高校/学校の探究担当の先生向け探究学習支援サービス『TimeTact』 CSRの枠を超えた教育投資『TimeTact』

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生成AIで探究アンケートの自由記述を分析する:架空データで手順を確かめる

探究活動のアンケートには、選択式の設問に加えて自由記述(記述式)の設問がよく含まれます。件数が多くなると人の手だけで分類するのは大変ですが、AIにすべて任せてしまうと分類のズレに気づけないことがあります。この記事では、架空のデータ例を使って、AIの分類を人の目で確認・照合する手順を確かめます。実在する生徒の回答や個人情報は一切使用していません。

使用するデータ(架空・9件・全文掲載)

「今回の探究活動で難しかったことは何ですか(自由記述)」という設問に対する、説明用に作成した架空の回答9件です。誰でも同じ手順を再現できるよう、全文をそのまま掲載します。

ID回答(架空)
1資料を探すのに時間がかかり、情報が十分に集まらなかった
2グループのメンバーと意見がまとまらず、話し合いに時間がかかった
3スケジュール通りに作業を進められず、最後は詰め込みになった
4発表資料をどうまとめればいいか分からず、構成に悩んだ
5探究テーマに合う参考資料がなかなか見つからなかった
6グループの中で作業量に差があり、負担が偏ってしまった
7途中でやる気を保つのが難しく、集中が続かなかった
8アンケートの質問文の作り方が難しく、回答が集まりにくかった
9発表の練習時間が足りず、本番でうまく話せなかった

分類ルールを先に決めておく(分類ルールの適用例)

分類する前に、次の5つのカテゴリと、1件につき1つのカテゴリだけを付ける「単一ラベル」のルールを決めておきます。複数の内容が混ざっている回答は、文章の中で最初に出てくる語句ではなく、困難の根本原因(何が引き金になっているか)を基準に分類する、というルールも合わせて決めておきます。たとえば「準備不足で当日うまくいかなかった」という内容であれば、結果として表れた症状(発表がうまくいかない等)ではなく、その原因(準備・時間の不足)を優先して分類します。

  • 情報収集・資料集め
  • グループ内の連携・分担
  • 時間管理・スケジュール
  • 発表・まとめ方
  • その他

以下の表は、上記の分類ルールをこの9件の架空データに適用した参照例です。実際に複数人で分類作業を行って得られた調査結果ではなく、ルールの使い方を示すための例として作成しています。

ID分類ルール適用例備考
1情報収集・資料集め「時間がかかり」とも読めるが、根本原因は「資料が見つからない=情報収集の難しさ」と判断。原因の切り分けが割れやすい例
2グループ内の連携・分担
3時間管理・スケジュール
4発表・まとめ方
5情報収集・資料集め
6グループ内の連携・分担
7その他他のどのカテゴリにも当てはまらない少数意見の例
8情報収集・資料集め
9時間管理・スケジュール文頭は「発表の」だが、根本原因は「練習時間の不足」と判断し、症状(発表)ではなく原因(時間)を優先

この適用例の内訳(単一ラベル、母数9件):情報収集・資料集め 3件(33%)、グループ内の連携・分担 2件(22%)、時間管理・スケジュール 2件(22%)、発表・まとめ方 1件(11%)、その他 1件(11%)。※各件数を9で割った割合を四捨五入して表示しているため、合計は99%となり100%に一致しません(端数処理によるもので、集計の誤りではありません)。

AIに分類を依頼するときのプロンプト例

AIに分類を依頼する際は、すべてのIDが結果に出そろうこと、上記と同じ「根本原因を基準にする」ルールを使うこと、判断に迷う回答は「ambiguous(判断が割れる)」として理由も添えてもらうことをプロンプトに明記します。

プロンプト例:「以下はID1〜9の自由記述回答です。それぞれを次の5分類(情報収集・資料集め/グループ内の連携・分担/時間管理・スケジュール/発表・まとめ方/その他)のいずれか1つに分類してください。分類の基準は、文章中で最初に出てくる語句ではなく、困難の根本原因(何が引き金になっているか)とします。複数の原因が考えられて判断に迷う場合は、分類名の代わりに『ambiguous』とし、迷った理由も一言添えてください。必ずID1からID9まで全件について回答してください。」

AIの分類結果はどうなりうるか(学習用の想定例)

下の表は、上記のプロンプトに対してAIがどのような分類を返す可能性があるかを示した学習用の想定例です。実際にAIへ入力して得られた実行結果ではなく、分類ルールの適用例との食い違いが起こりうるパターンを説明するための仮の例として示しています。

ID想定されるAIの分類(仮の例)
1時間管理・スケジュール(分類ルール適用例「情報収集・資料集め」と食い違う想定)
2グループ内の連携・分担
3時間管理・スケジュール
4発表・まとめ方
5情報収集・資料集め
6グループ内の連携・分担
7その他
8情報収集・資料集め
9時間管理・スケジュール

分類ルール適用例とAIの想定分類を照合する

この想定例では、ID1だけ分類ルール適用例(情報収集・資料集め)とAIの想定分類(時間管理・スケジュール)が食い違っています。ID1の原文「資料を探すのに時間がかかり、情報が十分に集まらなかった」を読み返すと、「資料を探す」ことと「時間がかかる」ことの両方が含まれており、どちらを根本原因とみるかで分類が変わりうることが分かります。このように、複数の原因が混在する自由記述では、分類基準を決めていても判断がずれることがあります。実際に分析する際は、このような食い違いが見つかった回答を一件ずつ原文に戻って確認し、あらかじめ決めたルール(根本原因を優先する、など)に沿って最終的な分類を決めてください。

この照合作業から分かること

AIによる自由記述の分類は、件数が多いときの一次分類としては役立ちますが、分類の境界があいまいな回答(ID1のような例)や、少数しかない意見(ID7のような「その他」)については、人が原文に戻って確認しないと見落としや誤分類が生じることがあります。AIの分類結果をそのまま採用するのではなく、必ず自分たちで決めた分類ルールと照合し、差があった箇所は原文を読み返して判断するという手順を踏むことが大切です。生成AIを教育活動で使う際の留意点は、文部科学省の生成AI活用ガイドライン(Ver.2.0、2024年12月26日公表)でも、AIの出力をそのまま採用せず内容を確認することの重要性が示されています(文部科学省「学校現場における生成AIの利活用について」)。この記事で示した数値・分類例は架空データに基づく学習用の想定であり、AIの分類精度や分類ルールとの一致率について一般的な効果を主張するものではありません。

実際に自校のアンケートを分析するときの注意点

  • 生徒の氏名・学年・クラスなど個人が特定できる情報はAIに入力しない。氏名を伏せても、自由記述の内容自体(具体的な体験や状況)から個人が推測できてしまう場合があるため、記述内容そのものの取り扱いにも注意する
  • AIの分類結果は必ず自分たちで決めた分類ルールに沿って原文と照合する(特に少数のカテゴリや、判断が割れる回答は全件確認する)
  • 少数意見(1〜2件しかない分類)ほど、AIが見落としたり誤読したりする可能性があるため、結果からそのまま除外せず確認する
  • この記事の架空データはあくまで授業内での練習用であり、実際の生徒アンケートを扱う場合は学校が定めるデータの取り扱いルール・承認された環境を使う

探究活動の記録としてアンケート分析の経過を残す

アンケートの集計方法や、AIの分類結果をどう確認・修正したかという経過を記録しておくと、発表の際に「どう分析したか」を説明しやすくなります。探究活動の記録運用については、学校向けTimeTactのノート機能で分析の途中経過を保存し、グループメンバーや教員からのコメントを残しておく使い方が考えられます。分類基準の妥当性判断や最終的な考察の評価は教師の指導・判断に委ねられます。

テーマ別に読み進める

関連する解説を体系的に確認する場合は、生成AI×教育×探究学習 完全ガイド|授業設計・校内ルール・評価をご覧ください。

まとめ

生成AIによるアンケート自由記述の分析は、人の分類と照合する手順をセットにすることで、探究活動の分析作業として活用できます。架空データでの練習を通じて、照合の手順そのものを身につけておきましょう。

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この記事を書いた人:Study Valley 編集部
Study Valley編集部は、探究学習、教育、企業連携、進路に関する記事を企画・編集しています。公的機関の一次資料と公開事例を確認し、教育現場で実践に移しやすい情報を届けます。
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。