SDGsは最近よくテレビでも見るから、探究テーマにしてみようかな
いいことなのはわかるんだけど、正直、なにが大事なのかよくわかってないんだよね
私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。
先生方とお話する中で、冒頭のようなご相談をよくいただきます。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)は、探究学習でも取り上げられることが多いテーマです。とはいえ、そこまで普段の生活で意識することがないと興味や関心を持ちづらいのではないでしょうか。
実は高校生がSDGsを探究すべき合理的な理由があります。この記事では「高校生がSDGsを行うべき4つの理由」を紹介します。
SDGs探究をやるべき4つの理由
1.自分たちの暮らす世界をより良いものにするため
2.就職や起業に役立つ
3.進路選択に役立つ
4.大学受験に役立つ
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1.自分たちの暮らす世界をより良いものにするため
そもそもSDGsとはなんでしょう。
SDGsとは「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに私たちが達成すべき目標」です。
SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略になります。つまり、国際社会と地球環境が直面しているあらゆる課題の解決とサステナブルなあり方を目指して作られた世界共通の目標です。
SDGsの項目は17に分かれています。「世界共通の目標」というと縁遠く感じるかもしれませんが、実はどれも生活と密接に関わっています。
たとえば、7つ目の目標である「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」。
「2030年までに、だれもが、安い値段で、安定的で現代的なエネルギーを使えるようにする」というゴールがあります。
私達の生活は電力がなくては成り立ちません。世界で電力を使えない人は7億人以上いるとされています。この目標は、このような電力インフラが整っていない国や地域のことが念頭におかれています。
しかし、日本も無関係ではありません。日本のエネルギーの自給率は12%もありません。日本の生活は海外のエネルギーによって支えられているのが現状です。過去の石油ショックのようなことが原因で「安い値段・安定した供給」が脅かされる可能性もあります。
また、現在主流の発電方法は二酸化炭素を排出する資源を利用しています。地球環境にとってより優しい、クリーンなエネルギーへの大きな舵切りが求められています。
解決策として水力や風力、原子力発電などクリーンな電力割合を増やすことが考えられます。一方でクリーンエネルギーにも課題が。気候に大きく影響されることや発電コストが割高であること、また、原子力には環境汚染の問題などが山積しており、一筋縄では行かないのが現状です。
しかし日本で安価で安定したクリーンエネルギー技術が開発されれば、安価ですが炭素を大量に排出する化石燃料に頼らざるを得ない発展途上国の、今後の炭素排出量を抑えることにつながる可能性もあります。巡り巡って日本の課題解決が世界の課題解決に貢献することも十分あり得るのです。
このように、SDGsは日本の課題でもあり、世界の課題でもあります。
そして、教科書のように、答えが用意されている問題ではありません。
高校のうちから、こうした「大きくて複雑だけど生活にも世界にもつながっている問題」について知り、解決法について考える練習をしておくことは将来かならず役に立ち、自分達の暮らしを良くすることにつながります。
SDGsはそのための格好の教材です。
2.就職や起業に役立つ
これからの社会人にはSDGsは基礎知識となります。
今の企業がSDGsに対応することは、当然の社会的責任としてみなされる風潮になりました。ビジネスの発展がSDGsに逆行してしまうことは、もはや経営リスクです。そのため、従業員ひとりひとりにSDGsを意識した判断や言動が求められるようになってきています。
たとえばSDGs達成に貢献できる商品を開発したり、SDGsに基づいて環境負荷が少ない生産設備を整えたり、ジェンダー平等となるように採用や組織を見直す動きが活発になっています。
この動きは国内に限らず、海外でも見られます。海外の企業は日本企業以上に熱心にSDGsに取り組んでいるといわれています。
それを後押ししているのが環境や社会、組織に配慮した企業への積極投資です。これは「ESG投資」と呼ばれ、2020年には世界で3,900兆円もの金額が投資されたと言われています。
SDGsとESGは別の言葉ですが、ざっくり「ESGは企業活動にSDGsの観点を取り入れたもの」と捉えてかまわないと思います。
ESGとは?
持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境・社会・カバナンスの3つの観点。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。
気候変動問題や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的成長を目指す上で重視すべきESGの観点での配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値毀損のリスクを抱えているとみなされます。そのため、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられています。
「ESG投資」とは「ESGに配慮した企業に対して投資を行うこと」、「ESG経営」とは「ESGに配慮した企業経営を行うこと」です。
参考リンク
ESG(環境・社会・ガバナンス)とは(野村総研)
日本においても今後、ますますESGの観点を重視する企業が増えると思われ、学生にとっても関係の深いSDGsについて学んでおくことが就職活動やその後の社会活動にも役に立つでしょう。
起業やビジネスチャンスにも
いずれ起業したい学生にも無関係ではありません。起業は、なんらかの問題解決や価値提供のアイディアを実現するものです。その問題や価値は、よく見るとSDGsのどれかと関係している可能性があります。
これからのビジネスにはSDGsに貢献することが付加価値となりますし、投資家から資金を集めるという観点(ESG投資)でも、この潮流自体にもビジネスチャンスが潜んでいます。
3.進路選択に役立つ
SDGs探究は、進路選択で途方にくれている高校生にも役立ちます。
SDGs探究をすることにより、自分の進路、目の前では大学で何を学ぶかを明確にするきっかけになります。
SDGs探究は、Z世代(2000年代以降に生まれた世代)と呼ばれる世代の特徴に合致し、主体的な学びになりやすく、またさまざまな分野に横断的に触れることができるため、今後、何を学びたいかを考える良いきっかけになるからです。
主体的な学びになりやすく進路を考えるきっかけにも
Z世代の特徴の一つとして「社会貢献欲求が高い」ことが挙げられています。仕事選びにあたっても、お金よりも「やりがい」を重視する傾向が指摘されています。
SDGsは世界共通のミッションであり、課題集のようなものですから、Z世代にとってSDGsは取り組みがいのあるテーマです。そこから将来の進路につながるヒントを得られる可能性もあるでしょう。
様々な学問領域に触れて、より深く学びたい意欲が生まれる
さらに、SDGsを通じて、さまざまな分野に触れることになります。
例えば「貧困問題」の解決には、経済、政治、歴史、医療、福祉、雇用、公共政策など実に多方面の学問領域が関わってきます。
17つの項目に分かれているSDGsの解決には、それぞれこのような広範に渡る知識を必要とします。もちろん限られた探究の時間ですべてを深く知ることはできませんが、その中で自分が何を深く学びたいかを考えるきっかけにもなるでしょう。
4.大学受験に役立つ
ほかの3つと比べると身近になりますが、SDGsを学ぶことは大学受験にもメリットがあります。
大学入試でSDGsに関連した出題が増えているからです。特に大学ごとの二次試験や推薦入試ではその傾向が見られます。
これは、令和二年度の琉球大学農学部の小論文テストです。
問1 SDGsの目標達成のために国内外で様々な取り組みがなされているが、その具体的な取り組みについて新聞等のマスメディアを通してあなたの知っていること、または直接経験したことをあげてその取り組みに対する自分の考えを400字以下で記述しなさい。
問2 SDGsの目標達成のために、自分が取り組みたい、または取り組むことが可能なことを、まず達成目標の番号を挙げて、さらにその具体的な内容について、800字から1000字 程度で記述しなさい。ただし本学科に入学後、学習または研究したいと考えていることと結びつけて記述すること。
普段からSDGsや社会課題に慣れ親しんでおくことで、こうした問題にもとっつきやすくなります。SDGs探究が大学受験対策にもなるのです。
まとめ
この記事では、高校生がSDGsについて学ぶべき理由を4つご紹介しました。
SDGs探究をやるべき4つの理由
1.自分たちの暮らす世界をより良いものにするため
2.就職や起業に役立つ
3.進路選択に役立つ
4.大学受験に役立つ
SDGsは「世界共通の目標」であると同時に、私たちひとりひとりの普段の生活や将来にも密接に関連しています。
「世界」というと大きすぎたり遠すぎたり感じてしまいがちですが、まずは普段の生活のなかで「もっとこうだったらいいのにな」「なぜこうなっているんだろう」と思うことから掘り下げてみるのはどうでしょうか。
それこそが問題意識のタネであり、たどると必ずSDGsにも結びついているはずです。問題の共通項がわかると、解決や対策のヒントも見つかりやすくなります。SDGsをより知ることで、世界をより身近に感じてみましょう。探究テーマとしてのSDGsをぜひ検討してみてください。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。