまうリスクがあります。授業で使用する際は、AIツールのアカウント設定で履歴を残さない設定にするか、プロンプトには絶対に個人が特定できる情報や学校内の非公開情報を書き込まないというルールを徹底する必要があります。具体的なルール策定の手順については、こちらの学校独自の生成AI利用ルール策定のポイントを参考にしてください。データの取り扱いに対する意識を高く持たせることが情報モラルの第一歩です。

3. ハルシネーション(偽情報)とファクトチェック

生成AIは確率的に最もらしい言葉を繋げて文章を作っているため、あたかも事実であるかのように嘘の情報を出力するハルシネーションが発生します。生徒がAIの言ったことをそのまま鵜呑みにしてレポートに記載してしまうと、内容の信頼性が著しく損なわれます。AIから得たデータや情報については、必ず一次情報(官公庁のホームページ、信頼できる新聞社、学術論文など)で裏取りを行うというファクトチェックの手順を習慣づける指導が必要です。AIを過信せず、批評的に見る目を養うことは、情報社会を生き抜くために不可欠なスキルです。データが不足しているときに嘘をそれらしく答えさせる実験などを通じて、ハルシネーションを体感させることも効果的です。

学校で実践すべき安全対策と指導ステップ

これらのリスクを回避しながら、授業で生成AIを有効活用するための具体的な指導ステップを紹介します。

ステップ1:利用規約とデータ設定の確認

まずは利用するAIツールの年齢制限や利用規約を、先生方が事前に確認します。特に高校生が使用する場合、保護者の同意が必要なケースもあります。また、学習にデータを使わせないためのオプトアウト申請や、履歴オフ機能の設定方法を最初の授業で全員と一緒に設定することをお勧めします。管理コンソールがある場合は、教育機関向けの安全な設定(セーフサーチや不適切ワードのフィルタリング)を有効化します。

ステップ2:情報モラル教育との統合

生成AIのルールを独立した規則として教えるのではなく、従来の情報モラル教育(パスワードの管理、ネット上の個人情報保護など)の延長線上として位置づけます。これにより、生徒はなぜAIに入力してはいけない情報があるのかを既存の知識と結びつけて理解しやすくなります。デジタル・シチズンシップ教育の一環としてAIの適切な付き合い方を教えます。

ステップ3:ファクトチェックの授業案

あえて嘘の情報が混ざりやすいテーマ(例えば、ローカルな歴史や専門的な科学の未解明領域)についてAIに質問させ、その出力結果から間違っている部分を探し出させるワークを行います。この実践を通じて、生徒はAIの限界を身をもって理解し、一次情報を調べることの重要性を学びます。生徒自身が自分の力で思考を組み立てるためのアプローチについては、生徒の思考停止を防ぎ、主体的思考を促すアプローチもご覧ください。ファクトチェックのプロセスそのものをレポートに記載させる指導も有効です。

リスクを恐れすぎず、正しいリテラシーを育むために

危険だから使わせないという全面禁止の姿勢は、生徒から将来的に必要なデジタルリテラシーを身につける機会を奪うことにも繋がります。大切なのは、リスクの存在を正しく教えた上で、それを回避する具体的な方法を体験を通じて身につけさせることです。安全な運用の下で、生徒たちが生成AIを有能なパートナーとして活用できるようサポートしていきましょう。

学校内で共有できる安全運用チェックリストを作る

リスク対策は担当教員だけに任せず、学校内で共通のチェックリストにしておくと運用しやすくなります。入力してはいけない情報、引用が必要な場面、AIの回答を信じてよいか確認する手順、困ったときに相談する相手を1枚にまとめ、授業前に配布します。生徒にとっても、先生にとっても判断基準が見える状態になるため、過度な禁止と無制限な利用のどちらにも偏りにくくなります。

テーマ別に読み進める

関連する解説を体系的に確認する場合は、生成AI×探究学習の実践ガイドをご覧ください。

まとめ

著作権保護や個人情報管理、ハルシネーション対策は、生成AIを使う上での基本のルールです。これらの情報リテラシーを丁寧に指導し、トラブルのない安全でクリエイティブな探究学習を実現しましょう。

学校・教育関係者の方へ

探究学習の授業設計やTimeTact活用を相談する

学校の状況に合わせて、探究カリキュラム、教員負担、外部連携についてご案内します。

探究学習について相談する

ABOUT ME
記事著者のプロフィール画像
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
Study Valley編集部は、探究学習、教育、企業連携、進路に関する記事を企画・編集しています。公的機関の一次資料と公開事例を確認し、教育現場で実践に移しやすい情報を届けます。
高校/学校の探究担当の先生向け探究学習支援サービス『TimeTact』 CSRの枠を超えた教育投資『TimeTact』

【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。

現在、探究に関する無料相談会を開催中です。探究へのICT活用や外部連携にご興味ある方、お気軽にご連絡下さい。ご予約は探究学習・TimeTactの無料相談フォーム

【企業のCSR広報ご担当者様へ】
CSR広報活動の強い味方!
探究教育を通して、学校と繋がるさまざまなメリットを提供しています。


まずはお気軽に「教育CSRサービスページ」より資料をダウンロードください。
また無料相談も可能です。些細なご相談やご質問、お見積りなど、お気軽にご相談ください。

【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。