探究学習

【解説付き】企業と高校が連携してSDGsに取り組んだ探究学習事例5つを紹介

企業と連携してSDGs探究をやりたい
でも具体的にどうすればいいの?どんな事例があるの?

私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。

先生方とお話する中で、冒頭のようなご相談をよくいただきます。

この記事では企業と高校が連携してSDGsに取り組んだ探究学習事例5つを解説します。

どんな取り組みが行われているの?成果物はなに?生徒の感想は?などを具体的に紹介します。

目次
SDGs探究の事例を紹介
1. 飢餓問題に取り組むために「TABLE FOR TWO自販機」を設置する
2. 建設会社に向けた企画案を作り、発表する
3. 余り布を使ったSDGs商品企画授業
4. オンラインで工場見学をし、SDGsについて考える
5. PETボトルリサイクルの大切さを学ぶ
まとめ

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SDGs探究の事例を5つ紹介

今回は、SDGs探究のうち、企業と連携した事例に絞って解説します。

1. 飢餓問題に取り組むために「TABLE FOR TWO自販機」を設置する
2. 建設会社に向けた企画案を作り、発表する
3. 余り布を使ったSDGs商品企画授業
4. オンラインで工場見学をし、SDGsについて考える
5. PETボトルリサイクルの大切さを学ぶ

SDGsのテーマは企業でも導入しているところが多くあります。そのようなSDGsに積極的な企業と協働することで、より社会について本格的に学習できます。

探究学習にSDGsを導入するメリット等についてはこちらを参考にしてください。

参考:>SDGs探究のメリットと実施の注意点まとめ

1. 飢餓問題に取り組むために「TABLE FOR TWO自販機」を設置する

事例名オリジナルラッピングの「TABLE FOR TWO自販機」
学校名浜松開誠館高等学校
企業名コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社
特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO International
SDGs目標(2)飢餓をゼロに

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社、特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO Internationalと浜松開誠館高等学校(静岡県浜松市)が協働して、飢餓解決のテーマに取り組んだ事例です。

同校内に生徒がデザインした「TABLE FOR TWO自販機(以下、TFT自販機)」を設置しました。

取り組み内容

浜松開誠館高等学校では、探究的な学びの一環としてSDGsを通じた課題解決方学習を行なっています。この学習活動において、飢餓解決に向けて支援したいという生徒の思いから、企業に相談したのが始まりです。生徒が、校内自販機の是非や活用方法について話し合いを重ね、さらに企業とも主体的に協議することで、この「TFT自販機」の設置に至ったそうです。

生徒は「TFT自販機」のラッピングのデザインに取り組みました。TFT自販機には、生徒が選んだ写真とオリジナルのメッセージ「誰ひとり取り残さない未来を目指す」が描かれています。

この設置した「TFT自販機」の売上の一部は「特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International」に寄付され、開発途上国の子どもたちの学校給食支援という形でSDGsの目標へ貢献されます。

コメント

●浜松開誠館高等学校 髙橋校長のコメント
今回の取り組みは、まさに文科省が提唱する「主体的、協働的学び」を実践し、課題解決学習のモデルとなる事例です。今回、仲間や多様な大人と協働しながら、社会をよくする変化をつくりだす経験をした生徒は、大きな自信を持てたと思います。

●浜松開誠館高等学校グローバルコース 代表生徒のコメント
この度は、私たちの提案を実現していただき誠にありがとうございます。今後も自分たちが学習したことを行動に移していきたいです。

●TABLE FOR TWO International 山本様のコメント
彼らの熱意を通じて、浜松開誠館高等学校の皆さまのみならず地域の皆さまにとって食料問題がより身近になり、自分ごと化していくきっかけになることを願っております。

●コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 ベンディング浜松支店 門谷支店長のコメント
この度SDGs達成に向けた生徒のみなさんの思いを反映した自動販売機を設置することができ、大変嬉しく思っております。今回の設置が、多くの方に持続可能な社会について理解いただく機会となれば幸いです。

参考記事・画像引用
>浜松開誠館高等学校にオリジナルラッピングの「TABLE FOR TWO自販機」設置~SDGs達成に向けて協働~
>浜松開誠館高等学校と協働でSDGs達成に向けた取り組みを実施~校内にオリジナルラッピングの「TABLE FOR TWO自販機」を設置~
>TABLE FOR TWOに関して

2. 建設会社に向けた企画案を作り、発表する

事例名クエストエデュケーション
学校名育英西高等学校
企業名大和ハウスグループ
SDGs目標(11)住み続けられるまちづくりを

クエストエデュケーションとは、『現代社会を題材に、教室で「生きる力」を育む』学習プログラムのことであり、全国の中学・高校で導入されている探究学習プログラムの一つです。2005年から開始し、全国36都道府県294校、5万6,000人の学生と12以上の企業が参加しています。

今回はこのプロジェクトのうちの一つを紹介します。こちらは2016年度の活動です。

取り組み内容

1. グループ決め
教材配布・企業決定を行い、チームを組む。

2. 企業調査
企業の研究や「初仕事」として街頭でのアンケート調査を実施。街の人に「大和ハウスって知っていますか?」と積極的に質問したりしてアンケートをとります。

こうして企業について学んだ後、それぞれ担当する企業から「ミッション」を与えられます。2016年度の大和ハウスは以下のようなミッションを出しました。

「私たちが世界を変える!72億のハートを動かす大和ハウスの新商品を提案せよ!」

3. 企画案作成
出されたミッションをもとにグループで、生徒同士でブレインストーミングを行います。メンバーと真剣に議論し、企画を考えながらぶつかりあっていきます。

4. 中間発表
クラス内で各チームが企画案を発表します。企業の方も学校に訪問し、企業人からアドバイスを受けることで、プレゼンを改善していきます。企業と触れ合うことで、社会や経済、働くことの意義も学ぶことができます。

5. 地区のミーティング
各地区の学校が集い、合同での発表会やディスカッションを行いました。

6. 校内の最終発表
学校内で数々のフィードバックを超えた企画を、パワーポイント等を使って発表します。

7. クエストカップ全国大会
クエストカップ全国大会が2月に行われました。一月の事前審査を通過した、全1,465作品のうち、79作品が出場しました。

まず企業ごとに分かれてプレゼンテーションを行い、審査を受けます。そこで企業の賞をいただいたグループが、全体で発表を行います。ここでさらに最優秀賞「グランプリ」と「準グランプリ」が決定します。

2016年度の育英西高等学校「大和に住んで17年チーム」はゴキブリが地球上で非常に清潔な生物であることに着目し、ゴキブリの脂肪酸を活用した「最強の除菌建材」を提案し、グランプリを受賞しました。

生徒の感想

こちらは、グランプリを受賞した「大和に住んで17年チーム」の一人の生徒の感想です。

「多くの人と関わることで、「様々な角度からものを見ることができる」ことに気づきました。そして、メンバーと真剣に議論する過程でメンバーの個性に初めて気づきました。各メンバーの強みを活かせたのも、クエストでの長期に亘る「本気の議論」があってこそだと思います。」

現在もオンライン形式でクエストカップは開催されています。

参考記事・画像引用
>大和ハウスグループ クエストエデュケーション
>QUEST CUP 2022 企業探究部門
>教育と探究社 クエストエデュケーションオフィシャルサイト

3. 余り布を使ったSDGs商品企画授業

事例名SDGs商品企画授業
学校名佐賀商業高等学校
企業名菅公学生服株式会社
SDGs目標(12)つくる責任 つかう責任

佐賀商業高等学校(以下、佐賀商業)では、制服の製造工程で発生し廃棄される端材(余り布)を使って商品を企画するというSDGs商品企画授業を行いました。

授業はSDGsセミナー、プレゼンテーション準備、各クラスの発表、代表チームによるプレゼンテーション大会の4回に分けて行われました。企業はそのうちSDGsセミナーとプレゼンテーション大会の2回に参加しました。

取り組み内容

1. SDGsセミナーの様子
1年生約280人を対象に1クラスは対面で、他6クラスにはオンラインで当社社員がSDGsセミナーを実施しました。

セミナーでは「SDGsとは何か」「世界でどんなことが起こっているのか」「一人一人にどんなことができるのか」など、SDGsについて多角的に考えさせられる内容が詰まっています。セミナー中、生徒は真剣に話を聞いていて、積極的に質問もしていました。

また佐賀商業による、プレゼンテーションについてのセミナーも併せて実施されました。「相手のことを考え、相手に喜んでもらうように発表する」という一番大切なことを伝え、プレゼンテーションの効果的な手法など、営業職の社員が話をしました。

2. プレゼンテーションの準備
SDGsセミナー後、クラスの中でチームに分かれて「制服の余り布を活用したアップサイクル商品および売上金のSDGs的活用アイデア」というテーマで企画を考えます。

アップサイクルとは、本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせることです。

3. 各クラスの発表
クラス内で制服の余り布を使ったSDGs商品のプレゼンテーションを実施しました。発表をもとに、クラスごとに代表チームが選出されます。

4. 代表チームによるプレゼンテーション
各クラス代表の7チームで、プレゼンテーション大会を実施しました。大会には、地元企業の方や、当社社員も審査員として参加しました。

企画案は、エコバッグ、ブックカバー、巾着袋など様々なものがあがり、どういった点でSDGsに貢献できるのか考えられていました。

またプレゼンテーションを演劇風に実施したり、聞いている人に問いかけたりといった工夫がされており、「どうすれば興味を持ってもらえ、伝わりやすくなるのか」を自分たちで考えて発表していました。

生徒の感想

「今回のセミナーを聴いて、ますますSDGsに対する興味・関心がわいた。SDGsについての理解をさらに深め、プレゼンテーションは絶対成功させたい。」

「これから実生活でエコバッグを使ったり、なるべくゴミを出さないようにするなどしてSDGsに貢献したい。」

このようにSDGsに関して理解が深まり、今後の自分の活動について話す様子が見られました。

詳細:>商品企画を通して考えるSDGs❘佐賀商業高等学校

4. オンラインで工場見学をし、SDGsについて考える

事例名SDGs教室 ミライーね!~牛乳石鹼 赤箱の工場見学編~
学校名大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校
企業名凸版印刷株式会社、牛乳石鹼共進社株式会社
SDGs目標(12)つくる責任 つかう責任

取り組み内容

凸版印刷のショールーム「PLAZA21 関西」/牛乳石鹸の安田工場/大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校の教室の3拠点をオンラインでリアルタイムに接続し、高校生向けSDGsワークショップを開催しました。

① 凸版印刷、牛乳石鹼ってどんな会社?
② オンライン工場見学で学ぶ「牛乳石鹼の地球にやさしいものづくり」
③ 高校生グループワーク(今日からできるエコアクションを考えよう/牛乳石鹼の製品で考える環境にやさしい製品とは?)

生徒は、牛乳石鹼の取り組みを学ぶことで、地球を取り巻く様々な課題をより身近なこととして学ぶことができました。

参考記事・画像引用
>凸版印刷、牛乳石鹼と高校生向けSDGs教室を開催

5. PETボトルリサイクルの大切さを学ぶ

事例名SDGs達成に向けわたしたちにできること2021
学校名東福岡自彊館中学校
企業名コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社
SDGs目標(14)海の豊かさを守ろう

取り組みの内容

SDGs達成に向け、生徒たちとともに具体的なアクションを考える機会を創出するため、中学2年生を対象とした探究学習において、企業に講演してもらった事例です。

企業講演は、生徒の興味・関心を喚起する(課題設定)、企業の持つ情報をシェアしてもらう(情報の収集)のに有効です。また、1時間から実施できるので、企業連携のもっとも小さな単位として取り組みやすいというメリットがあります。

午前に教師や企業の方によるSDGsの理解を深める授業を実施し、午後には「コカ・コーラの事例から学ぶ SDGsの達成に私たちができること」というテーマで企業が講演を行いました。SDGs達成を目指す企業の姿勢や、飲料企業としてコカ・コーラシステムが取り組んでいる内容が、生徒たちに紹介されました。

また生徒たちが日々学園で取り組んでいるPETボトルのリサイクルが、廃棄物ゼロ社会の実現に向けて大切な行動であり、SDGs達成につながっていることも生徒に伝えられました。

コメント

東福岡自彊館中学校の生徒のコメント
「私たちは日頃から学校生活のなかで起きている課題解決に委員会ごとに取り組んでいるが、特にPETボトルの分別回収の取り組みが、SDGsの推進につながっていることを実感した。今後より一層、リサイクルを意識して分別回収を協力して行っていきたい。」

●先生のコメント
「なぜだろう?」という生徒の視点からわかりやすく説明をいただいた。「なぜPETボトルのリサイクルが大切なのか」「なぜコカ・コーラ社はこの活動を率先して行っているのか」を知れたことで、生徒たちの行動も変わってくると思う。」

●コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社の社員のコメント
「生徒のみなさんがSDGsの実現に向け、自分たちに何ができるのかということを積極的に考え、発言をしている姿がとても印象的だった。日頃のアクションがSDGsの実現につながっていることを感じ、日々の行動が変わることを期待している。」

参考記事
>東福岡学園の生徒と考える SDGs達成に向けわたしたちにできること2021 ~コカ・コーラの事例で学ぶ講演会を実施~

まとめ

企業と協働して行なっているSDGs探究事例について5つまとめました。

1. 飢餓問題に取り組むために「TABLE FOR TWO自販機」を設置する
2. 建設会社に向けた企画案を作り、発表する
3. 余り布を使ったSDGs商品企画授業
4. オンラインで工場見学をし、SDGsについて考える
5. PETボトルリサイクルの大切さを学ぶ

生徒のコメントからもわかるように、企業との協働探究は生徒にとって貴重な経験になることでしょう。

外部連携についてまとめた記事もありますので、ぜひ参考にしてください。
>【前編】徹底解説!探究学習の外部連携に必要なことは?連携のパターン、メリットについて
>【後編】徹底解説!探究学習の外部連携とは?連携時のポイント、連携先の探し方、事例について

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【高校の探究担当の先生へ】
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。