近年注目が集まっている、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility=CSR)。昨今では世の中のトレンドとして、「重視するのが当たり前」のような風潮になっています。だからこそ表面的な活動や施策も散見されており、「そもそも企業は社会に対してどのような責任を負っているのか」という本質的な意義や必要性を理解しづらいと感じている方も少なくないのではないでしょうか?
結論から言うと、本質的には企業は社会の資源を借りて事業を営んでおり、社会に対する責任があります。また、社会的責任を果たすことによって、売上のUPや採用への寄与など、企業自身にとってのメリットもあります。
今回の記事では企業の社会的責任(CSR)について、必要である根本的な理由や果たす4つのメリットを解説しています。
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企業には社会の資源を借りている責任がある
そもそも企業は社会の資源を借りて経営活動をしているため、社会に対してその資源を丁寧に扱う義務を負っています。
企業が経営活動を実施するには、土地・人材・資源などを活用する必要があります。この土地・人材・資源などは企業だけのものではなく、社会から借りているものなのです。社会の資源を借りて経営活動をしている以上、その資源を丁寧に大切に活用する責任があります。
それは、土地・人材・資源などを乱雑に扱うことなく、企業の経営活動に伴うネガティブな影響を最小化することであり、また資源を浪費することなく、本業に限らず企業の「立場」、つまり存在意義を通して社会が得られるメリットを最大化することでもあります。
まずそもそも大前提として、企業が経営活動をしている時点でこのような「社会的責任」が発生していると言えます。近年では企業の社会的責任を果たす活動について「企業のメリットが得られる」という視点で語られることも多いですが、そもそもは言葉どおり「責任」であることも理解しておくと良いでしょう。
企業の社会的責任は公害や企業の不祥事などから度々注目されてきた
「企業の社会的責任」に関する歴史は古く、大元を辿ると「企業が負う当然の責めとして、深刻な社会問題を解決すべき/未然に防ぐべき」という意味で必要であり、重要なことであると言えます。
現在から約70年前の1956年には経済同友会が「経営者の社会的責任の自覚と実践」を提言するなど、「企業の社会的責任」という概念はその頃から存在していました。しかし1970年前後になると、四大公害に代表されるような公害やオイルショック時の企業による買い占めなど、企業が社会からの信頼を失うような出来事が多発しました。
こうした出来事を受けて、「企業の社会的責任」に世間から本格的に注目が集まり始め、また各団体や企業も本格的に「企業の社会的責任」に目を向けるようになっていったのです。
現代において企業の社会的責任(CSR)はなぜ必要?
「企業が負う当然の責めとして、深刻な社会問題を解決すべき/未然に防ぐべき」という意味合いで企業の社会的責任は1970年前後から注目されてきましたが、その必要性は決して過去のものではありません。一方で現代においては上記に加えて、社会問題の解決になる活動を積極的に実施することも求められています。
1970年代以降も企業による偽装、粉飾決算など信頼を失うような事件は後を断ちません。また環境破壊やグローバル化に伴う問題など、社会問題は依然として深刻なまま存在しています。こうしたことから、現在に至るまで「企業が負う当然の責め」として企業の社会的責任は問われ続けています。
一方で企業の社会的責任についての議論は年々拡大し、「企業が負う当然の責め」を超えた活動も企業の社会的責任を果たす取り組みとして考えられています。依然として深刻な社会問題に対して、企業が負うべき最低限の責任範囲を超えて、積極的に解決に向けた取り組みを実施することが求められています。
つまり現代において企業の社会的責任が必要な理由は、「企業が負うべき当然の責め」に加えて、「社会の資源を借りている立場上、社会問題に対して積極的に取り組むことが求められているから」だと言えます。
具体的に企業に求められているのは、「4パート・モデル」で紹介されている以下4つの責任です。
- 経済的責任:収益を上げ、経済的に持続可能であること
- 法的責任:社会の一員として、法の枠組みの中で公正に事業を行うこと
- 倫理的責任:法的な義務を超えて、社会全体に対して誠実かつ公正な行動をすること
- 裁量型責任:社会課題の解決に向けて自発的に活動すること
4パート・モデルでは、企業の社会的責任における分野がピラミッド型になっており、経済的責任を土台として下から順に積み上げられています。詳細は別記事「企業の社会的責任(CSR)における4つの分野」で詳しく解説しています!
企業が社会的責任(CSR)を果たさないことで被る4つのデメリット
企業が果たさなければならない社会的責任ですが、特に経済的責任・法的責任・倫理的責任については、当然ですが最低限果たすべき内容になります。
これらを果たさないことで主に以下4つのデメリットを被ります。
- 中長期的に売上が下がる可能性
- 取引先が減少する可能性
- 人材の採用ができなくなる・人材が流出する可能性
- 資金調達ができなくなる可能性
経済的責任・法的責任・倫理的責任を果たさない場合、企業による不祥事として報道される、行政処分が下されるなど、企業にとって深刻な事態に陥る可能性があります。心構えとして重視するだけではなく、自社の在り方や取り組みを見直すと良いでしょう。
企業が社会的責任(CSR)を果たす活動に積極的に取り組む4つのメリット
上述の通り、特に経済的責任・法的責任・倫理的責任を果たさないことで、企業は様々なデメリットを被ります。一方でその3つの責任を果たした上で、さらに裁量型責任を果たす活動に積極的に取り組むと、さまざまなメリットを得ることができます。以下4つのメリットを押さえた上で、自社ではどのようなことができそうか積極的に検討すると良いでしょう。
- 売上が上がる・取引先が増える
- エンゲージメントの向上・採用につながる
- リスク管理ができる
- 株価が上がる
①売上が上がる・取引先が増える
企業が社会的責任を果たす活動に取り組むことで、消費者や顧客からの信頼を獲得することができ、結果的に売上UPが見込めます。消費者や顧客だけではなく、さまざまな企業からの信頼を獲得できることで、取引先として選ばれやすくなります。
実際にCSR活動が売り上げに貢献しているというのは東北公益文科大学総合研究論集にも述べられています。
『a.CSR活動に製品・サービスが利用されている』と『b.CSR活動は自社の事業プロセスで実践している』という比較的に戦略性の高いCSRに関係する2つの変数と、『売上高』や『経常利益』という企業業績を表す2つの変数には、いずれも1%ないし5%水準で、弱いながらも有意な相関関係が存在することが明らかとなった。また、差は少ないものの、『a』は『b』よりも、売上高と経常利益の双方により強い相関関係が認められる。これにより、CSRの戦略性の高さは当該企業の業績に影響を及ぼしていると判断できる。
東北公益文科大学総合研究論集 より引用
また裁量型責任を果たす活動に取り組むことで、新たな消費者や顧客・取引先への接触もできます。認知度が向上するという点からも、ビジネスの加速が期待できるでしょう。
②エンゲージメントの向上・採用につながる
企業が社会的責任を果たす活動に取り組むことで、従業員が誇りを持って働ける職場環境を作ることができます。また裁量型責任を果たす活動は、自社の存在意義やサービスの提供価値に改めて焦点を当てて考えるきっかけとなるため、エンゲージメントの向上や人材の定着につながります。
社会的責任を果たしていることをしっかりと求職者に伝えることができれば、採用市場における競争力も高まります。
③リスク管理ができる
社会的責任を果たすように社内の体制やガイドラインを整えることで、環境や労働などに関するリスクを早期に特定・管理することができます。また企業が将来的に直面する可能性のある法的リスクや社会的批判についても、未然に防ぐことができます。
④株価が上がる
社会的責任を果たす企業は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの視点から投資先を評価する「ESG投資家」からの支持を得やすくなります。したがって取り組みに力を入れ投資家に発信することで、長期的な資本調達がしやすくなるとともに、株価の向上が期待されます。
コストがかかる・メリットが得られるまでに時間がかかるというデメリットも
上記のように裁量型責任を果たす活動に取り組むことで、企業はさまざまなメリットを得られます。一方で、活動を実施するにはコストがかかる、メリットが得られるまでに時間がかかるというデメリットもあります。
コストについては金銭的なものだけではなく、人的コストも含まれます。裁量型責任を果たす活動は、単発で実施すれば良いというものではなく、継続的に実施をする必要があります。自社のリソース状況を踏まえて、継続可能な活動を実施するようにしましょう。
企業が社会的責任(CSR)を果たすために実施すべき3つの施策
企業が社会的責任を果たすことはあらゆる面で重要ですが、具体的な施策に取り組むためには、その前に社内で土台を形成することが必要です。以下3つを参考に、社会的責任を果たす活動をするために自社で実施すべき土台形成の施策を検討すると良いでしょう。
- 体制を整備する
- 従業員1人ひとりの理解や意識を向上させる
- 外部の専門家・サービスと協力をする
①体制を整備する
まずは誰が責任を持って活動を推進するのか、どの会議で議論をするのかなど社内の体制を整備することが大切です。専任の担当や部門を設置することが望ましいですが、難しい場合でもリーダーやメンバーを決めておくと良いでしょう。兼任の場合は、広報や人事担当をリーダーとする場合が多いです。
②従業員1人ひとりの理解や意識を向上させる
企業が社会的責任を果たすためには、担当者だけが推進すれば良いという話ではありません。従業員1人ひとりの理解や意識を向上させ、日常業務においてそれを実践できるようになることが重要です。定期的な社内研修やワークショップを開催し、社会的責任に関連する知識やスキル、自社の取り組み方針などを従業員に伝えましょう。
また従業員1人ひとりの理解や意識を向上させるためには、経営層のリーダーシップが欠かせません。経営トップが社会的責任の重要性を認識し、組織全体にその価値を浸透させることで、活動が単なる表面的なものではなく、全社的な優先事項として位置づけられます。
③外部の専門家・サービスと協力をする
社会的責任を果たす活動を効果的に進めるためには、他の企業、NPOなどと協力関係を構築することが重要です。外部と協力をすることで、単独では解決しにくい社会課題にも取り組むことができます。
また活動をサポートする外部の専門家・サービスも多数存在しているため、積極的に活用すると良いでしょう。
CSRの枠を超えた教育投資ができる探究サポートプラットフォーム「TimeTact」
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、探究学習サポートプラットフォーム「TimeTact」を提供しています。
探究学習とは、日常生活などを通じて自ら課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のことです。 高等学校では「総合的な探究の時間」などの科目において、探究学習を導入した授業が行われています。
探究学習の詳細については、こちらの記事でご紹介しています。
「TimeTact」とは?
「TimeTact」とは、全国の教育機関を対象とし、主に高等学校に導入されている探究学習サポートプラットフォームです。「TimeTact」を通して、全国の教育機関様に対しては探究学習の実施をサポートする機能を、企業様に対しては生徒に自社の課題に取り組んでもらう場・機会を提供しています。
「TimeTact」を導入いただいた企業様は、自社の課題を探究テーマとして、自社概要や事業内容をインプット資料としてコンテンツ化し、授業の教材として「TimeTact」を通じて生徒へ提供できます。それにより、生徒に自社概要や事業内容を閲覧してもらったり、自社課題に取り組んでもらうことができます。
自社課題に取り組んだ生徒に対しては、「TimeTact」を通して成果へのコメントをすることができます。また生徒の発表を聞いたり、フィードバックをしたりする探究学習成果発表会を開催し、生徒と直接交流することもできます。
探究学習成果発表会の例はこちらでご紹介しています。
「TimeTact」の導入により社会貢献・CSRの取り組みができる
「TimeTact」は社会貢献・CSRの領域に取り組みたい企業様に、ぜひ導入いただきたいサービスです。企業様が「TimeTact」に自社課題を掲載することで、生徒は社会や企業が抱える生きた課題に触れることができます。また自社課題に取り組んだ生徒に対してコメントをすることで、生徒の思考力や視座を高めることに寄与できます。
企業様は「TimeTact」を通して、自社の事業特性を活用しつつ、教育という領域で社会に対して貢献をすることができます。
「TimeTact」の導入によりCSRの枠を超えた教育投資を
「TimeTact」は、生徒が自ら課題を解決する「探究学習」をサポートするサービスです。「TimeTact」に企業様の課題を掲載する際には、「生徒が主体的に取り組めそうな課題の難易度か」「企業様が最終的に達成したい目的も達成できそうか」などをしっかりと設計しています。
自社課題に取り組んだ生徒は、表面的ではなく、事業や仕事の内容、取り組んでいる課題などを深く理解することができます。したがって「TimeTact」を導入することで、「社会的な責任を果たす」というCSRの領域を超えて、投資のように様々なメリットを得ることができます。
未来の市場を創造
探究学習に参画することで、若い世代に自社製品やサービスを知ってもらう機会となり、将来の消費者との関係構築にも寄与します。
採用競争に勝つブランディング
近年では「企業の社会的責任」に対する注目が集まっており、「世の中の役に立ちたい」「社会貢献がしたい」と考えている求職者も少なくありません。
「TimeTact」を通して教育支援に参加することで、社会貢献性の高い企業としての認知が高まり、優秀で意欲的な人材の採用が期待できます。
社員のやる気を刺激—教育支援で見える社内活性化の効果
企業課題を探究テーマとして学生と一緒に考えることで、仕事への満足度や企業への帰属意識を強化し、社内活性化と生産性の向上が期待できます。
イノベーションへの架け橋
探究学習に投資することで、若者の創造性と企業の新技術や新サービスが結びつき、イノベーションの土台を構築することができます。
最小限のリソースで導入できる
当社では、採用・認知向上・社内活性化の課題抽出から、探究テーマの設定および、探究学習における取り組みまでの一切をサポートしています。企業様には最小限のリソースで取り組んでいただけます。
詳細は「TimeTact」の企業様向け紹介ページをご確認ください!
【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。
現在、探究に関する無料相談会を開催中です。探究へのICT活用や外部連携にご興味ある方、お気軽にご連絡下さい。ご予約はこちら(2024年3月現在、問い合わせが急増しております。ご希望の方はお早めにご連絡ください)。
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CSR広報活動の強い味方!
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。