・探究で外部の企業や組織と連携したいけどやり方がわからない
・効果はありそうだが大変なことも多そうで、あらためてメリットやポイントを整理したい
私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行うICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。
その中で、先生方から冒頭のようなご相談をよくいただきます。特に地域探究、企業探究、進路・キャリア探究、総合的な探究などで外部連携がよく話題に上るようです。
そこでこの記事では外部連携について徹底解説。連携するときの8つのポイント、提携先の探し方、事例まで解説します。
*前編では連携パターン、メリット・連携に必要なことについて解説しています。
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外部連携8つのポイント
外部連携するときに具体的にどのような点がポイントになるのでしょうか。ここでは8つに分けて解説します。
1.日常的な関わり
2.担当者や組織の設置
3.教育資源のリスト
4.適切な打合せの実施
5.学習成果の発信
6.探究のゴールを共有する
7.連携先に何をしてほしいかを明確にする
8.期待値をコントロールする
1.日常的な関わり
これは探究の設計以前の問題、探究の準備期間にどうしておくべきかということで、日ごろから地域や外部組織と積極的につながり、関係を築いておくことが探究における本格的な連携の基盤になるということです。例として
・地域活動への参加
・大学、商工会、非営利団体から社会人講師を招く
ことが挙げられています。
もし、今まで何もしてこなかったとしても慌てる必要はありません。まさにここに紹介されているところから始めれば良いのです。例えば地域探究の一部として地域活動に参加しても良いですし、テーマ探しのきっかけとして講師を招いて講演してもらうということもできます。
2.担当者や組織の設置
ここまで見てきたように外部連携は決して簡単なことではありません。一人の担当者にすべてを任せて成功を期待することは現実的ではありません。学校内で協力体制を作り、管理職も積極的にサポートすることが望まれます。
3.教育資源のリスト
外部連携業務の属人化を防ぎ、今年度の成果を次年度以降に引き継いでいくためにも、学校が培ってきた教育資源をリスト化しておくことが重要です。
4.適切な打合せの実施
探究がスタートすると想定外のことが数多く起こり始めます。お互いに期待していたことが違った、よかれと思って行ったことが良くない結果につながったというようなことが起こりえます。
例えば生徒のマナーが相手に不快な印象を与えたり、講師の指導が充実しすぎて生徒が調べる余地がなくなったりといったことです。
必ず改善点は出てくるという前提で、協力しながら探究のゴールへ向かえるように、むしろ探究が始まったあとにこそ、適切な打ち合わせの場が必要です。
5.学習成果の発信
外部との連携をより一層円滑にするために、学習成果を発信することが望まれます。学校内だけで閉じることなく、保護者や地域の住民にも発表を公開することで、外部連携によって生まれた学習成果を発表の参加者全員が実感することができます。また学外発信は広く成果を見てもらえるため、より良い連携先と出会えたり、メディアに取り上げられるきっかけになる可能性もあります。
6.探究のゴールを共有する
連携先と探究のゴールを共有し「同じ方向を向く」ということが最も重要といっても過言ではありません。探究の準備においては、カリキュラムや指導内容の検討、探究が始まってから方向性の修正、これらには探究のゴールを共有が必要です。具体的には学習のねらい、育成を目指す資質や能力について共有しておくことです。
7.連携先に何をしてほしいかを明確にする
連携を依頼するときは、探究のどのプロセスに、どのように関わってほしいのかをある程度明確にしておく必要があります。
冒頭で紹介した、外部連携のパターンを再掲します。
【探究プロセス】 | 【外部連携のパターン】 |
---|---|
総合的なサポート | カリキュラムや教材作成から関わってもらう(1学期~) |
テーマへの興味喚起など | 講師を招いて講演(1日~) |
テーマへの興味喚起、情報収集など | 施設見学や体験(1日~) |
情報の収集、整理・分析 | インタビュー(1日~) |
整理・分析、まとめ | 来校・オンライン・メールなどで質問に答えてもらう(1日~) |
まとめ・表現 | 実験器具や設備を借りる |
まとめ・表現 | 論文のアドバイザー |
まとめ・表現 | 発表会に参加してフィードバックしてもらう |
連携にはさまざまなパターンがあります。学校としてどのような探究を行おうとしていて、そこにどのように協力してほしいのかを伝えることが重要です。絞り切れない場合は数パターンを用意しておいて、それをたたき台にして相談してもよいでしょう。学校側から具体的に協力してほしい内容を提示することで、連携先も、どこまで協力可能か、判断しやすくなります。
8.期待値をコントロールする
何度か言及しているように、連携はスタートしても上手くいかないことが出てきます。先方も協力したい!と前向きに関わってくれますが、やはり想定外のことが起こると困惑してしまうものです。それを見越して、開始前に期待値をコントロールすることも重要です。
今後、想定されるトラブルをあらかじめ伝える
と同時に、
問題が起こった時にはフィードバックを受け入れ、改善する姿勢があることをしっかり伝える
ことが期待値コントロールを行う上で大切なことです。
外部連携先の探し方
ここからは外部連携先の探し方を紹介します。
直接連絡する
インターネットなどを利用して、連絡する方法です。明確に連携したい人や組織がある場合はこの方法になりますが、そうでない場合は選択肢が多すぎて、効率的な方法とは言えません。提携したい先がまだ明確になっていない場合は以下の方法も検討してみてください。
文科省のサポートリストから選ぶ
文科省が公官庁で、総合的な学習の時間に支援を行っている組織をリスト化しています。
金融庁 | 農林水産省 | 財務省 | 警察庁 | 総務省 | 経済産業省特許庁 | 経済産業省特許室 | 経済産業省 | 環境省 | 法務省 | 文部科学省 | 文化庁 | 外務省 | 国立国会図書館 | 国税庁 | 国土交通省 | 厚生労働省 | 内閣府 | 内閣官房 | 公正取引委員会| 防衛省| 会計検査院
情報や教材提供だけのところもありますが、施設見学や体験学習、講師派遣に応じているところもあります。
テーマは、税や金融などから宇宙、農業、ロボット、伝統文化にいたるまで幅広いテーマがあります。
地元企業・団体・自治体から探す
地元の企業や商店街、商工会など、または自治体などへ紹介を依頼する方法があります。
全国の商店会や商工会などが主体となって、講座や体験をする「まちゼミ」というネットワークもあります。地元での進路・キャリア探究や地域探究のきっかけとしても利用相談できるでしょう。
業界団体などへ相談する
各種業界団体が、資料の提供や啓発活動の一貫として、講師派遣などを行っている場合があります。テーマが明確であれば、そこへ相談してみることも方法の一つです。
事例紹介
最後に、探究学習で外部連携を行い、成果を挙げている高校をいくつか紹介します。断っておきたいのは、これらの高校も一朝一夕でここまで来たのではなく、試行錯誤の結果、このような成果を挙げられるようになったということです。いきなりここを目指すのではなく、スモールステップから連携先と生徒とのコミュニケーションを重ねて、発展させていきましょう。
横高アカデミア(横須賀高等学校)
総合研究大学院大学、横浜国立大学理工学部、慶應義塾大学・立教大学等首都圏の大学などから講師を招き、高校3年間にわたって「知的探究心」を育てることを目的に、専門家の講義を受講します。
参考(横須賀高校卒業生へのインタビュー):アニサキス探究で慶應義塾大学SFCへ。探究の喜びを分かち合える仲間と出会えた~松下竜大さん~
防災教育(福島県矢祭町と教育委員会)
福島県矢祭町と教育委員会が連携、ICT端末を使った防災マップ作りを行っています。
参考:町立中学の修学旅行はオーストラリア!教育の最先端を行く「小さな町」矢祭町がICTで防災教育に取り組む理由
甲南大学リサーチフェスタ(甲南高等学校)
甲南大学・甲南高等学校が行っている研究や探究成果発表の場。近隣の高校も参加多数します。会場では発表に対して学校の壁を越えて質問やフィードバックが行われます。
秋商ビジネス実践(秋田商業高校)
2002年から行われているビジネスを学ぶ実践教育。「AKISHOP」というショップを開設し、高校生が地元企業と試作を重ねて開発したお菓子やパンなどの商品を販売します。また企業から現役のビジネスマンを講師として招き「ビジネス実践基礎講座」などの講座も行っています。
まとめ
外部連携の8つのポイント、連携先の探し方、事例を解説しました。外部連携には苦労もありますが、生徒が探究の楽しみを知る、成長につながることは間違いありません。これから始める方は、まずは講師に来てもらって講演してもらうなど、実行しやすいスモールステップから始めることをおすすめします。
また、私たちも連携先にお困りの学校様のご相談に乗らせていただいています。連携先でお困りの学校の先生はStudy Valleyまでお問い合わせください。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。