探究学習

高大接続改革の意義と役割とは?探究学習の重要性も解説

高大接続改革って何?
探究学習や大学入試との関係は?

高大接続改革は、高校教育と大学教育・入試をより密接に連携させることで、多様な学力や能力を評価できる教育制度を目指す取り組みです。これにより、学生が自らの能力を十分に発揮できる環境が整えられ、大学での研究や将来のキャリアに役立つ知識・スキルが身に付くことが期待されています。

この記事では、高大接続改革の意義と役割や、探究学習の重要性も解説します。

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高大接続改革とは?その意義とポイント

高大接続改革は、高校教育と大学教育・入試をより密接に連携させることで、多様な学力や能力を評価できる教育制度を目指す取り組みです。これにより、学生が自らの能力を十分に発揮できる環境が整えられ、大学での研究や将来のキャリアに役立つ知識・スキルが身に付くことが期待されています。

中教審が2014年に発表した「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体改革について」の内容を踏まえて、文部科学省が2015年に公表した高大接続改革実行プランを発表しました。

●主な改革内容

各ポリシーの一体的な策定の義務化
・アドミッション・ポリシー(admission policy:入学者受け入れ方針)
・ディプロマ・ポリシー(diploma policy:学位授与方針)
・カリキュラム・ポリシー(curriculum policy:教育課程の編成・実施方針)
大学入学者選抜実施要項の見直し
認証評価等の推進
財政措置

高大接続改革の意義は、従来の記憶力や知識を中心に評価される試験方式から、総合的な学力や個々の能力を評価する方法へとシフトすることで、教育の質の向上を図ることにあります。これにより、受験生が自分の強みや興味を追求し、より独創的で実践的な学びに取り組むことができるようになるとされています。

高大接続改革のポイントは、以下の3点にまとめられます。

1.高校教育と大学教育の連携強化

高校教育の内容をより大学教育に適したものにすることで、大学での学びをスムーズに進めることができるようになります。また、大学入試においても高校教育で学んだことが活かされるようになるため、受験生は高校教育により積極的に取り組むことができます。

>大学入試における探究力評価の導入ステップと、取り組み事例
>総合型選抜入試を事例とともに解説。AOとの違い、探究学習との関係も
>探究学習の成果で受験できる「探究型入試」の大学8選

2.多様な学力・能力の評価

これまでの試験方式では測れなかった、個々の学力や能力を評価することで、受験生が自分の強みをアピールできるようになります。また、多様な評価方法を導入することで、ペーパー試験の偏りを減らし、より公平な評価が可能になります。

3.探究学習の促進

探究学習を通じて、受験生は自ら問題を見つけ、解決策を考える能力を身に付けることができます。これにより、大学での研究や社会で活躍するために必要な主体性や問題解決能力、コミュニケーション力などのスキルが育成されます。

高大接続改革は、受験生にとって、多様な評価方法が導入されることで自分の能力をより適切に評価される機会が増えることを意味します。また、教育現場においては、探究学習の重視や教育内容の見直しなど、より質の高い学びが提供されることが期待されています。

このような高大接続改革は、教育の質の向上や、受験生が自身の能力を十分に発揮できる環境を整えることに貢献しています。今後もこの改革により、教育現場での学びがより実践的で独創的なものになり、学生が社会で活躍できる力を身に付けることが期待されています。

高大接続改革の課題

一方で、これまでの教育とは違った指導法、評価方法などが必要なことから、学校や教員、教材の準備、ICTの有効活用、大学とのコミュニケーションなど、学校の現場での臨機応変な対応が求められるとも言えます。

参考記事
【高校教育/大学入試】高大接続改革とは?(
StudySearch
高大接続改革(文部科学省

高大接続入試における探究活用のポイント

高大接続改革の一環として、高校生の探究活動が入試においても重視されるようになっています。探究活動は、自ら問題を見つけ出し、課題解決に向けた独自のアプローチを試みることで、主体性や問題解決能力、コミュニケーション力を育てることを目的としています。ここでは、高大接続入試における探究活用のポイントを紹介します。

1.探究活動の具体性と詳細さ

入試では、受験生がどのような探究活動に取り組んだのか、その過程で得られた知識や技術、そして結果や成果について具体的かつ詳細に説明することが求められます。これにより、受験生がどれだけ自分自身で課題を解決しようと努力したのかが評価されます。

2.自己評価と振り返り

探究活動には、多面的な評価が行われます。例えば、教員からの一方的な評価だけではなく、自分の活動を客観的に評価し、改善点や今後の課題を見つけ出すことも重要です。探究型入試では、受験生が自己評価や振り返りを行い、探究活動を通じてどのような学びや成長があったのかをアピールすることも求められるでしょう。

>「振り返り」は価値ある探究学習に必須。その目的とメリット・やり方について

3.コミュニケーション力のアピール

探究活動は、単独で行うものではなく、チームや他者と協力して取り組むことが多いです。そのため、入試では、受験生がどのように他者とコミュニケーションを図り、協力して課題解決に取り組んだのかを示すことが求められます。これにより、受験生のコミュニケーション能力や協調性が評価されます。

4.学際的なアプローチ

探究活動においては、異なる学問分野や知識を組み合わせて課題解決に取り組むことが期待されます。入試では、受験生がどのように学際的なアプローチを活用して探究活動に取り組んだのか、またその過程でどのような新たな知見や発見があったのかを詳細に説明することが求められます。これにより、受験生が柔軟な発想や幅広い知識を持っていることが評価されます。

これらのポイントを押さえた探究活動は、高大接続入試において高く評価されるでしょう。探究活動を通じて得られた知識やスキル、そして経験をうまくアピールし、自分の強みを最大限に活かすことが大切です。

高大接続改革が進む中で、探究活動の重要性が高まっています。これを機に、学生たちは自らの興味や関心に基づく学びに取り組むことができ、大学での研究や将来のキャリアにつながる能力を身に付けることが期待されます。

参考記事
探究学習の評価方法を紹介。特徴、メリット・デメリットも
「高大連携」の28事例を紹介&解説。高大接続をスムーズに
高大接続改革(文部科学省
「高大接続改革」とはどのような改革ですか。(文部科学省
 いまさら聞けない「高大接続改革」とは?(Education Career
 高大接続改革とは?その目的と改革のポイント(キャリア教育ラボ

総合型選抜の増加と探究学習の重要性

総合型選抜とは、一般的な筆記試験だけでなく、学生の学業成績、面接、作文、ポートフォリオなど、多様な評価方法を組み合わせて選抜する入試方式です。近年、高大接続改革の進展に伴い、総合型選抜の導入が増加しています。これにより、探究学習の重要性がより一層高まっているのです。本節では、総合型選抜が増加することで探究学習がどのように重要視されるかを解説します。

1.学生の多様な能力の評価

総合型選抜では、受験生の多様な能力や経験が評価されるため、探究学習を通じて身につけたスキルや知識がアピールできます。これにより、従来の試験では評価されにくかった主体性や問題解決能力、コミュニケーション力などが、選抜において重要な要素となります。

2.探究活動の成果の活用

総合型選抜において、学生がこれまでに取り組んだ探究活動や研究成果が評価される機会が増えます。例えば、研究発表や学会への参加経験、実績がある場合、それらをアピールすることで、自分の強みを最大限に活かすことができます。

>探究学習の成果を応募できる大会・コンテスト18個を紹介
>アニサキス探究で慶應義塾大学SFCへ。探究の喜びを分かち合える仲間と出会えた~松下竜大さん~

3.ポートフォリオを活用したアピール

総合型選抜では、ポートフォリオが評価の一部として活用されることがあります。これにより、学生は探究学習を通じて得た成果や成長過程を、具体的な資料や記録をまとめた形でアピールできます。ポートフォリオを活用することで、学生自身がどのような探究活動に取り組んできたのか、またその過程でどのような学びがあったのかを具体的に示すことができます。

>探究学習で使える「ポートフォリオ評価」の重要性と実施のポイントについて解説

総合型選抜の増加に伴い、探究学習が重要視されるようになっています。このような背景から、教育機関は、生徒たちが自らの興味や関心を追求し、独自の視点やアイデアを発展させられるような教育環境を提供することが求められます。さらに、生徒自身も、自分の学びや研究を積極的にアピールできるよう、探究活動を通じて得た知識やスキルを大切に育てることが大切です。

総合型選抜が増えることで、大学入試においても多様な評価が行われるようになり、従来の試験だけでは測れない学生の能力や個性が評価されるようになります。これにより、受験生は探究学習を通じて得た経験やスキルをアピールし、より適切な進路選択やキャリア形成が可能になるでしょう。

総合型選抜の増加と探究学習の重要性を理解し、教育現場での取り組みや学生の学び方に活かしていくことが、今後の教育改革において重要な課題となっています。

参考記事
高大接続改革のこれまでの動向と今後の展開(文部科学省 初等中等教育局 高校教育改革プロジェクトチームリーダー 今井裕一
<解説>「高大接続の入学者選抜」とは?(リクルート総研
高大接続改革の現状とこれからの高校教育の展望(大阪大学教授 山下仁司
高大接続改革を知る(進研アド
【大学入試改革を問う(1)】「高大接続改革」とは何か(東京大学教授 中村高康

探究から研究へ:高校教育が大学研究に与えるインパクト

探究学習を通じて身につけた知識やスキルは、大学での研究活動にも大きな影響を与えます。高校教育が大学研究に与えるインパクトについて、以下に詳しく解説します。

1.研究への興味・関心の醸成

高校での探究学習を通じて、生徒は自分の興味や関心に基づく研究テーマを追求し、研究への興味・関心を醸成します。この経験は、大学での専門分野選択や研究テーマ決定に役立ち、研究活動への意欲を高めることが期待されます。

2.研究スキルの習得

高校での探究学習を通じて、文献調査やデータ分析、実験計画立案、論文作成スキルなどの基本的な研究スキルが身につきます。これらのスキルは、大学の研究活動においても不可欠であり、探究学習を経験した生徒は研究にスムーズに取り組むことができます。

>探究学習の課題設定方法8パターンを解説
>探究学習の情報の収集方法12パターンを解説
>探究学習の整理・分析方法14パターンを解説
>探究学習のまとめ・表現の12パターンを解説
>【徹底解説①】探究論文の具体的なフォーマットとは【構成編】
>【徹底解説②】探究論文の具体的なフォーマットとは【表示方式編】

3.主体性と協働力の育成

探究学習は、生徒に自分で課題を見つけ、解決策を考案する主体性を育成します。また、グループでの研究活動を通じて、協働力やコミュニケーション能力も向上します。これらの能力は、大学の研究活動やチームでのプロジェクトにおいても重要な要素となります。

4.学際的なアプローチの習得

高校での探究学習では、異なる学問分野や知識を組み合わせて課題解決に取り組むことが期待されます。この学際的なアプローチは、大学の研究活動でも有効であり、新たな発見や創造性を生み出すことができます。

5.将来のキャリア形成への影響

高校での探究学習の経験は、生徒の将来のキャリア形成にも大きな影響を与えます。探究学習を通じて培った研究スキルや主体性、協働力は、大学卒業後の就職活動や職場での業務にも役立ちます。また、高校時代の研究テーマや興味関心が、将来の専門分野選択やキャリアパスに繋がることもあります。

総じて、高校での探究学習が大学研究に与えるインパクトは大きく、多様な分野で活躍できる人材を育成する上で欠かせない要素となっています。高校教育が大学研究に与えるインパクトを理解し、教育現場での取り組みや学生の学び方に活かしていくことが、今後の教育改革において重要な課題となっています。

まとめ

本記事では、高大接続改革とその意義・目的、探究学習の役割、総合型選抜の増加と探究学習の重要性、そして高校教育が大学研究に与えるインパクトについて解説しました。高大接続改革は、高校教育と大学入試・大学教育を一体化させ、多様な学力や能力を評価できるようにすることを目指しています。この改革により、探究学習が高校教育の中心的な役割を果たすようになりました。

探究学習は、生徒が自らの興味や関心に基づく研究テーマを追求し、研究スキルや主体性、協働力を育成することができます。また、総合型選抜の増加に伴い、探究学習が大学入試や研究活動で重要視されるようになっています。高校での探究学習が大学研究に与えるインパクトは大きく、多様な分野で活躍できる人材を育成する上で欠かせない要素となっています。

今後の教育改革においては、高校教育が大学研究に与えるインパクトを理解し、教育現場での取り組みや学生の学び方に活かしていくことが重要な課題となります。高大接続改革を通じて、多様な学力や能力を持つ学生が活躍できる社会の実現を目指し、今後も教育改革が進められることでしょう。

 

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。