毎週1時間だと、すぐ終わってしまって、ちゃんとした探究ができないよ。
私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。
先生方とお話する中で、冒頭のようなご相談をよくいただきます。
この記事では、探究学習を効果的に行うために必要な、授業時数の確保と「毎週決まった曜日に1時間」にとらわれない弾力的な運用のポイントと事例を紹介します。
年間スケジュールを立てる中で、また学習の進捗状況に合わせて柔軟な対応が求められ、そのような運用のポイントは2つ。
運用のポイント
・計画作成段階での準備
・校内の探究推進委員会などの組織体制
弾力的な運用は具体的に、以下のようなパターンが挙げられます。
弾力的な運用の具体例
・毎週1時間の授業時数を再編成し、隔週で2時間の時数を確保する
・連続で数日間の体験や調査活動を行う
・地域行事への参加に合わせて授業時数をスケジュールする
さらに実際の高校の事例として、目的に応じて「隔週100分連続授業」を行った例と、地域探究の体験や行事への参加、論文発表などに合わせて3年間を通じて弾力的に運用している事例を紹介していきます。
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探究学習の時数を弾力的に運用するコツ
探究学習の時数を弾力的に運用するコツは、計画作成段階での準備と、校内の探究推進委員会など組織体制です。
計画作成段階での準備
弾力的な運用が必要になる場合は、この記事でも紹介するように、活動の内容によって「毎週決まった曜日に1時間」という運用が不適切な場合です。校外でのフィールドワークなど時間がかかる場合や、学校外の行事に予定を合わせなければならない場合がそれにあたります。
計画段階で活動として何を予定するのか、特に学校外の活動がある場合はそれに合わせて弾力的に時数をスケジュールする必要があります。
校内の探究推進委員会などの組織体制
探究を進めるうちに進捗によって計画を変更せざるを得なくなったり、外部の行事の予定が変わったりと、対応が求められることがあります。
探究の時間の変更は他の教科や学校行事に影響が出ることがあります。そのようなとき校内に「探究推進委員会」などの組織や会議体が準備されていると、速やかに変更を行うことができます。
時数運用だけでなく、計画や指導、外部連携などさまざまな場面において、教科や学年の枠を超えた協力体制が作られていることが望まれます。
探究の授業時数を弾力的に運用した事例
ここからは、小規模校と大規模校それぞれで、探究の授業時数を弾力的に運用した事例をご紹介します。
事例①「隔週にして100分連続授業に」目的に応じた単位時間等の弾力化の例
学期によって隔週2時間の連続授業を行ったH高校の例です。
H高校は半農半漁の町にある小規模校です。美しい海が近いことから、1学年の前半の単元60時間分の総合的な学習の時間を「環境教育」としています。
1学期は観光客に対しゴミ持ち帰りなどの環境意識を促すためのパンフレットづくりに取り組みました。現地視察による調査や海岸の生物多様性を調べて「海岸生物多様性パンフレット」を制作、観光客に配布する活動を行いました。このような活動の時間を確保するため、総合的な学習の時間を隔週とし、水曜の5・6時限目を連続して100分授業にしました。
現地調査は移動も含め時間がかかります。この例のように連続授業とすることで余裕をもって調査に取り組めます。
事例②「体験や行事に合わせて運用」1年間を見通した弾力的な授業時数の運用例
3年間を通じて地域探究を行っているJ高校は、地域行事との関わりにより、各学年で実施時間が大きく異なります。
大都市、下町地域に位置するJ高校は「地域のことを見つめ、地域の未来を考える」というテーマの元、精力的に地域についての調査活動、地域貢献に関わる体験学習等を行っています。
地域での職場体験や行事に合わせて弾力的に授業を運用しています。
1学年は地域の調査活動、職場体験、課題追究を行います。職場体験は夏季休校中に行われます。
2学年は、10 月に実施される地域の伝統ある祭祀についての研究と体験により、2学期の授業時間が多く設定されます。
3学年は、1,2学年での探究的な学習を踏まえて、地域の課題をもとに論文作成と地域貢献学習を行います。
また、3学年の論文発表会は1,2学年にも公開されています。3年生にとっては3年間の成果を発表、下級生たちには論文発表という3年間の探究のゴールを見ることができる機会となります。
まとめ
探究の授業時数を弾力的に運用するポイントと事例を紹介しました。
運用のポイント
・計画作成段階での準備
・校内の探究推進委員会などの組織体制
弾力的な運用の具体例
・毎週1時間の授業時数を再編成し、隔週で2時間の時数を確保する
・連続で数日間の体験や調査活動を行う
・地域行事への参加に合わせて授業時数をスケジュールする
「毎週決まった曜日に1時間」にとらわれず、望ましい探究学習を行うにはどう運用すればいいか?という観点で授業時数をい運用すれば、より良い探究学習につながります。この記事が参考になれば幸いです。
*この記事は総合的な学習の時間に関する文部科学省の資料を、探究学習に臨む先生向けにわかりやすく解説したものです。資料をもとに部分的に簡略化、加筆、言い換えなどを行っています。元資料をご覧になりたい方は「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編)」第1編第3章-1をご確認ください。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。