高大連携

出前講義の事例5選!大学が高校で講義を実施するメリットと注意点

大学の関係者が高校に出向き、特別授業を実施する出前講義。近年では高校と大学が連携して教育を行う「高大連携」の動きが増加しており、大学による出前講義にも注目が集まっています。

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出前講義の実施を検討している大学担当者の中には、どのような講義を実施すれば生徒からの出願数を増加させられるのか、気になる方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では出前講義について、出前講義を成功させるための方法や出前講義を実施している大学の事例5選をご紹介しています。

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出前講義とは大学が高校に出向く特別授業

出前講義とは、大学の教授や学生などの関係者が高校などの学校に出向き、特別に実施する授業のことを言います。その大学では実際にどのような内容を学ぶのか、高校生に概要や雰囲気をつかんでもらうために実施する場合がほとんどです。

「出前講義」に似た言葉には、「出前授業」や「出前講座」などがあります。どれも明確な定義があるわけではありませんが、一般的には以下のように使い分けられています。

講師となる人対象
出前講義(=出張講義)大学教授・関係者高校などの教育機関
出前講座地方自治体などの公共団体自治会・地域の団体・教育機関など
出前授業企業の社員や専門家学校などの教育機関

繰り返すようですが、これらの違いはあくまで慣習的なものであり、明確な定義があるわけではありません。そのため人によっては、大学関係者が高校に特別授業を実施することを「出前授業」「出前講座」などと呼んでいる場合もあります。相手がどのような意味で言葉を認識しているのか、しっかりと確認しながらコミュニケーションをとるようにしましょう。

大学が高校生向けに出前講義を実施する4つのメリット

大学が高校生向けに出前講義を実施することで、高校生は大学の授業について内容や雰囲気のイメージを膨らませることができます。それにより、大学にとっては主に以下4つのメリットが得られます。

  1. 講義を受けた生徒からの出願数増加が期待できる
  2. 生徒中退の予防策になり得る
  3. 学校の先生と関係性が築ける
  4. 研究分野を盛り上げられる

①講義を受けた生徒からの出願数増加が期待できる

まず期待できる大きなメリットとして、講義を受けた生徒からの出願数増加が挙げられます。高校生にとっては、大学で学ぶ内容を事前にしっかりと理解する機会はあまり多くありません。従って「〇〇学部は〇〇ばかり勉強するから自分には合わなさそう」「〇〇学部を卒業したら〇〇の職業になるしかない」など固定概念を持ったまま大学や学部を選ぶ生徒も多いです。

出前講義を実施し、実際に大学で学ぶ学問の面白さや魅力、ポテンシャルなどを丁寧に伝えることで、その学問や大学に元々は興味がなかった生徒も興味を持つ可能性があります。

②生徒中退の予防策になり得る

生徒の中退を防止できることも、出前講義を実施するメリットの1つです。高校生が志望する大学を選ぶ際には、自分が学びたい学問の分野をしっかりと理解して検討しているとは限りません。そのため入学後、入学前に思い描いていた内容とのギャップを感じて中退してしまう場合もあります。

出前講義を実施し、実際に大学で学ぶ学問の内容や雰囲気を理解してもらうことで、入学後のギャップを少なくし、生徒の中退を防ぐことができます。

③学校の先生と関係性が築ける

出前講義を実施することで、生徒だけではなく学校の先生にも大学の魅力を伝えられます。また出前講義を実施するには学校の先生と何かしらのやりとりをするため、お互いの人となりを知り関係性を築けます。

生徒の中には、学校の先生と相談をして自身の進学先を決める人も少なくありません。先生としても生徒に進学をさせるのであれば、生徒に合った魅力的な大学へと考えています。先生に大学で学ぶ内容や魅力を知ってもらうことで、生徒に薦めてもらいやすくなります

④研究分野を盛り上げられる

結果的にその大学に出願しなかった生徒にも、その研究領域や大学について概要や魅力を知ってもらうことで、研究分野の認知を獲得することができます。研究分野の認知が高まることでその分野への注目を集めることができ、その分野の関係者が増えるなど研究分野を盛り上げることができます。

出前講義を成功させる3つのポイント

大学にとって様々なメリットがある出前講義ですが、注意点を押さえて実施をしないと思うような効果が得られない場合もあります。以下に押さえるべき注意点を3点ご紹介しているので、自身の所属する大学の事情と照らし合わせて対策を考えると良いでしょう。

  1. 幅広い学年を実施対象とする
  2. 印象に残りやすいプログラムにする
  3. 難解な内容・言葉遣いに気をつける

①幅広い学年を実施対象とする

近年では、AO・推薦・探究入試の増加に伴い、進路指導の開始が前倒しされる傾向にあります。スタディプラス株式会社のStudyplusトレンド研究所によると、進路指導を開始する時期は高校1年生の1学期が最多で、大学進学率が上昇するにつれて進路指導の開始時期が早くなる傾向があります。

出典:https://info.studyplus.co.jp/article/pressrelease20221117

大学にとって、高校低学年への接触は優先度が下がりがちになるかもしれません。しかし高校3年生向けに出前講義を実施しても、すでに生徒は進学先を決めてしまっている場合もあり、思うような効果が得られない場合もあります。

出前講義の実施時期は高校の要望なども加味する必要がありますが、低学年への実施もできる限り検討すると良いでしょう。

②印象に残りやすいプログラムにする

大学で学ぶ学問の魅力を伝えられる出前講義ですが、1度だけ講演をしても生徒にとってあまり印象に残らず、効果が出づらい可能性があります。複数回にわたって実施をするワークショップを取り入れるなど、生徒の印象に残りやすいプログラムを設計すると良いでしょう。

ワークショップを実施する場合は、探究学習の要素を取り入れるのもお勧めです。探究学習とは自ら課題を設定し、解決策を考える学習方法で、大学における研究と多くの共通点を持っています。したがって探究学習の要素を取り入れた講義をすることで、生徒は大学における学びの内容だけではなく、学びの手法についてもイメージを膨らませることができます。

また新学習指導要領により2022年度から全国の高校で「総合的な探究の時間」が必修科されています。探究学習の要素を取り入れた出前講義は、高校の先生にも喜ばれる可能性が高いです。

【高校の先生向け】探究学習とは?9テーマから基礎知識を徹底解説この記事は探究学習について基礎的な知識を得たい先生のための記事です。この記事で解説する内容 ● 「探究」という言葉の意味 ● 探究学習とは ● 指導要領の解説 ● 探究が求められる時代背景 ● 探究学習で身につく力 ● 教員の役割 ● 探究学習の計画 ● 事例 ● 生徒の声 ● まとめ...

③難解な内容・言葉遣いに気をつける

高校生にとって、大学で学ぶ内容は専門的で難解な可能性が高いです。出前講義を実施する場合は、講師にできるだけ身近な内容に紐付けたり、平易な言葉遣いを心がけてもらったりするようにしましょう。

出前講義の講師を教授ではなく、ゼミ生や大学院生に任せるのもおすすめです。大学教授の中には研究者としては大変優秀であっても、高校生向けに授業をするとなると難解な内容を話してしまう人も多くいます。その場合、高校生はかえって興味を失ってしまい、出願数の減少につながりかねません。

一方でゼミ生や大学院生は高校生との年齢が近く、教授ほど専門的な内容に対する追究を深めていないがゆえに、高校生にとっては親しみやすくてわかりやすい講義を提供できる場合も多いです。またゼミ生や大学院生の様子を見せることで、高校生も自身が大学で何をどのように学ぶのか、イメージがしやすいというメリットもあります。

出前講義を実施する高校の募集方法

出前講義を実施する高校の募集方法は、「高校に直接アプローチする」「自大学のWebサイトに情報掲載をする」の大きく2つあります。

高校に直接アプローチをする場合は、電話や訪問を通して自大学で実施できる出前講義の概要や生徒にとってのメリットなどを高校の先生に伝えましょう。アプローチをする高校は、地域・設置学科・偏差値・自大学への進学実績などを元にリスト化すると良いでしょう。

高校の先生としても、出前講義を実施してくれる大学を探していることも多いため、自大学のWebサイトに情報を掲載する方法も有効です。情報を掲載する際には、以下の内容を盛り込むようにしましょう。

  • 実施する学部
  • 講義内容
  • 実施時期
  • 対象学年
  • 費用
  • 申し込み期限
  • 申し込み方法

高校生向けに出前講義を実施している大学の事例5選

最後に、出前講義を実施している大学がどのようなプログラムを展開しているのか、事例を5つご紹介します。地域や設置学部などが多種多様な大学の事例をご紹介しているので、自大学で参考にできそうな事例を重点的に確認してください!

京都大学

京都大学では大学院生などによる「学びコーディネーター」が講師となり、自身の研究内容を紹介する出前講義を実施しています。講義のテーマは134種類に及んでおり、「物事が「分かる」とはどういうことか」「「頭」はどうできたか」「化学の研究って何をするのか?」など多岐に渡っています。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/admissions/koudai/coordinator

岐阜大学

岐阜大学では教授などが講師となり、専門的な内容をわかりやすく伝える出前講義を実施しています。230以上の講義が用意されており、「睡眠の不思議」「数学で読み解く交通問題」「雷を科学する」など工学・理学・生物科学・医学・福祉といった理系の内容が半数以上を占めています。

https://www.gifu-u.ac.jp/admission/demae/demae.html

順天堂大学

順天堂大学の国際教養学部では、「グローバル・ビジネスリーダーについて考える」「グローバル社会と国際保健医療」「異文化コミュニケーションにおける言語の役割」などグローバルな内容を中心に出前講義を実施しています。講義内容は一覧化されていますが、高校の要請に応じて柔軟に内容を作成しています。

https://www.juntendo.ac.jp/admission/exam/nyushi/ila/demae_kougi/

岡山商科大学

岡山商科大学は社会科学系の総合大学として、法学部、経済学部、経営学部が設置されています。出前講義では、「法律学の学び方」「通貨の役割と仮想通貨」「経営学を通じて企業活動を知ろう」などそれぞれの分野の内容に触れられるようなテーマが設定されています。

https://www.osu.ac.jp/society/program/6/

広島工業大学

広島工業大学は、当メディアを運営する私たちStudy Valleyが主催する、広島県の高校が合同で探究学習の成果を発表する会に参加し、生徒たちの発表に対してフィードバックをする出前講義を実施しました。

またStudy Valleyが提供する探究学習のサポートサービスTimeTactを通して、高校生に探究課題を提供しています。「情報学の研究者視点から身の回りの課題を見つけてみよう!」など、自大学の研究テーマを高校生向けにアレンジをして、大学での学びに対して理解を深めるサポートをしています。

「選ばれる大学」の実現へ!出前講義も実現できる探究学習サポートサービス「TimeTact」

当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、探究学習サポートツール「TimeTact」を提供しています。

探究学習とは、日常生活などを通じて自ら課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のことです。 高等学校では「総合的な探究の時間」などの科目において、探究学習を導入した授業が行われています。

探究学習の詳細については、こちらの記事でご紹介しています。

【高校の先生向け】探究学習とは?9テーマから基礎知識を徹底解説この記事は探究学習について基礎的な知識を得たい先生のための記事です。この記事で解説する内容 ● 「探究」という言葉の意味 ● 探究学習とは ● 指導要領の解説 ● 探究が求められる時代背景 ● 探究学習で身につく力 ● 教員の役割 ● 探究学習の計画 ● 事例 ● 生徒の声 ● まとめ...

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「TimeTact」とは、全国の高等学校向け探究学習サポートサービスです。「TimeTact」を通して、全国の高等学校様に対しては探究学習の実施に必要な機能を、大学様や企業様に対しては生徒に取り組んでもらう自大学・自社の課題掲載を、さらに大学様には学習に取り組む高校生と大学教授のマッチング機能を提供しています。

大学様に「TimeTact」を導入いただくことで、自大学の研究テーマなどを高校生向けにアレンジして探究課題としてコンテンツ化し、「TimeTact」を通じて生徒へ提供できます。また出前講義として、自大学の課題に取り組んだ生徒の発表を聞いたり、フィードバックをしたりする探究学習成果発表会の開催もできます。

また教授のプロフィールや専門分野を登録することで、「TimeTact」に掲載されている企業や大学の探究課題と親和性のある教授を紐付けることができます。それにより「TimeTact」を通して企業や大学の探究課題に取り組んでいる高校生は、その課題に紐づいた教授にアドバイスを求めることができます。

「TimeTact」が学生集客に寄与する4つの理由

「TimeTact」は学生集客を成功させたい大学様に、ぜひ導入いただきたいサービスです。

①大学での学びについて理解を深めてもらえる

高校生が自大学の研究テーマをアレンジして探究課題として取り組んだり、企業や他大学の課題に取り組んだ上で教授と接触したりすることで、大学での学びについて講演を聞いたりパンフレットを読んだりするよりも深く理解することができます。課題に取り組むのは授業1コマなどの短時間ではなく、学期や学年を通した長期間のため、大学での学びをイメージしてもらいやすくなります。

②早期化している進路指導に対応できる

AO・推薦・探究入試等の増加に伴い、ほとんどの高校において進路指導は低学年から実施されています。​「TimeTact」を通して探究学習を進める高校生は1〜2年生が多いため、低学年の段階から自大学についての理解を深め、興味を持ってもらうことができます。

③進路指導の探究化に対応できる

社会の変化や探究学習の必修化により、現在の進路指導では探究学習を通じて自身の興味関心を把握し、大学での学びを考えるように指導がされています。「TimeTact」を通して大学における学びの入り口を探究学習として取り組んでもらうことで、高校生に進学先として考えてもらいやすくなります。

④情報収集のデジタル化に対応できる

現在、高校生の進学に関する情報収集は急速にデジタル化しており、従来の従来の対面型・紙媒体での学生募集活動のみで成果を出すことは難しくなっています。「TimeTact」は地元だけではなく全国の高校の授業で活用されるため、デジタル上での情報発信に力を入れづらい大学であっても多くの生徒にアプローチをすることができます。

最小限のリソースで品質を担保したコンテンツを提供できる

自大学の研究テーマなどを高校生向けにアレンジして、探究課題としてコンテンツ化して「TimeTact」上に掲載をすることで、担当者のスキルや経験などに依存せず一定の品質を保ってコンテンツを配信することができます。

コンテンツの制作は基本的にStudy Valleyが担当をし、大学様にはヒアリングや資料提供、確認を依頼するに留まるため、最小限のリソースで取り組んでいただけます。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。