企業の社員や専門家などが教育機関に出向き、特別授業を行う「出前授業」。新学習指導要領に「社会に開かれた教育課程」の項目が追加されたこともあり、近年注目が集まっています。
一方で、いざ出前授業を導入しようとなると「どのぐらいの費用がかかるのか?」「できるだけ工数を抑えて導入する方法はないのか?」など、コスト面で気になることも多いのではないでしょうか?
本記事では、出前授業にかかる費用やコスト軽減の方法について、学校関係者・企業担当者の双方から解説をしていきます。
なお、「そもそも出前授業とは?」については、下記記事で解説しています。併せて参考にしてください!
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出前授業にかかる費用の相場は無料~3万円程度
出前授業にかかる金銭的な費用は、合計で無料〜3万円程度です。費用の内訳は、大きく以下の3つに分けられます。
- 講師料
- 材料費
- 交通費・宿泊費
いずれの費用についても、学校側が企業側に支払いをします。講師料については無料に設定しているプログラムが多く、費用が発生するとしても2万円程度が相場です。材料費や交通費・宿泊費については実費でかかる場合もありますが、それら費用含めて無料の出前授業も多く存在しています。
出前授業には時間・人的コストもかかる
出前授業にかかるコストは、金銭的な費用だけではありません。出前授業を成功させるためには、学校側・企業側どちらも相応の準備=時間・人的コストをかける必要があります。それぞれどのようなコストがかかるのか、解説をします。
学校側にかかる時間・人的コスト
学校側では対学校内・対講師側、それぞれで調整・準備を進める必要があります。
学校内での準備
出前授業を実施するにあたり、まずは学校内で以下のような調整・準備をする必要があります。
- 予算の確保
- 出前授業をする目的の設定
- 講師・プログラムの選定
- 出前授業実施に伴う通常授業の内容・スケジュール調整
多くの場合、パッケージ化されたプログラムから申し込むのであれば1ヶ月前までには先方にアポイントメントの連絡を入れる必要があります。しっかりと時間を確保し、早めに準備を進めると良いでしょう。
講師との準備
学校内での調整だけではなく、講師とのやり取りも必要です。
- アポイントメントの取得・日程調整
- 授業・プログラム内容の調整/ミーティングの実施
講師とのミーティングを実施する際には、出前授業の目的や生徒の特性など、プログラムを調整する上で必要な情報をあらかじめまとめておくとスムーズです。
出前授業に学校側で必要な準備の詳細は「要チェック!出前授業に向けた準備4ステップ!」でも解説しています。ぜひご覧ください!
企業側にかかるコストは?
企業側でも対社内・対学校側、それぞれで調整・準備を進める必要があります。
社内での準備
学校側とのやり取りだけではなく、企業内においても以下のような準備をする必要があります。
- 出前授業を通して達成したい目標の設定
- 派遣する講師の選定
- 材料・必要機材などの調達
- 授業内容・プログラムの作成
- 授業の練習・リハーサル
出前授業を提供することで、採用力の強化・若い世代への認知向上/好感度醸成・社内の活性化などの効果が期待できます。自社の目標や期待する効果を社内でしっかりとすり合わせたうえで、準備を進めると良いでしょう。
学校側との準備
学校側とは、以下のようなやり取りをする必要があります。
- 日程調整
- 生徒の年齢層や関心事のヒアリング
- 授業・プログラム内容の調整/ミーティングの実施
企業側で準備することの詳細は「【事例6選】出前授業の実施方法!企業のメリットと検討・準備すべきポイント」で解説をしています!
出前授業にかかる費用・コストを軽減するには?
時間・人的負担も考えると、かなりのコストがかかる出前授業。少しでもコストを軽減するためにはどうすればいいのか、学校側・企業側のそれぞれから解説します。
学校側のコストカット方法3選
学校側がコストカットをする方法としては、大きく以下の3つが挙げられます。
企業や団体が提供する、パッケージ化されたプログラムから選ぶ
出前授業のプログラムや実施実績がない企業・団体に依頼をするよりも、すでにパッケージ化されたプログラムに申し込みをするほうが、準備やスムーズの手間を大幅に削減できます。また金銭的な費用についても、無料・低料金のプログラムが多数存在しています。
例えば出前授業どっとこむのような出前授業の検索・紹介サイトや、各自治体・大学・企業などのホームページから探してみると良いでしょう。
学習テーマ(目的)に沿った授業が可能な企業・プログラムを選ぶ
学習テーマや目的が曖昧なまま出前授業を依頼してしまうと、講師との内容調整に大幅な時間や労力がかかってしまいます。まずは学習テーマや目的をしっかりと確認し、それに沿った企業・講師を選定することで、授業内容をスムーズに調整することができます。
近隣の企業・団体に依頼する
近隣の企業・団体に依頼をすることで、交通費を安く抑えることができます。また地域特有の特性・風習などを改めて理解してもらう必要がないため、コミュニケーションや内容の調整がスムーズに進められる場合も多いです。
企業側のコストカット方法
企業側がコストカットをする方法としては、大きく以下の2つが挙げられます。
プログラムをパッケージ化する
同じような内容の授業を複数回提供する予定がある場合は、1回ごとに内容を検討・作成するのではなく、予めパッケージとして作成して提供すると良いでしょう。準備の工数を削減できることに加え、同じ授業を繰り返すことで本番のクオリティを高めやすいという副次的な効果も期待できます。
サポートサービスを導入する
出前授業の実施をサポートしてくれるサービスを導入することで、準備や調整の工数を抑えることができます。金銭的な費用は発生しますが、その分効果も高めやすくなります。
学校教員必見!人気の出前授業プログラムを学校種別にご紹介
近年では教育CSRの分野に注目が集まっており、企業から提供される出前授業のプログラムも多数存在しています。本章では、パッケージ化されたプログラムの中から人気の出前授業を学校種別にご紹介します。どのプログラムも費用は無料です、ぜひ参考にしてください!
小学校向け人気の出前授業
小学校での出前授業は、児童の好奇心を刺激し、学習への興味を引き出すことが重要です。体験活動や実験を通じて、学びを楽しく感じさせ、日常生活との関連を見出させるようなプログラムを選ぶと良いでしょう。
うま味・栄養のひみつ|味の素株式会社
「うま味・栄養のひみつ」は給食を題材に、うま味やおいしさとは何か、栄養バランスのよい食事の大切さを学べる授業です。味の素株式会社が出前授業の活動を開始したのは、2006年。現在に至るまで、約13万人の子どもたちが受講している、実績のある企業の出前授業プログラムです。
京セラグループ環境・エネルギー出前授業
「京セラグループ環境・エネルギー出前授業」では、環境問題やエネルギーに対して理解を深め、地球を思う心を育てられるよう、太陽電池や蓄電池を題材としています。2002年度より実施しているプログラムで、これまでに約13万名(2023年3月末時点)の子どもたちが受講しています。
環境コミュニケーション | 環境への取り組み | サステナビリティ | 京セラ
中学校向け人気の出前授業
中学校向けの出前授業では、生徒の基礎的な思考力や問題解決能力を育成することに焦点を当てると良いでしょう。専門家による知識や、社会課題に目を向ける機会を提供することで、多角的に思考する力を伸ばすことができます。
無料出張講演「正しく怖がるインターネット~事例に学ぶ情報リテラシー~」|グリー株式会社
「正しく怖がるインターネット ~事例に学ぶ情報リテラシー~」は、実際に起きたネット炎上事例を題材に、問題を整理しながら「適切なふるまい」や「絶対に失敗しない使い方」を伝える出前授業です。インターネットを安全かつ楽しく利用するための、正しいルールや注意点について、分かりやすく説明しています。
無料出張講演「正しく怖がるインターネット~事例に学ぶ情報リテラシー~」
“はたらく”を考えるワークショップ|パーソルキャリア株式会社
「“はたらく”を考えるワークショップ」は、子ども自身に”はたらく”ことの本質的な意味を考えてもらうためのプログラムです。一人ひとりが、主体的に未来を描いて行動する力=キャリアオーナーシップを身につけ、納得のいく人生を形づくれる世界にしていくという想いから提供されています。実施学校数は302校と、実績も豊富です。
高校向け人気の出前授業
高校では、将来のキャリアや専門分野に対する理解を深めることがポイントです。将来のキャリアとつながりがある専門的知識や技能の紹介、また大学進学・社会進出に向けた授業を取り入れることが有効となります。
キャッシュレス決済のしくみとクレジットカード|三井住友カード株式会社
「キャッシュレス決済のしくみとクレジットカード」は、クイズ形式で問題を解きながらキャッシュレス決済の仕組みを理解する授業です。クレジットカードを含めた各種カードの特徴を理解することで、よく考えてお金を使うことの大切さ、約束を守ることの重要性について感じとってもらえるようなお話を提供しています。
エネルギーや放射線に関する出前授業|一般財団法人日本原子力文化財団
「エネルギーや放射線に関する出前授業」では、エネルギー問題に向き合い、自ら考え、判断する力を身に付けることができるような授業を提供しています。講義テーマと実習・実践内容が複数用意されているほか、用意されたプログラム以外の内容も相談をすることができます。
エネルギーや放射線に関する出前授業 | エネ百科|きみと未来と。
他の事例については学校別!出前授業の事例6選でご紹介しています!
企業担当者必見!出前授業も実施できる探究学習のサポートサービス「TimeTact」
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、探究学習サポートツール「TimeTact」を提供しています。
探究学習とは、日常生活などを通じて自ら課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のことです。 高等学校では「総合的な探究の時間」などの科目において、探究学習を導入した授業が行われています。
探究学習の詳細については、こちらの記事でご紹介しています。
「TimeTact」とは?
「TimeTact」とは、全国の高等学校向け探究学習サポートサービスです。「TimeTact」を通して、全国の高等学校様に対しては探究学習の実施に必要な機能を、企業様に対しては生徒に自社の課題に取り組んでもらう場・機会を提供しています。
企業様に「TimeTact」を導入いただくことで、自社の課題を探究テーマとしてコンテンツ化し、「TimeTact」を通じて生徒へ提供できます。また出前授業として、自社課題に取り組んだ生徒の発表を聞いたり、フィードバックをしたりする探究学習成果発表会の開催もできます。
探究学習成果発表会の例はこちらでご紹介しています。
「TimeTact」を導入するメリット
「TimeTact」を導入いただくことで、採用・認知向上・社内活性化など様々な効果が期待できます。
採用競争に勝つブランディング
企業が教育支援をすることで、社会貢献性の高い企業としての認知が高まり、優秀な人材の採用が期待できます。
未来の市場を創造
教育への参画は、若い世代に自社製品やサービスを知ってもらう機会となり、将来の消費者との関係構築にも寄与します。
社員のやる気を刺激—教育支援で見える社内活性化の効果
企業課題を探究テーマとして学生と一緒に考えることで、仕事への満足度や企業への帰属意識を強化し、社内活性化と生産性の向上が期待できます。
最小限のリソースで導入できる
当社では、採用・認知向上・社内活性化の課題抽出から、探究テーマの設定および、探究学習における取り組みまでの一切をサポートしています。企業様には最小限のリソースで取り組んでいただけます。
詳細は「TimeTact」の企業様向け紹介ページをご確認ください!
【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。
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【企業のCSR広報ご担当者様へ】
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探究教育を通して、学校と繋がるさまざまなメリットを提供しています。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。