探究で生徒がインターネット検索をよく使うけど、情報の取捨選択がちゃんとできているか心配
メディアリテラシーを身に付けさせたいけど、具体的にどう指導したらいいかな?
私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。
先生方とお話する中で、冒頭のようなご相談をよくいただきます。
そこで、この記事では、「メディアリテラシー」について解説します。「メディアリテラシー」とは、メディアの情報を、正しく読み取り、正しく発信する能力のことです。
この力は、インターネットが発達した現代では必須の能力です。何か情報を探す際は、玉石混合の膨大な情報の中から正しい情報を選び取る力が必要です。
そしてこれは、多くの情報に触れる、探究学習においても必要不可欠な力となっています。
記事後半では、どうメディアリテラシーを教えるかに悩まれている方に向けて、メディアリテラシー教育に活用できる参考サイトも掲載していますので、ぜひご活用ください。
<目次>
1. メディアリテラシーとは
メディアリテラシーの三つの構成要素
現代においてより必要性が増している
2. メディアリテラシーの必要性
探究学習にも必要な能力
3.メディアリテラシーはどう役立てる?
(1)情報源の信頼性を確認できる
(2)事実なのか意見なのか見極められる
(3)意図的なフェイク情報があることを認識している
(4)発信のマナーやリスクを知っている
【5選】メディアリテラシー教育に活用できる参考サイト集
生徒向け参考サイト
教師向け参考サイト
まとめ
【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。
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メディアリテラシーとは
「メディアリテラシー」とは、メディアの情報を、見極め、正しく読み取り、正しく発信する能力のことです。「メディア」とは、新聞やテレビ、インターネットといった情報媒体を指し、リテラシーとは、「読む能力・書く能力」を意味します。
情報を読み取る際には、そのような情報媒体には間違った情報があることを念頭に発信者の意図まで見通し、情報を吟味することが重要です。
また、発信する際には、自分の情報の影響力を考えて間違った情報や誰かを傷つけかねない情報を発信しないように気をつける必要があります。
メディアリテラシーの三つの構成要素
メディアリテラシーは、三つの能力を構成要素とする複合的な能力のことです。
メディアリテラシー能力を伸ばそうとする際には、この三つの能力をそれぞれ伸ばすことにフォーカスすると良いでしょう。
1.メディアを主体に読み解く能力。
2.メディアにアクセスし、活用する能力。
3.メディアを通じコミュニケーションする能力。特に情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コミュニケーション能力。
(総務省のHPより引用:放送分野におけるメディアリテラシー)
メディアリテラシーの必要性
メディアリテラシーの必要性は近年、どんどん増しています。
現代においてよりメディアリテラシー能力が求められる理由は、SNS等の発展により誰もが膨大な情報に気軽にアクセスできるようになったためです。
数年前までメディアリテラシーが示す「メディア」は新聞、テレビ、ラジオ、書籍などが対象でした。しかし、近年ではそれらにWebやSNSなどのインターネットメディアも含まれるようになってきました。すなわち、誰もがメディアとして情報を発信できるようになったということです。このため、情報は増える一方で情報の質は玉石混交となっています。
この玉石混合な情報を見極められる力が求められています。
探究学習にもメディアリテラシーは必要
探究活動の成果として論文やレポートを書く際には、信頼できる情報に基づいた考察が必要とされます。ついWikipediaやYouTubeの解説動画など限定した情報だけに頼ってしまいがちですが、その情報が信頼できる情報なのか、複数の情報源を参照したり、引用元の論文や、時には一次情報までさかのぼって信頼性を確認することも必要です。
こちらでは、探究学習に役立つ調査方法と論文への引用方法について解説した記事を紹介します。
<調査方法>
>探究学習の情報の収集方法12パターンを解説
>【論文検索サイト16選】CiNiiだけじゃない!探究の先行研究に役立つサイトをまとめました
<引用方法>
>【徹底解説②】探究論文の具体的なフォーマット(形式)とは【表示方式編】
メディアリテラシーはどう活用する?
次に、メディアリテラシーの活用方法について4つの視点から詳しく解説します。
メディアリテラシーを活用できている状態とは、具体的にどういうことでしょうか?この記事では高校生に求められているメディアリテラシーとして、以下の4つを紹介したいと思います。
(1)情報源の信頼性を確認できる
(2)事実なのか意見なのか見極められる
(3)意図的なフェイク情報があることを認識している
(4)発信のマナーやリスクを知っている
(1)情報源を確認できる
信頼できる情報なのかの判別には、情報源の確認が有効です。
情報は以下の順で一般的に信用に足ると言えるでしょう。
論文→書籍→インターネット(政府系サイト)→専門家のサイト→個人のサイト・ブログ→著者不明なブログ
信頼できる情報が必要な際は、インターネットの情報よりも論文や書籍を活用したいですね。
しかし、論文でも引用数や掲載されている学術誌の種類など、書籍でも著者や出版社によっても信頼性が異なります。見極めに関しては先生や場合によっては専門家のアドバイスが必要です。
Webサイトの情報の信頼性を確認する方法で簡単なのは、URL のドメインを見ることです。
co.jp:企業等
ac.jp:教育機関
go.jp:政府機関
⇒ 比較的信頼性が高い
.com:商業組織
.org:非営利組織
⇒ 誰もが取得可能なため、事実に基づいた内容のみが書かれているとは限らない
(2)事実なのか意見なのかも見極められる
メディアには、事実の報道を目的にしたものと、事実を踏まえ批評や意見、解釈を書いたものがあります。
例えば、ある選挙について述べた二つの記事があるとします。
①コロナ対応の不手際などで与党に国民の不信感が募っている。事実、2021年の衆議院選挙では議席を減らしている。
②コロナ対応の成果もあり、2021年の衆議院選挙で与党は「絶対安定多数」を確保し、国民から信頼を得た。
両者の意見は、同じ事実に基づいています。つまり「例年より議席は減らし、かつ、絶対安定多数を保っている」ということです。
この二つの文では、同じ事実を根拠にしているものの、筆者の意見が異なるため受け取る印象が大きく異なります。
事実 | 例年より議席は減らし、かつ、絶対安定多数を保っている |
---|---|
事実を元に筆者が述べた批評・意見・解釈 | ・国民は不信感を持っている ・国民の信頼を得た |
このように、一つの文章の中でも、事実と意見を混同せず、分けて受け止めることが重要です。
(3)意図的なフェイク情報があることを認識している
正しい情報を見極めるに当たっては、偽情報には注意しなくてはいけません。
特に以下のような情報には注意が必要です。
・フェイクニュース
・悪質なキュレーションメディア
フェイクニュース
フェイクニュースには、SNSで善意によって拡散されたようなものから、フェイクニュースサイトと呼ばれるような一見まともなニュースサイトに見えるように作りこまれたものまであります。
<SNSが発端のフェイクニュース>
・熊本地震「ライオンが逃げた」
「地震のせいで動物園のライオンが逃げ出している」といった文がライオンがいるように加工した写真とともに拡散され、被災地に大混乱をもたらした事例です。投稿者はこの投稿が原因で逮捕されています。
・トイレットペーパー買い占め騒動
「トイレットペーパーの多くは中国で製造・ 輸出しているため、新型コロナウイルスの影響でこれから不足する」というデマがSNSで拡散され、各地で買い占めが起こり、トイレットペーパーの供給不足が起こりました。
<フェイクニュースサイト>
・マケドニアの少年が「トランプ支持者向けの偽ニュースで700万円稼いだ」例
個人で運営するサイトで、有名なニュースサイトのスタイルを真似てフェイクニュースを書き、広告収入を稼いだ例です。書いた人はこの一件で逮捕されています。
悪質なキュレーションメディアにも注意
キュレーションメディアとは、多くのメディアの情報をまとめたサイトのことです。多くのメディアを検索しなくても話題のニュースや情報がまとめてあるので、効率的に情報を得ることができるのが特徴です。
しかし、悪質なキュレーションメディアになると、アクセスを稼ぐことを目的にファクトチェックを行わずに情報を掲載し、誤った情報が掲載されている場合もあります。
また、一般的なキュレーションメディアでも、誤った情報を拡散してしまうことがあります。
(4)発信のマナーやリスクを知っている
ときに、偽の情報を拡散することはトラブルに巻き込まれる原因にもなります。近年は、SNSの個人情報の流出や誹謗中傷も大きな問題になっています。インターネットを通じたトラブルで、実際に逮捕されていたり裁判になっている事例も少なくありません。
他にも、詐欺サイトやSNS上での麻薬・覚せい剤への勧誘、誘拐などのリスクにも注意したいですね。
【5選】メディアリテラシー教育に活用できる参考サイト集
メディアリテラシーはどう教えていけばいいでしょうか。以下では、教育に活用できるサイトを5つ紹介しています。
生徒向け参考サイト
・総務省 テレビの見方Q&A
生徒向けにテレビの見方について簡単に説明しています。
教師向け参考サイト
国もメディアリテラシー教育の重要性を認識していて、総務省が学校向けのサービスを提供しています。それも含めて、役立つツールをご紹介します。
<教材の紹介>
>総務省 貸出教材の紹介
小学校低学年向け・小学校高学年向け・中学生向け・高校生向けの動画教材があります。
>NHK for School 先生向けページ
授業に使える5~10分程度の動画が集められているサイトです。メディアリテラシー以外の動画も豊富にあります。
<授業実践>
>総務省 教育者向け情報
授業実践パッケージとメディアリテラシー教材を活用した授業実践が書かれています。
授業レポート、指導案(PDF)、ワークシート(PDF)が掲載されており、授業によっては使用した映像教材のリンクがあるのが特徴です。
>メディアリテラシー教育用教材開発研究会
16の授業実践事例が掲載されています。単元目標、授業計画とワークシートの見本もありますので、参考にしやすいかと思います。
まとめ
メディアリテラシーについて解説しました。
この記事で説明した内容
1. メディアリテラシーとは
メディアリテラシーの三つの構成要素
現代においてより必要性が増している
2. メディアリテラシーの必要性
探究学習にも必要な能力
3.メディアリテラシーはどう役立てる?
(1)情報源の信頼性を確認できる
(2)事実なのか意見なのか見極められる
(3)意図的なフェイク情報があることを認識している
(4)発信のマナーやリスクを知っている
【5選】メディアリテラシー教育に活用できる参考サイト集
生徒向け参考サイト
教師向け参考サイト
インターネットやSNSの情報は取得しやすいという長所もありますが、間違った情報であることも多くあります。間違った情報に惑わされないために、メディアリテラシーを鍛え、探究学習に生かしましょう!
【高校の探究担当の先生へ】
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。