探究学習

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」で私たちにできることとは?現状と学校の取り組み3事例を紹介

世界中で取り組まれているSDGsですが、具体的に私たちにできることは何があるのでしょうか?

そもそもSDGsは、国連が定める国際目標の一つで、2030年までに達成を目指す17の持続可能な開発目標です。その目標1つ1つにゴールも設定されており、SDGsを理解し、取り組むためには、それぞれの目標に注目する必要があります。

そこで本記事では主に教育に関する目標であるSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」に注目し、現状を解説し、学校で取り組まれている事例を紹介していきます。

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SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは

引用元:https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/

SDGsは、国連が定める国際目標の一つで、2030年までに達成を目指す17の持続可能な開発目標です。この17個の目標は世界全体の、環境、経済、社会の持続可能性に重点を置いており、各国が協力して取り組むことを重要視しています。

日本では、政府だけではなく、民間企業やNPOも積極的にこれらの目標達成に向けた取り組みを行っています。

 SDGs:持続可能な開発のための開発目標(Sustainable Development Goals)

2015年国連サミットで採択され、加盟国193カ国が2030年までにゴールの達成を目指す目標。

「誰一人取り残さない」をスローガンに17の目標と169のターゲットの達成を目指している。

【全37サイト】SDGsの基本と日本の重要課題について学べる資料サイト集SDGsの基礎や、日本が重点的に取り組むべき以下の5つの目標について学ぶことができるサイトを紹介します。「5:ジェンダー平等を実現しよう」「13: 気候変動に具体的な対策を」「14:海の豊かさを守ろう」「15:陸の豊かさも守ろう」「17:パートナーシップで目標を達成しよう」について学べるサイトをご紹介します。...

SDGs目標4のゴール

SDGsの目標には、それらを達成するためにターゲットが設定されています。ターゲットを設定することにより、より取り組みを具体化させています。

今回注目するSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」が目指すものは「全ての子どもたちが質の高い教育を受ける機会を保障すること」です。これは、子どもたちの知識やスキルが向上し、将来的には経済成長に貢献する人材を育てることを意図しています。

よってSDGs目標4にも10個のゴールが設定されており、具体的には以下のような項目があります。

引用元:https://www.asahi.com/ads/sdgs169/result/

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」現状

SDGs目標4について日本と海外ではその進み具合や課題が異なっています。そこでそれぞれの現状を見てSDGs目標4の更なる理解を深めましょう。

日本でのSDGs目標4への取り組みの現状

日本においては、特にSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」への関心が高いのが特徴です。

その理由としてはESD:持続可能な開発のための教育を2002年「持続可能な開発に関する世界首脳会議」にて日本が提唱したことにあります。詳細は以下の記事を参照してください。

いまさら聞けないESD(持続可能な開発のための教育)とSDGsの関係

 ESD:持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)

現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動

また、ESDによって、日本の学校教育では探究活動においてSDGsをテーマとする活動が多く行われています。

そのSDGs探究、善意の押し付けになっていませんか?自己満足で終わらせないためのポイントを解説SDGs探究を自己満足で終わらせることなく、質の高いものにするためのポイントを解説します。SDGsの課題には多様な問題が絡んでいるため、多面的に考えることが重要です。また、本来の目的を意識し、活動が問題解決に貢献していることをきちんと確認することも大切です。SDGs探究を深めることは、本質的な課題解決力の育成や、生徒の自己実現に繋がります。 ...

日本のSDGs目標4の達成状況

目標4だけではなく、日本のSDGs達成率は軒並み高く、詳細については以下のサイトから確認することができます。

参考:Sustainable Development Report

詳細についても以下のようにPDF形式でダウンロードできます。

引用元:Sustainable Development Report

日本のSDGs目標4に関する指標

このレポートのSDGs目標4に関する指標を見ると、軒並み数値が高い傾向にあり、特に中学校の卒業率が100%であり、社会経済的地位による科学の成績のばらつきが小さいことが特徴です。

 その他のSDGs目標4に関する数値  

項目数値測定年
就学前(4~6歳)教育への参加率91.8%2015
正味初等就学率(小学校の登校率)97.4%2020
中学校の卒業率100%2020
識字率測定なし測定なし
大学卒業率64.8%2021
PISAスコア(OECDの学力調査)520.0/6002018
社会経済的地位による科学の成績のばらつき7.7%2018
理科の成績下位者10.8%2018

海外でのSDGs目標4への取り組みの現状

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」は日本では軒並み高い数値を保っていますが、海外の現状をみると、その問題の深刻さが伺えます。

世界全体の子どもの16%、人数に直すと2億4400万人の子供が学校に通えておらず、特に貧困、紛争、災害などの影響で多くの子どもたちが問題を抱えているのが現状です。下の図は世界各国のSDGs目標4の達成率です。特に開発途上国で問題となっていることがわかります。

参考:Sustainable Development Report

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」で私たちにできることは?自分達にできることを考えよう

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に向けては、政府や教育機関だけでなく、私たち一人ひとりの積極的な参加も不可欠です。ここでは、私たちにできることについて考え、具体的な行動を見ていきましょう。

関心を持ち、広める

私たちができることとして、SDGs目標4に対する理解を深めることが、まず第一歩になります。学校の授業や図書館での調べ学習を通じて、世界中の教育問題について学びましょう。学んだことを友人や家族、SNSで共有することで、周囲の関心を高めることができます。例えば、学校の文化祭でSDGsについての展示を行うことも効果的です。関心を持つことで、自然と行動に移るきっかけが増えるでしょう。

SDGs学習のポイントについては後術しますが、以下のようなサイトで調べることも有効でしょう。

【全37サイト】SDGsの基本と日本の重要課題について学べる資料サイト集 

また、筆者は以下のような本を参考に調べてまとめました。

  1. 60分でわかる! SDGs 超入門[バウンド(著), 功能聡子(監修), 佐藤寛(監修)/技術評論社]
  2. SDGs思考 2030年のその先へ 17の目標を超えて目指す世界[田瀬和夫(著), SDGパートナーズ(著)/インプレス]
  3. やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門[泉貴嗣(著)/技術評論社]

団体を応援する

教育支援に取り組んでいる団体を応援することも重要です。支援に協力したり、募金活動を行ったりすることで、間接的に支援を提供することができます。例えば、教育支援団体に募金や物の支援をすることで、間接的に発展途上国の子供たちに学用品を送ることができます。また、SNSを通じてこれらの団体の活動を広めることで、多くの人々の協力を得るきっかけを作ることができます。

教育支援を行う企業や団体については以下の記事を参考にしましょう。

SDGs目標4教育「質の高い教育をみんなに」取り組む企業・取り組み事例

また、SNSで発信する際には、投稿を見た人が紹介している取り組みを参照できるようにメンションをつけたり、ホームページを記載しておくと良いでしょう。

企業と協力して活動をする

地域の企業や団体と協力して、教育支援活動を行うことも一つの方法です。例えば、企業と連携して募金活動を行ったり、企業が提供する教育プログラムに参加することができます。また、学校の探究活動として企業と協力し、SDGs目標4に取り組むことも有効になるでしょう。

以下の記事では実際に企業と高校が連携してSDGsに取り組んだ例を紹介しているので参考にしましょう。

【解説付き】企業と高校が連携してSDGsに取り組んだ探究学習事例5つを紹介 

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の学校の取り組み事例

ここまではSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは何か、どのようにして取り組むことができるかをみてきました。

実際に学校でどのような取り組みがされているのでしょうか?

ここでは日本でSDGs目標4へ取り組んでいる学校の事例を3校まとめているので、参考にしてみましょう。

桜美林中学校・高等学校事例

東京都町田市の桜美林中学校・高等学校では、授業の一環として春学期の3ヶ月間に地元の小中学生を対象に学習支援活動を行いました。

対象として、さまざまな理由から学校に通えない子供たちに学習支援や居場所づくりを行う無料塾ひばり学校に通う小中学生です。

活動に参加した高校生はSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」について考え、3ヶ月にわたり支援を続けました。特に子どもたちに向けて実施したイベントに向けては、子どもたちの成長に大切なことを各グループで協議し、小中学生が一緒に協力できるようなゲームを考えたり、粘土を使用し子どもたちの想像力を育てるような企画を考えました。

課題さまざまな理由から学校に通えない子どもたちが存在し、学校に通えないことで、居場所や教育の機会がなくなってしまう。
解決策直接的に対象の子供たちに学習支援プログラムを実施し、学習支援や居場所づくりに取り組んでいる。
特徴地元支援団体と協力し、高校生が自らプログラムを考え、実施している。

引用元:桜美林中学校・高等学校

高校生SDGs選手権

北九州SDGsステーションでは「高校生SDGs選手権大会」を開催し、北九州近隣の高校・高専を対象としてプレゼンテーション形式の発表大会を行なっています。その様子はYouTubeからも確認でき、SDGs目標4だけではなく、高校生のさまざまなSDGsに対する取り組みを見ることができます。

課題SDGsについて高校生の成果を発表する場が少なく、SDGsへの関心が低い。
解決策プレゼンテーションの機会を作ることで、SDGs学習への目的意識を生み、市全体としてSDGsへの意識を向上させる。
特徴市内全域で取り組まれ、その学習の成果を競うことができる。

引用元:北九州SDGsステーション

宮城中学校事例

福島県の宮城中学校ではタブレットなどのICT機器を駆使し、SDGs目標4に向けた取り組みをおこなっています。宮城中学校の生徒の学びに個人差が大きいという特徴から「個別最適な学習」を目標に、課題の中から自分に合ったものを選ぶことができるような環境を整備しました。

また、タブレットを各生徒が自宅に持ち帰り、先生が課題の質問に答えたり、オンライン学習ができる環境を整え、小規模中学校のメリットを活かした「寄り添う教育」に向けた取り組みが行われています。

課題学びたい内容、学びたい時間、学びたい方法にはそれぞれ個人差があり、同じ授業を受けていても学びやすさに個人差が生まれる。
解決策タブレットを有効活用し、児童が個人のペースで学習できる環境を整えた。
特徴社会全体ではなく、学校内で取り組むことができる。

他にも郡山市教育委員会では、宮城中学校の他にもSDGs目標4、さらには他のSDGsの目標について、郡山市の学校が取り組んだ事例が紹介されています。以下のURLから確認してみましょう。

引用元:郡山市教育委員会

SDGs目標4に取り組むための準備・学習のポイント

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」に取り組むにあたって、まずは、SDGs目標4、さらにはSDGs自体を学習しておく必要があります。

そこで「SDGs学習といっても、大きすぎて何から調べたら良いかわからない」「どのように進めていけば良いかわからない」といった悩みが生まれるのではないでしょうか?

ここではSDGs学習を進めていくための手立てやSDGs学習に役立つサイト、さらには教員の方々向けにどのようにサポートをするのが良いか解説しているので参考にしてください。

SDGs活動・学習の目的を定める

SDGs学習だけではなく、学習においては最初に目的を定めることが重要です。最終ゴールが定まらないまま学習をしてしまうと、思ったような学習成果を上げることができません。

そのため、「何を解決したいのか?」「何を明らかにしたいのか?」など、最終ゴールをイメージし、それを学習の目標として定めましょう。

SDGsは、国連が定める2030年までに達成を目指す17の持続可能な開発目標です。そのため特に、テーマとしては広すぎます

なので、目標をできるだけ具体的に設定し、途中で活動・学習の中心を見逃さないようにしましょう。

SDGs活動・学習の方法を定める

SDGs学習の目的が決まったら、学習方法を選びましょう。SDGs自体がテーマとして広いため、学習の成果物も多様になります。

例えば目的が「SDGs目標4の実態をいろんな人に知ってもらう」ことであれば「調べ学習で情報をまとめ、聞き手がわかりやすいプレゼン資料にまとめる」といった活動を行うかもしれません。他にも目標を「日本のSDGs4の数値を向上させるためには」とすると「アンケート調査などを含実験や探究活動」をするかもしれません。

目標を達成するためにさまざまな学習の方法が考えられます。しかし、これらのように方法が違えば、活動の内容や範囲が大きく異なります。そのため、学習の目的が決まったら、最適な学習方法を決めましょう

調べ学習を効果的に進めるには?プロセスと指導方法を解説教育現場でよく用いられる調べ学習ですが、教科の学習や探究の時間の基礎的なスキルとして児童・生徒への指導が重視されています。しかし、「Ch...

SDGs学習に役立つサイト

SDGsは、概念としてとても広く、インターネットで検索すると、膨大な情報が出てきます。そのため「何から見れば良いかわからない」といった疑問があるのではないでしょうか?以下のサイトはそれぞれ、「情報を集めるには?」「そもそもなぜSDGs学習をするのか?」「SDGs学習に多い調べ学習を効果的に進めるには?」といった情報をまとめています。これらを参考に学習を進めましょう。

【学校教員の方向け】SDGs学習の注意点

SDGs学習はその題材の性質上、オープンエンドになりやすく、学習として収束させることが難しいという特徴があります。そこで児童・生徒の最大限の学びを提供するためには以下のようなポイントを意識しましょう。

  • 児童・生徒が活動の目的と方法を明確にできる手立てを打つ
  • 児童・生徒のアウトプットをイメージして教材開発をする
  • 主体的に取り組める手立てを考える
そのSDGs探究、善意の押し付けになっていませんか?自己満足で終わらせないためのポイントを解説SDGs探究を自己満足で終わらせることなく、質の高いものにするためのポイントを解説します。SDGsの課題には多様な問題が絡んでいるため、多面的に考えることが重要です。また、本来の目的を意識し、活動が問題解決に貢献していることをきちんと確認することも大切です。SDGs探究を深めることは、本質的な課題解決力の育成や、生徒の自己実現に繋がります。 ...

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に向けて

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に向けては、「各企業や団体の取り組み」だけではなく、「私たち一人一人の取り組み」の両方が必要不可欠です。

各学校の事例や学習のポイントを参考に「私たちにできること」を考えていきましょう。

次のリストのうち、私たちには、どのような活動ができるのか検討してみましょう。

  • 関心を持ち、広める
  • 団体を応援する
  • 企業と協力して活動する
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。