探究学習

探究の年間指導計画の作り方を作成手順から事例まで解説

探究学習の年間指導計画ってどうやって作るの?
何を意識して作成すれば良いのかわからない…。 

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その中で、先生方から冒頭のようなご相談をよくいただきます。

そこでこの記事では、探究学習の年間指導計画の作り方についてまとめました。 

充実した探究学習を実施するには、綿密な年間指導計画を立てることが重要です。しっかりとした計画を立てることで、先生方が探究学習を進めやすくなり、生徒の学びをより深いものにすることができます。計画を作成する際は、学校や生徒の特徴や教科学習との関連を意識するなど、様々なことに留意する必要があります。
以下では年間指導計画の基本や留意点について解説しますので、 ぜひ年間指導計画を作成する際の参考にしてください。

目次
・探究における年間指導計画の基本
・年間指導計画を作成する際の留意点
・探究学習の年間指導計画例
・年間指導計画の作成手順

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探究における年間指導計画の基本

年間指導計画とは、1年間の流れの中に単元を配置して表した計画です。その年度の探究学習について、見通しを持つことを目的としています。

まず初めに、年間指導計画の構成要素や、時数配当・単元配列の方法についてまとめます。

参考記事
学校が準備すべき探究カリキュラム・マネジメントと体制整備のポイント4つ
→各種の計画作成の前提となる、探究の実施に向けた体制整備について解説しています。

年間指導計画の構成要素

年間指導計画は、主に以下の要素で構成されています。

・単元名
・各単元における主な学習活動
・活動時期
・予定される時数と単位数

年間指導計画のポイントは1年間の概要を示すことであるため、構成要素はシンプルです。記述も簡潔なもので問題ありません。
また、上記の主な構成要素の他に、以下の内容を追加する場合もあります。

・単元のねらい
・生徒の意識
・各教科・科目等との関連
・外部講師や異校種との関連

年間指導計画の様式は定められていないため、活用しやすいように工夫することが大切です。追加の構成要素については、各学校の必要に応じて考えると良いでしょう。

時数配当・単元配列の方法

時数を配当する際は、学習指導要領で定められた時数の確保を念頭に置きつつ、各単元に必要な時数を配当していきます。
時数の配当には多様な方法があります。例えば、卒業までの各年次全てに時数を配当する方法があります。あるいは、特定の年次に集中して配当することも可能です。どのように時数を配当するかは、学校や生徒の現状に合わせて考える必要があります。
また、授業時数がきちんと確保されているかについて、学期や単元単位で確認することも重要です。

単元の配列についても、様々な方法があります。一例として、1年間に1単元のみを設定し、単元のテーマに沿った学習活動を年間を通して行う方法が挙げられます。また、1年間に複数の単元を設定する方法もあります。他の方法をとることも可能であり、工夫を凝らした計画の作成が求められます。

年間指導計画を作成する際の7つの留意点

年間指導計画の作成には、7つのことに留意する必要があります。以下では、それぞれについて解説します。

1. 生徒の実態や特性に配慮すること

学科や進路の希望など、生徒の特性を意識した計画にすることが求められます。
前年度の学習経験や成果物を参考にし、生徒の特性を十分に考慮しましょう。

2. 十分な見通しを持った周到な計画にすること

年間指導計画は、卒業までを見通し、単位の履修と修得ができるように作成します。特に、単位の認定時期や履修の認定要件も明確にする必要があります。

また、毎年度末に年間指導計画の見直しを行いましょう。見直しを行う際は、以下の点について検証することが重要です。

・単元目標や学習活動、評価等が生徒の実態に合ったものであったか
・学校や地域の特色を十分に生かしたものであったか
・実施時期や時数の配分は適当であったか

3. 季節や行事など適切な活動時期を生かすこと

高校生は、実社会に参画する意識が高まる発達段階にあります。したがって、生徒が実社会との接点を生み出せるような学習を行えるように計画を立てましょう。
具体的には、実生活や社会における問題を学習の対象とし、その解決に向けた探究活動を行うことが考えられます。生徒が自分自身の生活とのつながりや、将来の社会の在り方を考えられるようにすることが重要です。また、地域の活動に参加したり、イベントを企画したりするなど、社会に働きかける学習を行うことも可能です。
実社会との接点を作ることで、生徒の社会参画意識が高まります。

4. 各教科・科目、特別活動との関連を図ること

探究学習の年間指導計画を作成する際、各教科・科目、特別活動との関連を図ることが重要です。そのために、まず学習指導要領で各教科・科目、特別活動の内容を確認します。そして、関連性のある単元については、実施時期や指導方法を調整し、相乗効果を得られるようにすることが望まれます。

関連の方法として、以下が考えられます。

5. 学年間の関連を見通すこと

各年度や3年間を通し、学習活動に重複や偏りがないかを確認することが重要です。
また、学年間の関連を見通すことも大切です。学年の進行に伴い、学習の質の向上や段階的な積み上げがあるかといった点を考慮しましょう。

6. 弾力的な運用に耐えうる柔軟性をもつこと

単元の途中での修正や変更も念頭に置いた、柔軟な計画を作成しましょう。
実際に授業を実施すると、生徒の関心や問題意識が当初の計画と合わなかったり、想定していた生徒の特徴が実際と異なることがあります。このようなときに、柔軟に変更できる計画であることが大切です。
計画の修正を行う際は、実現可能か、学習活動の質が向上するかなどの点を吟味する必要があります。

参考記事
探究の授業時数を弾力的に運用するポイントと事例を紹介

7. 外部の教育資源の活用及び異校種の連携や交流を意識すること

探究学習を充実させるには、外部との連携や交流が効果的です。
生徒と連携先の双方に教育的な価値があるのかを考慮した上で、以下の資源を活用しましょう。

参考記事
【前編】徹底解説!探究学習の外部連携に必要なことは?連携のパターン、メリットについて
【後編】徹底解説!探究学習の外部連携とは?連携時のポイント、連携先の探し方、事例について

探究学習の年間指導計画例

年間指導計画には固定的な様式がないため、様々な工夫を凝らすことができます。
以下では、特徴的な年間指導計画の例を紹介します。

1年間を1単元にした年間指導計画

この年間指導計画では、1年間に配列する単元を1つに定めています。


出典:今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編)第2章p.86

「生命」という1つの単元のもと、年間を通して「生命」に沿った学習活動を行う計画です。1つのテーマに沿ってじっくりと学びを深めることができます。

3年間の関連を明らかにした年間指導計画

以下の年間指導計画では、入学年度から卒業年度まで、学年ごとの年間指導計画を1つの表にまとめています。

出典:今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編) 第2章 p.90

一目で3年間の年間指導計画を確認できるため、生徒の学習の全体像を捉えることができます。また、学年に応じて学習が発展していく様子も理解しやすくなっています。

関連教科・科目等を重点的に示した年間指導計画

この年間指導計画では、関連する教科・科目の内容を併記しています。

出典:今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編) 第2章 p.92

各教科・科目のどの内容と対応しているのかがわかりやすい計画となっています。教科・科目との関連性が明確になるため、他教科での学びを意識しながら学習を展開できると期待されます。

年間指導計画の作成手順

年間指導計画の基本や作成の留意点を踏まえ、どのような手順計画を立てるのかを解説します。年間指導計画作成の大まかな流れは、以下の通りです。

・素案の作成
・素案の吟味・修正・改善
・管理と運用

それぞれの段階において具体的な手順や留意点があり、それらをまとめたものが以下の表です。


出典:今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編) 第2章 p.95

この表には、各手順に留意事項が示されており、先ほど紹介した7つの留意点が含まれています。
したがって、表を活用しながら年間指導計画を作成することで、留意すべき点を踏まえた計画が出来上がります。

表の手順に沿って、それぞれの留意事項をチェックしながら年間指導計画の作成を進めてみてください。

まとめ

探究学習の年間指導計画の基本や、作成の留意点・手順について解説しました。
計画をしっかりと練ることで探究学習の実施がスムーズになり、内容を充実させることができます。

年間指導計画の様式は定められていない分、様々な工夫の余地があります。
留意すべき点に配慮しながら、学校や生徒に合う計画を立ててみましょう。

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。