ないごて探究/鹿児島

【レポート】鹿児島県にて1日完結型の探究ワークショップ「ないごて探究Camp」を開催しました

2024年10月12日(土)、鹿児島県にある5つの高校、5つの企業が参加し、「ないごて探究キャンプ」が開催されました。

探究キャンプは、希望制の1日完結型探究ワークショップです。私たちStudy Valleyは、探究学習サポートサービス「TimeTact」を提供しています。「TimeTact」を通して、全国の高等学校様に対しては探究学習の実施に必要な機能提供を、企業様に対しては自社概要や生徒に取り組んでもらう自社課題の掲載をしています。

「探究学習(総合的な探究の時間)」は2022年4月より、全国の高等学校において必修化されています。「TimeTact」は主に高等学校における探究学習の授業計画・遂行をサポートしていますが、探究キャンプは「TimeTact」を導入している高等学校の高校生に希望を募り、探究学習において重要なスキルを習得することを目指して開催されるイベントです。

今回のキャンプでは高校生と企業が協働して、地域・社会の課題に対して理解を深めることと、探究をするために重要な「アイディア出し」のスキルを習得することを目標として活動が行われました。

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【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。

現在、探究に関する無料相談会を開催中です。探究へのICT活用や外部連携にご興味ある方、お気軽にご連絡下さい。ご予約はこちら(2024年3月現在、問い合わせが急増しております。ご希望の方はお早めにご連絡ください)。

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鹿児島県の高校生と地元企業をつなぐ「なごいて探究」

探究学習は、①問題設定、②情報の収集、③分析、④まとめ・表現、というプロセスを繰り返すプロジェクト型の学習です。変化の激しい社会に対応できるように、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしており、2022年4月から高校で必修化されています。

また、これまで文部科学省は、地域の学習環境を活用し、実社会や実生活の課題を取り上げ、教員以外のメンバーも参画した「チームとしての学校」を提唱してきました(【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説より )。

教育効果に加えて、教員の働き方改革の文脈でも注目を集めている学校の地域連携は、探究学習においても、重要とされています。

株式会社鹿児島讀賣テレビとStudyValleyは 、2024年度から「TimeTact」で高校生の探究学習をサポートする「ないごて探究」を実施しています。探究学習という新しい授業の中で、鹿児島県の高校生と企業をつなぎ、地元の大人が一丸となって高校生の探究学習をサポートし、地域の人材育成と新しい価値の創造を目指す取り組みです。

活動概要

現在、全国の高校生が取り組む探究活動ですが、「良い探究活動」を実現するには様々なハードルがあります。しかし高校生にとっては、いきなりそのハードルを越えることは難しいでしょう。そこで今回の「ないごて探究キャンプ」では、そのハードルの一つである「アイディア出し」に着目しました。

アイディア出しは探究学習において、課題に対する解決策を検討するのに有効な手段です。1学期から探究学習を進め、今後設定した課題に対する解決策を検討する学校が多いことから、本キャンプでは「アイディア出しで押さえておきたいポイントとは?」をテーマに、実際にTimeTactに掲載されている企業課題を用いたプログラムを組みました。

今回の活動概要は以下の通りです。

開催概要開催日:2024年10月12日(土)
方法:オンライン(Zoom)
参加企業
(順不同)
康正産業株式会社/株式会社フレッシュ青果/株式会社オーガランド/有限会社ショウナンエンジニアリング/社会福祉法人敬天会​
参加学校
(順不同)
鹿児島育英館高等学校/川辺高等学校/与論高等学校​/大口明光学園高等学校/鹿児島高等学校
実施内容
  • アイディア出しのポイントとは?ワークショップ
  • 地域課題・企業の説明
  • 探究計画立案①
  • 企業フィードバック
  • 探究計画立案②
  • 企業フィードバック
実施のねらい高校生と企業が協働して、地域・社会の課題を探究する効果的な方法を考える​
生徒:企業の知見を学び地域・社会の課題にアプローチする事で、実践的な探究スキルを身につける​
企業:自社の知見を元にアドバイスを行うことで、未来を担う若者の育成に貢献する

まずは知識をインプットすべく、「アイディア出しで押さえておきたいポイントとは?」の講義を設けました。その講義を踏まえて参加した高校生はグループワークとして、参加企業が提供する課題に対する解決策となるアイディアを生徒間で議論し、企業からのフィードバックを得ました。それを受けてアイディアをブラッシュアップし、再度フィードバックを得ることで、アイディアの出し方について具体的な実践を踏まえながら習得をしていました。

過去のキャンプイベントはこちら「【詳細レポート】1日完結型の探究ワークショップ「ひなた探究Camp」

「アイディア出しで押さえておきたいポイントとは?」レクチャー内容

参加した高校生は「アイディア出しで押さえておきたいポイントとは?」について、お掃除ロボットの拡販方法を具体例に、「課題を捉える」「実現可能性を考える」の2つのポイントを学習しました。

「お風呂でも使える機能を開発する」「学校での掃除に活用する」など、上記2点を踏まえてさまざまなアイディアが出されていました。

グループワークの様子

本イベントでは参加した高校生が5つのグループに分かれ、他校の生徒、ファシリテーターと共に鹿児島県の地域企業が提供する課題について、解決策のアイディア出しに挑戦をしました。議論はTimeTactの機能であるグループで共同編集可能なオンラインホワイトボード「あいである」を用いて行われました。

本記事ではネットショップにてサプリメントや食品を販売している株式会社オーガランドの「日本全国に魅力ある商品を発信!鹿児島の良さを伝える新商品(食品)について、企画しよう!」という課題に取り組んだグループについて紹介します。

STEP1:課題を知る

STEP1として、まずは「課題を知る」活動を行いました。

課題を捉えたアイディアを出すためには、まずは解決したい課題に対して理解を深めることが重要になります。そこでネットショップにおける商品企画をする上での課題について、リアルの店舗よりも多くの商品が比較検討される傾向にあるため、「自分たちの商品が、他とどう違うのか」が明確にわからなければ選ばれなくなることを解説しました。

したがって商品企画をする際には、「市場調査」「魅力化・差別化」「メッセージ明確化」の3ポイントを抑えるべきと話した上で、実際にオーガランドが企画をした新商品の事例を紹介しました。

STEP2:アイディア出しと企業からのフィードバック

STEP2では探究課題に対するアイディアを実際に出し、企業担当者の方からフィードバックをもらいました。

まずは鹿児島の魅力についてブレインストーミングを行い、「焼酎」や「火山灰」、「さつまいも」など身近なものが多数話題に挙がりました。その上で改めて新商品の企画を検討したところ、近年若者では美容に対する意識が高く、そこに対する商品を作れないかという話になりました。

オーガランドのご担当者からは、「火山灰の活用方法」や「美容成分」について伺いつつ、商品を売る際の対象の絞り方について、アドバイスをいただきました。

STEP3:フィードバックを踏まえてアイディアを改善する

STEP3では、STEP2でいただいたアドバイスをもとにアイディアをブラッシュアップしました。

いただいたアドバイス「対象の絞り方」を中心にディスカッション進めたところ、最終的には「性別にかかわらない商品を作れば売り上げを上げることができるのではないか」という仮説に辿り着きました。その仮説を元に、男女で使える火山灰をつかった泥パックの商品を考え付きました。またそこからパッケージのイメージも膨らみ、桜島のパッケージと美容を対比させて、インパクトのあるパッケージを考え付きました。

「ないごて探究キャンプ」に参加した企業・生徒の感想

本イベントに参加した企業・高校生から様々な感想が届きました。その一部を紹介します。

「ないごて探究キャンプ」に参加した企業の感想

  • 学生のアウトプットから、新たなイベントや商品のヒントをもらうことができました。学生の方々が日頃考えていることや経験していることを知る機会はなかなかなく、貴重な場でした。学生の方々にも「自分たちの意見は企業にとってありがたいものなんだ」とわかっていただき、今後も積極的に取り組んでもらえたらと思います。
  • Youtubeの企画について学生の方々から多くのアイディアをいただき、大変参考になりました。やはり日頃からYoutubeを見ている方からのアイディアは新我々からしたら新鮮だと感じましたし、それでいてしっかりと自社の課題を解決できそうという感触もありました。

「ないごて探究キャンプ」に参加した生徒の感想

  • 初めて会う人達とこうして話し合って進めていくのがとても楽しかったし、話し合いを通してどうすれば良い商品を作れるかなど考えられたので良かった。商品をどのようにしたら沢山売れるか商品を売る時に何を目的としているか学べた。
  • 企業の強みと自分の好きなものを繋げることが印象に残った。今回のイベントのように企業の方とお話できる機会をもうければ、より社会の問題を知ることができると思った。

Study Valleyと株式会社鹿児島讀賣テレビは、探究の成果発表会などを通じて、地元企業と高校生をつなぎ、地域の魅力創生、人材育成に取り組んでいく予定です。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。