あおい探究/東海

【レポート】東海エリアにて1日完結型の探究ワークショップ「あおい探究Camp」を開催しました

2024年9月28日(土)、東海エリアにある5つの高校、4つの企業が参加し、「あおい探究キャンプ」が開催されました。

探究キャンプは、希望制の1日完結型探究ワークショップです。私たちStudy Valleyは、探究学習サポートサービス「TimeTact」を提供しています。「TimeTact」を通して、全国の高等学校様に対しては探究学習の実施に必要な機能提供を、企業様に対しては自社概要や生徒に取り組んでもらう自社課題の掲載をしています。

「探究学習(総合的な探究の時間)」は2022年4月より、全国の高等学校において必修化されています。「TimeTact」は主に高等学校における探究学習の授業計画・遂行をサポートしていますが、探究キャンプは「TimeTact」を導入している高等学校の高校生に希望を募り、探究学習において重要なスキルを習得することを目指して開催されるイベントです。

今回のキャンプでは高校生と企業が協働して、地域・社会の課題に対して理解を深めることと、探究をするために重要な「調査計画」を立てるスキルを習得することを目標として活動が行われました。

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【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。

現在、探究に関する無料相談会を開催中です。探究へのICT活用や外部連携にご興味ある方、お気軽にご連絡下さい。ご予約はこちら(2024年3月現在、問い合わせが急増しております。ご希望の方はお早めにご連絡ください)。

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東海エリアの高校生と地元企業をつなぐ「あおい探究」

探究学習は、①問題設定、②情報の収集、③分析、④まとめ・表現、というプロセスを繰り返すプロジェクト型の学習です。変化の激しい社会に対応できるように、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしており、2022年4月から高校で必修化されています。

また、これまで文部科学省は、地域の学習環境を活用し、実社会や実生活の課題を取り上げ、教員以外のメンバーも参画した「チームとしての学校」を提唱してきました(【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説より )。

教育効果に加えて、教員の働き方改革の文脈でも注目を集めている学校の地域連携は、探究学習においても、重要とされています。

東海テレビ放送株式会社とStudyValleyは 、2023年度から「TimeTact」で高校生の探究学習をサポートする「あおい探究」を実施しています。探究学習という新しい授業の中で、東海エリアの高校生と企業をつなぎ、地元の大人が一丸となって高校生の探究学習をサポートし、地域の人材育成と新しい価値の創造を目指す取り組みです。

活動概要

現在、全国の高校生が取り組む探究活動ですが、「良い探究活動」を実現するには様々なハードルがあります。しかし高校生にとっては、いきなりそのハードルを越えることは難しいでしょう。そこで今回の「あおい探究キャンプ」では、そのハードルの一つである「調査計画」の立て方に着目しました。

調査は探究学習において、自身の立てた仮説を検証するのに有効な手段です。テーマを設定や仮説の立案と1学期から探究学習を進め、今後調査を実施する学校が多いことから、本キャンプでは「良い調査計画の立て方とは?」をテーマにプログラムを組みました。

今回の活動概要は以下の通りです。

開催概要開催日:2024年9月28日(土)
方法:オンライン(Zoom)
参加企業
(順不同)
碧洋管工株式会社/ホーユー株式会社/株式会社ほほえみ/株式会社山本工務店
参加学校
(順不同)
椙山女学園高等学校/鈴鹿高等学校/伊賀白鳳高等学校/津田学園高等学校/美和高等学校​
実施内容
  • 良い調査計画とは?レクチャー
  • 地域課題・企業の説明
  • 探究計画立案①
  • 企業フィードバック
  • 探究計画立案②
  • 企業フィードバック
実施のねらい高校生と企業が協働して、地域・社会の課題を探究する効果的な方法を考える​
生徒:企業の知見を学び地域・社会の課題にアプローチする事で、実践的な探究スキルを身につける​
企業:自社の知見を元にアドバイスを行うことで、未来を担う若者の育成に貢献する

まずは知識をインプットすべく、「良い調査計画とは?」の講義を設けました。その講義を踏まえて参加した高校生はグループワークとして、参加企業が提供する課題に即して探究の調査計画(進め方)を生徒間で議論し、企業からのフィードバックを得ました。それを受けて計画をブラッシュアップし、再度フィードバックを得ることで、調査計画の立て方について具体的な実践を踏まえながら習得をしていました。

過去のキャンプイベントはこちら「【詳細レポート】1日完結型の探究ワークショップ「ひなた探究Camp」

「良い調査計画とは?」レクチャー内容

参加した高校生は「良い調査計画の条件」について、「探偵として猫の行方調査を依頼された場合」を具体例に主に3つのポイントを学習しました。

①何を調査するのか(仮説)が明らか​

まずは調査において何を調査するのか、つまり仮説が明らかであることが重要です。仮説とは問いに対して最も確からしいと考えられる仮の答えであり、仮説を検証した結果はYesかNoで回答できる必要があります。

例えば猫の調査で言えば、「猫の居場所を調査する」といった漠然とした設定ではなく、「公園が好きな猫という情報から、探している猫は公園にいるのでは?」と仮説を設定すると、最も確からしいと考えられる仮の答えであり、YesかNoで回答できるとお話をしました。​

②いつ、誰に、どうやって、何を聞く、が具体的

​調査計画における重要な条件の2つ目として、いつ、誰に、どうやって、何を聞くのかが具体的に設定されていることが挙げられるとお話をしました。

猫の調査で言えば「朝、公園にいる人10人に、猫を探している飼い主のふりをして、猫の特徴を伝えて目撃情報を聞く」など細かい部分まで決められた計画は、具体的であると言えます。具体的な調査計画を立てる段階で、その計画が実現可能かどうかを冷静に判断する必要があることも伝えました。

③調査をした後に、それをどう使うかが想定されている

最後に、調査後に仮説が正しいと判明した場合、その結果をどのように活用して最終的な成果に結びつけるのかをあらかじめ想定しておくこと、逆に言うと活用方法が見出せない調査は有効とは言えないことをお伝えしました。

例えば聞き込み調査の結果から「探している猫が公園にいる」という仮説が正しそうだとわかった場合は、「目撃情報が多かった場所に張り込む」​​という次の手を打てば最終的な成果「猫の居場所を特定する」につながりそうだと想定できます。

仮説が間違っていそうだと判明した場合は、調査から得られた情報を元に新たな仮説を立てる必要があることもお話しました。

グループワークの様子

本イベントでは参加した高校生が4つのグループに分かれ、他校の生徒、ファシリテーターと共に東海エリアの地域企業が提供する課題について、調査計画の立案に挑戦をしました。議論はTimeTactの機能であるグループで共同編集可能なオンラインホワイトボード「あいである」を用いて行われました。

本記事では地域の高齢者に向けた多様なサービスを展開している株式会社ほほえみが提供した「地域の高齢者が抱える生きづらさを解消するためには?」という課題に取り組んだグループについて紹介します。

STEP1:地域・社会の課題を知る

STEP1として「地域・社会の課題を知る」活動を行いました。

調査計画を立てる上では、まずは解決したい課題に対して理解を深めることが重要になります。そこで株式会社ほほえみにまつわる社会課題「地域の高齢者が抱える生きづらさを解消するためには?」について、具体的に地域の高齢者はどのような生きづらさを抱えているのか解説をしました。

その後高齢者の抱える生きづらさについて、身近な高齢者のことを思い浮かべながら生徒たちにも具体例を挙げてもらいました。また株式会社ほほえみの方からも具体的な課題や現在実施している施策などについてコメントをいただき、課題に対しての理解を深めました。

STEP2:調査方法を考える

STEP2では探究課題に対する仮説について、実際に調査する方法を考えました。

仮説については「スムーズな買い物、運動の機会、若い世代との交流が大切なのではないか?」と考え、「地域コミュニティの場・買い物・運動スペースのある複合施設を作ればよいのではないか?」という説を立てました。

その上で自分たちが立てた仮説が適切であるか?需要や実現可能性はありそうか?を検証するために、どのような調査をすべきかの計画を立てました。調査内容を具体的にすること、調査結果を課題解決に結びつけることを踏まえて、「高齢者の方に買い物の頻度を聞いてみる」「支援者に現状の支援サービス内容を聞いてみる」などの意見が出ました。

株式会社ほほえみのご担当者からは「グループホームにはすでにジム顔負けのスポーツ設備を導入していたり、バスでショッピングモールに高齢者の方々を連れて行ったりしており、良い着眼点で考えられている」「複合施設やイベントがあっても、行きたい、参加したいと思ってもらえるかは別問題。高齢者の中には心身が弱っている方も少なくない。どうしたら行きたい、参加したいと思ってもらえるかも合わせて視野に入れると良い」とコメントをいただきました。

STEP3:フィードバックを踏まえて調査方法を改善する

STEP3では、STEP2でいただいたアドバイスをもとに調査計画をブラッシュアップしました。

実際にその課題に取り組む企業からのアドバイスでは、「どうしたら行きたい、参加したいと思ってもらえるかを考えよう」というコメントをいただきました。そのコメントを元に、そもそもの仮説「地域コミュニティの場・買い物・運動スペースのある複合施設を作ればよいのではないか?」を見直し、「高齢者の方が誰かと一緒に過ごす機会を作ればよいのではないか?」と仮説を立て直しました

その仮説を検証するための調査方法として「若者との交流を促進するために、私たち高校生がまずは高齢者の方とどのように関わりたいと考えているのかを聞いてみる」「ホームを利用していない方は誰かと一緒に過ごす機会が少ないのではないか。その方たちにどのような交流の機会があれば嬉しいかを聞いてみる」といったアイディアが出ました。

また「そもそも自分は高齢になったときに、ホームに入らず元気に自由に過ごしたいと考えている。ほほえみのご担当者の方にも、ご意見をお伺いしたい」という意見も出ました。

ほほえみのご担当者からは「確かに、初めから入りたいと心から思ってホームに入られる方はいない。いわゆる『予防介護』の視点から、50代・60代やそれ以下の方々を対象にサービスを提供するというのも1つの素敵な解決方法。その場合はそのサービスを提供することを念頭に、新たに仮説を立てて調査をする必要がある」「一方で、現在介護やホームを必要としている方々もたくさんいる。その方々に向けて喜んでもらえるように、一生懸命考えてサービスを提供することも大切なこと」とコメントをいただきました。

「あおい探究キャンプ」に参加した企業・生徒の感想

本イベントに参加した企業・高校生から様々な感想が届きました。その一部を紹介します。

「あおい探究キャンプ」に参加した企業の感想

  • 学生の方々は自社の業界に対して理解度が低く、またその理解度を上げる機会にも乏しいことを痛感しました。「学生の方々にどうしたら興味を持ってもらえるのか」はなかなか普段考えられていませんでしたが、彼らから視点やアイデアをもらえてよかったです。
  • 高校生の方から本質をつくような意見をいただき、新商品、施策などにつながる新たな着想を獲得することができました。グループワークで彼らの意見を聞くことで、彼らの思考や興味も理解することができ、大変効果を感じるイベントでした。
  • Youtubeのショート動画を活用した宣伝など、本当に高校生ならではの視点をもらうことができ、ブレイクスルーが得られたという感触です。私は「とりあえずやってみて改良して、それでもダメだったら別の方法を考える」というスタイルを大切にしているのですが、そのスタイルは探究でも活かせると思っています。ぜひこれからも、探究学習を頑張ってほしいです。

「あおい探究キャンプ」に参加した生徒の感想

  • 身近な小さいことに関心を持つと、今まで見えてこなかったことが見えるようになったと感じた。身近な人との関わりを増やしたり、「自分がこの人だったら」を考えたりすることが大切だとわかった。
  • チームのメンバーや企業の方からの意見によって、様々な角度から物事を捉えることができるようになるんだと学んだ。それを問題解決に活かせるようにしたい。
  • 提示された課題の解決方法を考えていくことも大切な一方で、なぜそれが課題になっているのかの根本を掘り下げて、俯瞰して探究を行なっていくことが大切だと理解した。自分で掘り下げて課題を見つけると、ワクワクするんだということも体感した。

Study Valleyとテレビ東海は、探究の成果発表会などを通じて、地元企業と高校生をつなぎ、地域の魅力創生、人材育成に取り組んでいく予定です。

高校/学校の探究担当の先生向け探究学習支援サービス『TimeTact』 CSRの枠を超えた教育投資『TimeTact』

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。