インタビュイー
園 利一郎 様
学校法人角川ドワンゴ学園 経験学習部 部長
早稲田大学卒。ドワンゴで動画サービス「ニコニコ」やニコニコ超会議等の宣伝広報に従事したのち、学校法人角川ドワンゴ学園にて「N 高等学校」の立ち上げに参加。省庁や地方自治体と連携した教育事業や、「N 中等部」や「N 高等学校」の中高生に向けたワークショップやプロジェクト学習を通じてレジリエンスやリーダーシップ、創造性などを身につけるプログラムやキャリア教育の開発等に取り組む。
経済産業省「未来の教室」が2021年2月末より公開を開始した「STEAMライブラリー」のコンテンツ事業者「学校法人角川ドワンゴ学園」に、AI・機械学習や課題解決型学習(PBL)について取材させていただきました。
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コンテンツテーマ:「AI・機械学習を通じた課題解決型/価値創造プロジェクト学習」
田中
まず、コンテンツの概要について教えていただけますでしょうか。
園氏
コンテンツの前半パートでAI・機械学習(画像認識・音声認識)について学び、その内容を生かして後半パートでプロジェクト型の学習をしていくという構造になっています。 AIや画像認識、音声認識の活用方法を学ぶだけでなく身近な困りごとや自分の周囲にある魅力を発見し、他の人たちと協力しながら課題を解決していく過程を学んでもらいたいと考えています。
田中
AIや機械学習は最近よく聞くワードですよね!一方で、難しそうでよくわからないといった先生・生徒さんもいるかと思いますが、なぜこのテーマを選んだのでしょうか?
園氏
角川ドワンゴ学園では、現在の中高生がこれからの社会を自分らしく生きていくことができるように、多様な他者と協働して正解のない問題に取り組める能力を育むプロジェクト学習の提供を目指しています。AIは中高生にとっても身近になりつつありますが、彼らが生きていく未来の社会で実際にどんな活用がなされていくのか、まだまだ正解がありません。大人もぜんぜんわからない、ということです。テーマとしてとても魅力的ですよね。
田中
確かにAIはこれからの子どもたちは欠かせない存在ですよね。ただ先生達にとっては、「AIって難しそうでわからないから取り組みたくない…」という先生もいそうな気がします。先生が準備しておくべきことや、先生の授業に望むスタンスのようなものがあれば教えてください。
園氏
先生には、こちらで用意したスライドとワークシートを使用していただければOK、という内容になっています。先生達はやりづらいかもしれませんが「自分も正解はわからない」というスタンスが良いと考えています。この取り組みはすでに実証授業やワークショップとして行っているのですが、今までも「先生より生徒の方が早くキャッチアップできてしまう」っていうのが現実なんですよね。生徒の方が飲み込みが早くて、先生が生徒に教えられるっていうことも起きていました。そういう場面に戸惑う先生も最初はいらっしゃいましたが、もう生徒より詳しくなろうとすることを諦めて「わからなくてOK!」というスタンスで臨んでいただくのが生徒に正解のない問題に取り組んでもらうためにもベストだと思います。
田中
AIや機械学習だからといって、先生達が身構える必要はないのですね。授業中に先生はどんなことをしてあげたらよいのでしょうか?こんな問いを投げかけるといいとか、ありますか?
園氏
教材の後半には、「日常にある”こうだったらいいな”と思うことを考えよう」というワークがあります。身近な困りごとを生徒が自分で見つけ出せることも大切な力だと考えています。生徒が困りごとに気付けるような問いかけをすることは、日頃から生徒を見ている先生にしかできないと思うので、ぜひそんな問い掛けや声掛けをしていただきたいです。
田中
それならできそうだと思う先生も多いかもしれませんね!この教材を使った先生達に、どんなフィードバックをもらえるのが理想ですか?
園氏
プロジェクト学習のなかでの効果的な声がけや問いかけについてフィードバックをもらえたらすごく参考になります。
田中
学校で教わることって答えがあるものが多いですもんね。そういう観点だと、今回のAI や機械学習って、大学受験に出ないと思うんです(笑)高校の先生だと「○○大学に○人合格した」とかが評価の基準になってしまうこともあると思うのです。その中で、この学習を授業で扱うことで「生徒がこんな風に変容します」とか「生徒や先生にとってこんなメリットがあります」ということがあったら教えてください。
園氏
昨年、このプログラムを実施した際、画像認識機能を使って「イケメンを判定するAI」を作った生徒たちがいました。AIにイケメンを学習させていく課程で、イケメンは地域や文化によって異なることや、今まで自分の軸でしか考えられなかったものにも違う見え方があることに気付いていました。また、AIや画像認識を用いて楽に勉強する方法を考えている生徒もいました。学校で習った学習をメタ認知し、実生活に生かそうとするのは素晴らしいことですよね。 あとは、先生よりも生徒の方が得意な分野なので、「先生よりできることが楽しい」と感じる生徒さんは多いようです。既存の勉強とは違うので、楽しそうに学ぶ姿を見ることができます。学ぶ内容や学び方、どれをとっても新しいので、既存の学習の枠を超える楽しさっていうのが課題解決型学習(PBL)の良さだと思います。
田中
ありがとうございます。ちょっと哲学的な質問になってしまうのですが、園さんが小中高生の時にこういった教材やSTEAM学習に出会っていたら、自分の人生って変わっていたと思いますか?
園氏
僕はあまり勤勉な生徒ではなかったので、授業中はぼーっとしている時間が多かったんです。今のように一人一台端末が配られて授業中にオンラインで自由に調べるなんていう機会があったら、勉強がもっと楽しくなったんじゃないかな。窓の外を眺めている時間はもっと少なかったかもしれません。
田中
今後、STEAMライブラリーに求める機能があれば教えてください。
園氏
学習を楽しむには、一緒に勉強する友達やコミュニティが必要だと思います。オンライン上でその繋がりをどうするかがSTEAMライブラリーが普及していく鍵になってくると思います。先生に勉強を教えてもらいたくて学校に行く人よりも、友達と話したくて学校に行く人のほうが多いと思います。オンライン上で友達と学習内容をネタにコミュニケーションできたら、STEAMライブラリーはもっと盛り上がっていくと思います。
田中
他の事業者さんからも子ども同士の繋がりの場を作りたいという話はあがっているので、来年度以降に期待したいですね! 一見難しそうに見えていたAI・機械学習というテーマでしたが、先生達への負担が少ない上に、子ども達が楽しく取り組める内容だということがよくわかりました。本日はありがとうございました!
田中悠樹 (インタビュワー)
STEAMライブラリーのシステム構築事業者である株式会社 StudyValley 代表取締役
2011年にゴールドマンサックス証券テクノロジー部に新卒入社。株式会社リクルートホールディングスでは海外のVCを担当。2020年に株式会社StudyValleyを設立。オンライン学習サービス「アンカー」や業務・学習支援ソフト「TimeTact」の開発や運営を行う。創業1年目でSTEAMライブラリーのシステム構築事業を受託。
STEAMライブラリーとは
経済産業省「未来の教室」が運営する、STEAM教育を通じてSDGsに掲げられる社会課題の解決手法を学べるオンライン図書館
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。