Z世代へ有効なマーケティングを行いたい
プロセスエコノミーを取り入れて、他社と差別化を図りたい
私たち Study Valleyは、企業パートナーを探している学校と、教育支援を通じて学校とつながりたい企業をEdTechツール「TimeTact」でマッチングし、子供たちに深い学びを提供するお手伝いをしています。
そこで企業担当者の方から、上記のような質問をよくいただきます。
この記事では、企業が教育CSRを通じて学校支援とマーケティング施策を両立させる方法、学校とつながるためのポイントについて解説します。
昨今マーケティング手法として話題となっているプロセスエコノミーは、商品やサービスが完成するまでのプロセスを公開し、収益につなげるビジネスです。
一方、学校教育で行われている探究学習は生徒自ら「課題設定」し、「情報の収集」と「
整理・分析」を経て、答えを「まとめ・表現」する学習活動です。まさに「プロセス」を重視した学習のため、プロセスエコノミーと非常に相性がよいといえます。
実際に企業と高校生が探究学習の時間を使って商品を開発し、500万円以上を調達したり、商品化を実現させた例もあります。
探究学習に取り組む中学生・高校生は、まさに企業がこれからターゲットとすべきZ世代であり、プロセスエコノミーを実施する絶好の場でもあります。
高校生の新たな価値観やアイディアで、一緒に課題を解決する過程に関われることは、企業にとっても生徒にとっても非常に価値のあることです。
目次
多様化するマーケティング手段
注目を集めるプロセスエコノミー
唯一無二のプロセスエコノミーを作り出せるのは探究学習だ
・探究学習とは
・クラウドファンディングで数百万円を集めた事例
学校教育へ入ることのハードルをどう越えるか
*Study Valleyでは探究学習支援ツール「TimeTact」によって、企業パートナーを求めている学校と、教育CSR活動を行いたい企業をマッチングしています。学習の成果や成長がシステム上で可視化されるため、KPI設定も容易です。企業の強みを生かして学校教育に参加したい、教育CSRにご興味がある、という企業担当者の方はお気軽にお問合せください。
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多様化するマーケティング手段
テクノロジーが進化し、インターネットやSNSの普及で誰もが簡単に情報を得られるようになったことで、消費者のニーズも多様化しました。それに伴いマーケティング手法も様々に変化しています。
特に価値観の多様性によって、従来の「マス」に対してのマーケティングから「個」に向き合ったマーケティングへと変化したことが大きいでしょう。消費者それぞれのニーズ、購買行動に合わせたストーリーが求められます。
さらにはZ世代をはじめとする新しい世代を中心とした新たな価値観が生まれたことで、「モノ」の消費から体験や共感による「コト」の消費が重要視されてきています。
デジタルだけではなくオンライン・オフラインを跨いだ体験や、作りこまれていないリアルなメッセージ・ストーリーのあるものが求められています。
時代の流れや、ターゲットの特徴を理解したうえで、多様化する消費者のニーズを把握し、目的に合った手法を選ぶことが大切です。
注目を集めるプロセスエコノミー
プロセスエコノミーは、商品やサービスが完成するまでのプロセスを収益につなげるビジネスのことです。店頭に並んでいるような完成された商品を売るのではなく、製作する上でのこだわりや難しさなど、商品の背景を共有すること自体が新たな価値を生むのです。
プロセスエコノミーが注目されている背景に、モノの価値が成熟し差別化が難しくなったことがあげられます。商品が出来上がるまでの思いや過程は唯一無二であり、他社と競合するものではありません。そのためプロセスそのものがオリジナリティであり価値となるのです。
具体的なプロセスエコノミーの事例は以下があげられます。
メイキング映像
クラウドファンディング
オンラインサロン
OEM(オリジナル商品)
ライブ配信・YouTube
プロセスエコノミーが注目を集める背景には、「モノ」が溢れて価格や価値の差別化が難しくなってきたことがあげられます。SNSやインターネットで誰もが情報を得られるなか、特にZ世代など新しい世代は商品の本質的な価値や、自分が共感できるかといった価値基準で消費行動をおこないます。
プロセスエコノミーの特徴は、プロセス事態がすでに唯一無二でオリジナルなため、他社との比較や競争が起きにくいという点です。
プロセスエコノミーにおいては、価格や品質といった製品の価値ではなく、作り手の思いや制作の裏側となるストーリーそのものが価値となるのです。
いいものを作れば売れる、広告費をかければ売れるという時代から、商品の背景にあるストーリーに共感して選んでもらうという時代の流れになってきました。商品の価値を伝えるために、どういったバックストーリーを共有するかもマーケティングすることが大切です。
参考記事
>高校生が100万円以上を調達!ファンを育てる「プロセスエコノミー」の威力
唯一無二のプロセスエコノミーを作り出せるのは探究学習だ
学生たちのリアルな問いを追求する探究学習は、唯一無二のプロセスエコノミーを作りだす絶好の場といえます。
企業が仕掛けるプロセスエコノミーでも成功事例はあり、これからのマーケティング手法として取り入れるべきです。しかし一方で狙い過ぎることで、プロセスの「リアル」さがなくなってしまう懸念があります。作られたリアルは消費者の反感を買いかねません。
一方で、学生の問題提起はリアルな思いや感情が起点になっています。学生たちが課題を解決し、試行錯誤する過程は、同世代を含め多くの共感が得られるでしょう。
さらに企業側では思いつかないような、新たな解決手法やアイディアが出てくる可能性もあり、企業にとって非常に有益な場といえます。
事前に学校と競技が必要ですが、探究過程のSNSによる拡散も期待できるかもしれません。
探究学習の場でプロセスエコノミーを実施することで、唯一無二のリアルなプロセスと価値を生み出すことができるでしょう。
探究学習とは
探究学習とは生徒が自ら課題を設定し、課題の解決に向けて情報収集し、整理・分析や周囲の人とのディスカッションを行って自分で導いた答えをまとめて発表するプロセスを取り入れた学習活動です。
文部科学省による指導要領に掲載されている、探究学習の4つのプロセスは以下の通りです。
課題設定
情報の収集
整理・分析
まとめ・表現
引用:高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 総合的な探究の時間編
教師から出された課題ではなく、自分自身で興味や関心のあるものから課題設定することで、生徒の主体性を引き出すことができます。自ら立てた課題を解決するための情報を集め、整理するなかで自分なりの答えを導くプロセスが重要だと考えられています。
答えのない問いに対して、自分で考え解決策を導くことで、自ら考えて行動できる人間を育成しようという学習プログラムです。
クラウドファンディングで数百万円を集めた事例
引用:脱線事故で走れなくなった銚子電鉄をもう一度走らせたい!(READYFOR)
学校の探究学習の一環として考案した商品やサービスの立ち上げに必要な費用調達のため、クラウドファンディングを使うことも珍しくありません。集まったプロジェクトの支援金額は100万以上、なかには数百万という事例もあります。
千葉県立銚子商業高等学校では、2014年にクラウドファンディングによって銚子電鉄の修理代の約500万円を集めました。
高校では課題研究の授業が行われており、「銚子電鉄の応援」というテーマを選んだメンバーがプロジェクトを立ち上げました。チームメンバーの思いをまとめ、鉄道社員との打合せをする中で事故によって脱線した銚子電鉄の車両を復活させることに決めました。修理のための費用はクラウドファンディングで募集し、乗降客にも声をかけることで地元の人や、鉄道ファンに支えられて約500万円を集めました。
さらにその後の2017年には、駅舎の修繕のために新たにクラウドファンディングで200万の調達も成功しています。
探究学習の中で高校生たちが自ら課題を見つけ出し、課題に向きあう思いや取り組む過程を共有したのは、まさにプロセスエコノミーの実践です。
クラウドファンディングを使ったプロセスエコノミーによって、高校生が地元鉄道の課題を解決した成功事例の1つです。
学校教育へ入ることのハードルをどう越えるか
企業が探究学習と関わるためには、学校教育の中に入る必要があります。その最大のハードルは企業と学校教育を結びつける手段でしょう。
探究学習という言葉は定着しつつありますが、学校側はまだ課題も多いため、企業の協力が求められています。
学校の探究学習における課題
指導方法・体制の準備不足
探究プロセスの「整理・分析」「まとめ・表現」が出来ていない
実社会・実生活にかかる課題の取り扱いが必要
探究学習は、そもそも生徒が自身の興味にもとづいて課題を設定するため、学校教育の範疇を超えることがほとんどです。さらに実社会や実生活の中にある課題へ積極的に取り組むことが求められているため、教師がクラスの生徒すべてをサポートすることは困難です。また学校の体制が整っていない場合、教師にまかせっきりになることもあります。
探究学習に企業が入ることで、実社会の課題を提供し、専門的なアドバイスやサポートが可能となります。さらに製品やサービスに関わることで自分たちの考えをまとめ、発信するプロセスまで経験できる機会にもなります。
また企業にとってはZ世代の視点を取り入れたプロセスエコノミーの実施と、新たなサービスや商品開発のチャンスが得られるのです。
学校も企業も探究学習への関わりを求めている中で、必要なのは接点となる機会です。
Study Valleyは、探究学習をテクノロジーで支援する「TimeTact」をつかって、企業と学校のマッチングをおこなっています。学校の紹介だけではなく、生徒とやり取りをするためのプラットフォームなどさまざまなサポートも行っています。プロセスエコノミーを実践したい企業の方は、ぜひお気軽にお問合せください。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。